其の九十一……『怪談小豆夜話:『帰ってきた死んだ弟?』にまつわる話
これは『東京』から『金沢』に引っ越してきた『小豆さん』という『不思議な魅力を持つおばあさん』の『家』に集まってきた『老若男女』が突発的に始めた『豪雪中の怪談座談会』で話された『怪談』の数々である。これに『ユズハさん』の友達である『ノナさん』が参加したのだ。
そして『今回』の『最初の話』を語り始めたのは『前田』という『男子大学生』の一人である。
『じゃあ俺が話してもいいっすか? これは『俺の家族』の話でして、実を言うと『あんまり表立って言えない話』なんですけど、俺には『一歳年下の弟』がいる………いや、『いた』んです。そいつに関する話ですよ』
するとすかさず『ノナさん』が、
『『いた』ってことはもう死んでるってこと??』
するとか『前田さん』は何とも言えない顔をして、
『………その話を『最初』に行ってしまうと俺の『怪談』が『台無し』になるわけで………まあとにかく聞いてい欲しい。まず俺の『馬鹿弟』は──名前は『トオル』っていうんだけど──それはそれは『救いようのないバカ』でね……高校在学中に『オンラインカジノ』に嵌っちまったんだよね………』
『オンラインカジノ』は最近『テレビ』を色々と騒がせている、『実際に現金をかけて賭博ができる海外サイト』のことである(まあ説明なんてする必要もないだろうが)。この『前田さんの弟さん』は『友達』から教えられて『オンラインカジノ』で遊ぶようになり、『テレビやネット』などで『オンラインカジノで遊ぶのは違法である』と知った段階ではすでに『200万円』も『負け』ていたらしい。いや、そこまで負ける前にさっさとやめるべきだったのだろうが、『意地』になってしまっていて『友達』にお金を借りてしまっていたとか。
『高校生が『オンラインカジノ』って…………支払いはどうしてたの??』と『中年女性』
『母親のクレジットカードを勝手に登録してたんですよ………あ、でも勘違いしないでください? 母親は『滅茶苦茶子供に甘い』んで俺も『高校生』の時にお袋のカードを使って『課金』とかしてましたw だからそのこと自体は別に問題なかったんですよ、でも『200万の借金』はさすがに…………(やれやれ)』
『よその家の教育方針には口だすべきじゃないけど、ちょっと信じられない家庭ね…………(唖然)』と『中年女性』
(うち親は『クレカ』勝手に使われてたらたぶんぶっ殺される…………女の子だからとか全然容赦しないし)と『ノナさん(苦笑)』
だが『前田さん』は『常識人ポジション』のままため息を吐いて、
『………そんであいつは『自分にオンラインカジノを教えてくれた友達』が『パクられた』段階で『人生詰んだ』と思ったんだろうな…………あいつは昔から『短絡的』でしかも『逃げ癖』のある厄介なやつでね…………だから『置き手紙』を遺して『失踪』しちまったんだよね…………』
どうやら『前田さんの弟さん』は『逃げれば何とかなる』と思ったのか、ある日いきなり『迷惑を掛けたくないので探さないでください』と言う『手紙』だけを残して『家出』してしまったのである。もちろん『前田さんの家』には『お金を貸した友達の親』が『さすがに返してくれますよね!?』と切れ気味で押しかけてきていて、『前田さんの両親』はそこで初めて『次男の蛮行』を知って驚くやらあきれるやら、すぐに『返済』してから『弟さん』の『行方不明届』を出したのだ。
だが『弟さん』は『半年』経っても帰ってこなかった。なので『警察』は、
『現代日本社会にはいたるところに監視カメラがあるため、それらに全くヒットしないのはまずありえないです。ならば『山の中』に逃げ込んだのかもしれませんが、『山の中』で生きていけるような『サバイバル技術』を持ってるはずがないので、『半年』も生きられるはずがない。ですのでたぶん…………(口ごもる)』と『警察』
なので『前田さん一家』は大いに嘆き悲しみ、『前田さん自身』も『体調を崩して仕事を一日休む』ほどだったという。そしてそれからしばらくすると、『平日の昼間』に『前田さんの家』を尋ねてくる『者』がいたという。
ピンポーン!
『はいはいどなたですか~?』と『前田さん母』
そう言いながら『玄関のドア』に向かうと、ドアのガラスに『男性と思わしき影』が映っていた。そしてその『影』が『くぐもったような低い声』で、
『………『お母さん』…………』
そうつぶやくなり『前田さんの母』は『全身鳥肌』がたち、すぐに『察した』という。
『………『トオル』!? まさか『トオル』なの!?』と『母』
すると『影』はさらに『お母さん』とだけ繰り返し、『前田さん母』が『ドア』を開けるとそこには『誰も居なかった』という。
『………トオル? いったいどこに…………?? あら? これは…………』と『母』
だが『足元』に『人形』が落ちてることに気づいたそうだ。その『人形』は『前田さん母』には見覚えがなかったが、『薄汚れた戦隊もののフィギュア』だったそうだ。『前田さん母』はそれが『きっとトオルの持ち物に違いない』と思って家の中に持ち帰り、『居間』の一角に『小さいテーブル』を置いて『トオルさんの遺影』を置き、そこに『フィギュア』を配置し『手を合わせた』そうだ。
その後『前田さん父』と『前田さん』も家に帰ってきて『母』からその話を聞いて、
『きっと『トオルの魂』がかえってきたんだろうな…………』と『父』
『あいつが『戦隊もの』が好きだったのは知らなかったけど、余程思い入れがあったんだろうな…………』と『前田さん』
だがそれから『三日後』に『前田さん弟』が『帰ってきた』のである。もちろんしっかり『生きてる』状態で。
『マジでごめんなさい!! ネットで知り合った『おっさん』の家に転がり込んでたんだけど、その『おっさん』から『友達の親が両親に迷惑をかけるかもしれないよ』って言われたから帰ってきました!! もう反省してるので赦してください!!』と『前田さん弟』
『『『………お前このまえ『幽霊』になって帰ってきたんじゃないのか!!??』』』と『父母兄』
『………はぁ?? 何の話??』と『弟』
では例の『薄汚れた戦隊もののフィギュア』を持ってきた『影』は『何』だったのか…………『弟さんの生霊』かと思ったが『本人』は『戦隊もののフィギュア?? 俺そんなもん一つももってないけど??』と答える始末。なので毎月『亡くなった祖父の月命日』に『お経』をあげに来る『お坊さん』に話をすると、
『………それはきっと『弔ってくれる家族がいない無縁仏の魂』が『自分も供養してほしい』と思って『トオルさん』を『騙った』のでしょう。『人形』はそのまま『供養』してあげてください、これも何かも『縁』ですから(笑顔)』と『お坊さん』
ここまで話して『前田さん』が締めた。
『………って感じで、今でもうちの家では『知らない誰かの遺品』を飾って毎月『影が現れた日』に『手を合わせる』のが『習慣』になってるぜ。『完全に赤の他人』を『供養』するってのは最初は『両親』は『気持ち悪がった』んだけど、これが意外と『いい奴』でね……なんと『家族に悪いことがある』と『事前に知らせてくれる』ようになったんだよ』と『前田さん』
『『いい奴』だったんですか?? だって『普通』に考えたら『弟さん』を『騙って』まんまと『家の中』に入ってきた『浮遊霊』ですよね?? 『ホラー作品』ならそこから『家族全員が呪われて変死する』じゃないですか??』と『尼御前さん』
ふと思ったが、なぜか『ホラー作品』だと『地縛霊』ばかりフォーカスされがちで『浮遊霊』って全然でてこないな…………と『私』こと『やっくん』はどうでもいいことを思った(笑)。そして『前田さん』も笑ったらしく、
『不吉なこと言わないでくれw 『坊さん』の話通りに『供養』してればいいらしいから全然『悪い奴』じゃないよ。それどころか『そいつ』が来てから『家族に不幸』があると、その『前日の夜』に『家』の中を『スーパー戦隊』が『歩き回る』ようになったんだよ。そんで『ぶつぶつ』言いながら『これから起こる悪いこと』を『予言』してくれるようになったんだw』と『前田さん』
なんでも『前田家』では、例えば『お父さんが通勤中に交通渋滞に巻き込まれて遅刻しそうになる』と、『その前日の真夜中』に『家の中』を『スーパー戦隊五人組』が『歩き回り』、『小声』で『いつもと違う道路を使え、事故に巻き込まれる』と忠告するそうで…………そういう感じで『前田一家』はずいぶんと『助けられている』そうである。確かになかなか『便利な能力』を持っている『浮遊霊』なようだった。
『確かに便利って言うかなんていうか…………』と『ノナさん』
『『悪霊』が供養されて『善霊』になったってことか??』と『別の男子大学生』
『『前田一家』が『供養』しなくなったら『悪霊』になって暴れそうだけどねぇ………いや、知らないけどさ』と『中年女性』
『なんか、『私』だったら『不吉な予言』とかしてくるってわかった時点で『引っ越し』してると思います……だって『不吉な予言』と『祟り』って実際区別つけずらくないですか?? その『悪霊自身』がやってることをあたかも『予言』みたいに言ってるだけの可能性もあるんじゃ??』と『尼御前さん』
『それはちょっと『穿ち』すぎじゃないか? 『予言』は特に何も『変なこと』は起こってないからうちの家族は『悪霊』だなんて考えてないぜ??』と『前田さん』
彼はそういうが『オーディエンス』の反応は全体的に『否定的』だった。確かに『赤の他人』が『家族』を騙って『家の中』に入ってきたなんて、『生きた人間』であったとしても普通に『犯罪』である。だけど『幽霊』だとわかったら『家族として迎え入れてあげなさい』もちょっと無理がある…………これは『私』も正直『同意見』だ。
だが『ユズハさん』はちょっと違ったようで、
「…………『生きた人間』だったら確実に『アウト』だけど…………それが『幽霊』だったらその限りじゃない…………つまり『人間』と『幽霊』では『ルールの基準』が違う??」と『ユズハさん』
そして『ノナさんの語り』に戻るが、『オーディエンス』とは違って『家主』である『小豆さん』は『前田さん一家』にずいぶんと『感心』したらしい。
『まぁ! 『誰にも弔ってもらえない無縁仏』を『新しい家族』として迎え入れてあげるなんて『優しい』わ~! そういう『善行』もあるのねぇ! 『私』も『無縁仏』を『お家』に向か入れてみたいわ~♪ どこに『告知』したら『集まって』きてくれるかしら??』と『小豆さん』
『『『えぇ…………(困惑)』』』と『皆』
ちなみにだが、『小豆さん』は結局『皆』から止められたので結局どこにも一切『告知』は出さなかったそうだ。だがどうやら『この怪談座談会』を『こっそり聞いているモノ』がいたようで、『次の日の夜』から『小豆さん宅』に『差出人不明』で『藁人形』とか『フェルト製の人形』とか『位牌』とか『骨壺』とか『どこの誰の物かもわからない遺品』が『沢山』届いたそうである。なので『小豆さん』は『家の一室』を『仏間』に変えて『送られてきた遺品』を納め、毎日『お線香』をあげるようになったそうだ。
「…………まあ『火事』になると全部『燃えちゃう』わけだけどね…………あ、ちなみにだけど『小豆さんの家』では『悪いことを知らせてくれる親切な幽霊』とかは『いない』そうだよ。『前田さん家』の『浮遊霊』がちょっと特殊だったっぽい」と『ノナさん』
『小豆さんの家』で行われた『怪談座談会』に話はまだまだ続く。




