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其の八十九…『近所に住むお婆さんの『瞋恚の炎』』にまつわる話『その2』』

 これは『ユズハさん』の『友達』かつ『昼休み怪談部』に『最も多くの怪談』を持ち込んでくれている──明らかな『作り話』も多数交じってはいるが──『ノナさん』の『町内』に『東京』から引っ越してきた『小豆さん』という『不思議な魅力を持つ高齢女性』に起った『奇怪な出来事』に関する『怪談』である。




「…………あれは確か、『小豆おばあちゃんの家』に『たかしさん』が来て『誓約書を書け!』って言ってきた『三日後』だったと思う………『私』が『じいじ』と一緒に『小豆おばあちゃん家』にいくとさ、その『家』が『燃えてた』んだよね」と『ノナさん』



「「「「…………え? 『火事』??」」」」と『私達』




 最初は『消防車や救急車のけたたましいサイレン』にたたき出され、外に出ると『うっすらと視界を染める白い煙』と『空高く昇っていく煙の柱』である。慌てて向かうとそこには『赤い炎』を吹く『小豆さん家』があって今まさに『消火作業』の真っ最中だったそうだ。



『う、うそ………『小豆おばあちゃん家』が燃えてるじゃん!』と『ノナさん』


『おお………!(大慌て)あ、『小豆さん』は大丈夫か!? 無事なのかぁ!?』と『お爺さん』



 その『小豆さん』は『たかしさん』と一緒に『炎上する家』の目の前に座り込んでいたそうだ。どうやら『出火』してすぐ逃げだしたらしく、他にも『家の中』から『避難』したらしき人達が見える。『ノナさん』はその中にいた、『いつも小豆さんの家に遊びに来る大学生のお兄さん』を捕まえて、



『『新田先輩』! 何があったんですか!?』と『ノナさん』


『うお!? って『ノナちゃん』か! 『火事』だよ『火事』! 見ればわかるだろうけど、いきなり『台所』が燃えてマジでビビったんだから!』と『新田先輩』



 彼曰く、この日は『朝早く』から『小豆さん家』に『新田さん』やほか『数名』が集まって『小豆さん』と一緒に『朝ごはん』を食べていたらしい。『新田さん』や『他数名』は『朝早くからパートやアルバイトに出勤するため』に『小豆さん』の家の近くをいつも通っており、それを知った『小豆さん』が『ならうちで朝ごはん食べていいって頂戴』と誘ったからだそうだ。


 だが『その日』は『小豆さん』が皆に立つだってもらって『朝ごはん』を用意し『終えて』、皆で『食卓』に座って『いただきます』をした時に『台所』で『出火』していたことに気づいたらしい。なので『新田さんたち』が慌てて『消火器』を持ち出したそうだが、それでも『火』が消えなかったらしい。




『いやぁ、『消火器をぶっかけてるのに火が消えない』ってのはマジで『冷や汗』がでたよ………後で調べたんだけど『火が天井に届くレベル』だともう効かないらしいね………だからみんなで慌てて外飛び出して『消防』に電話したんだよね』と『新田さん』



 するとそこで『ノナさんのお爺さん』が『納得いかない顔』で、


『『台所』から出火しただと? しかも『ついさっきまで使っていた台所』から? おかしいだろそれは! どんな『火事』も最初は『小さい火』から始まるものだ! なのになぜ『その場の誰』も『天井に届くほど大きくなる』まで『火』に気づかなかった!? 不合理だろうが! なぜ『おかしい』と思わない!?(興奮)』と『お爺さん』



『知らないっすよ!! 気が付いたら『デカい火』が燃えてたんだから!』と『新田さん』


『馬鹿もんが! そんなの『放火』以外にあり得んだろうといっとるんだ!! 誰だ『小豆さんの家』に『放火』した不届きものは!? わしが今この場で殺してやる!!(つかみかかる)』と『お爺さん』


『知るかあああああ!! ていうか俺に当たるんじゃねええええええ!!』と『新田さん』



『二人』がその場で『もみ合い』になり『ノナさん』が『ちょっとやめてよ~!』とあきれた声をあげ──彼女は『サンシ先輩』のおかげ(せい)で喧嘩慣れしすぎているので(汗)──、その横では『小豆さん』が『落ち込んだ様子』でこんなことをつぶやいていたそうだ。




『………やっぱり私は『ダメ』ね………『ここ』に居ても皆に『迷惑』をかけるだけだわ………やっぱりどこか『人が誰もいない土地』で、『山奥』とかで………ああ、でも『山火事』になるだけだわ、だから『無人島』で一人で暮らすしか………』と『小豆さん』



 そこに『たかしさん』が怒った様子で、


『お祖母ちゃんやめてくれ! その話は『もうしない』って約束しただろ! 第一今の時代にどうやって『無人島』で暮らすっていうんだ!? そんなの『殺人』だろ普通ん考えて! 『お祖母ちゃん』が悪いわけじゃないんだ、これは『病気』なんだ! 『病人』が悪いことなんて何もない! 『お祖母ちゃん』はずっと『ここ』に住み続けていいんだ! 俺がそう言ってるんだからそうだろ! もうそんなことを言うのはやめてくれ!!』


『………』と『小豆さん』



 なんだか『尋常ならざる』様子に『ノナさん』は強く興味を引かれた。だが『状況が状況』なので尋ねることもできず、『後日』場を改めて『たかしさん』から聞くことにしたらしい。




 ちなみに『空き家が燃えた』あと、『小豆さん』は一時的に『たかしさんの家』にお世話になることになったらしい。『小豆さん』は『とても危ないから』とかなり渋っていたが、『新しい家が見つかるまで』という条件で渋々受け入れたのだった。


 その『たかしさん家』を訪れた『ノナさんとお爺さん』は『大甥さん』から『小豆さんをむしばむ奇妙な『病気』』の話を聞かされたのだそうだ。



『………貴方方は信じられないかもしれませんけど、『小豆お祖母ちゃん』は『火の病気』を患ってしまっているのです……『彼女が住む家』は絶対に『火事』になるんですよ………これまで『東京』で『5回』も『家が燃えている』んです………(しょんぼり)』と『たかしさん』



『『………はぁ?? 『五回』も!?』』と『ノナさん&お爺さん』




『小豆さん』が最初に『火事』に遭ったのは『23歳のころ』だったらしい。『東京都新宿区』にあった『夫の実家』が燃えて『夫と子供全員』が死亡して『小豆さん一人』だけが生き残ったのだそうだ。


 その後『小豆さん』は『東京都葛飾区』にあった『実家』に戻ったが、その『実家』も『三か月後』には『火事』で『全焼』しているのである。この火災で『両親』も死亡し、すでに実家をでて『横浜』で暮らしていた『お兄さん一家』は無事だったそうだ。そして『小豆さん』はそのまま『東京都』で一人暮らしを続けることにしたらしい。



 そこからは『10年』ほど『火事』には遭わなかったらしい。だが『30代』で一度『マンション火災』を経験し、『40代』の時の『再婚相手』も『火事』で失い、『50代』は何事もなかったが、『60代』で一度『ガンの早期発見』で『入院』したら、その『病院』が『全焼』したのであったという。




『………『50年で5回』は『10年に1回』ペースですが、普通の人は『一生に一回もない』のですから『多すぎる』んですよね………もちろん『二回目の火事』の段階で『警察』から『小豆お祖母ちゃんが放火したのか?』と疑われて『任意同行』を求められたこともありましたよ………でも結局『放火の可能性はあり得ない』で終わってるんです。毎回『古い家電製品の漏電』とかですからね………あ、今回の『火事』も『古いガスコンロの故障が原因』だそうですよ。『警察』の現場検証がそう言ってるので間違いではないそうです(余談)』と『たかしさん』



『お爺さん』はやっぱり『納得がいない』顔のままで、



『ガスコンロの故障ごときで『天井に届くほどの炎』がいきなり『噴きあがる』のか?? もうそれは『製造メーカー』を『提訴』できるだろ!! やっぱり明らかに『おかしい』ではないか! 絶対誰かが『放火』しとるんだ! あまりにもおかしすぎる………』



『そんなこと言っても『警察がそうだ』といってるんだからどうしようもないでしょ! たぶん『放火を疑わせる証拠』が一切出てこなかったんですよ! もうこれは『病気』なんですよ! そう考える以外にどうしろっていうんですか!』と『たかしさん』


『いや、なんていうか、『病気』っていうか『呪い』なんじゃないですか??』と『ノナさん』



 すると『たかしさん』は首を振って、



『………あれは『呪い』なんかじゃない。だって『小豆お祖母ちゃん』は『呪われるようなこと』はしていないし、あれだけ『たくさんの人に愛されている人』がどうして『呪われる』んだ…………それに『俺』は『この目』で『見た』んですよ。『小豆お祖母ちゃん』が『火の病気』を『発症』した瞬間をね………』



 それは彼が『中学生』の時だったらしい。『小豆さん』がたまたま『祖父』のもとを訪ねてきていて、『祖父』が強引に『小豆さん』を『一晩』泊まらせたのだ。『小豆さん』はやっぱり『迷惑をかける』と嫌がっていたが、『たかしさんの両親と祖母』も『小豆さん』が『大好き』だったらしく、『家族全員』で引き留めたので渋々だったらしい。『小豆さん』は昔から『押し』に弱いようだ。



 そんな日の『夜23時ごろ』、まだ寝る気のなかった『たかしさん』が『すでに寝ている両親祖父母』を起こさないように『こっそり』と『二階の自室』から『一階の居間』に降りてくると、そこにいた『小豆さん』と遭遇した。



『あ、『小豆お祖母ちゃん』起きてたんだ………疲れてないの?』と『たかしさん』


『全然眠くならないよね。そうだ『たかし』、一緒に『コーヒー』でも飲まない? 私『お気に入りの豆』を持って来ているの♪』と『小豆さん』


『お、いいね~! のむのむ!』



『たかしさん』が『リビング』に出してあった『炬燵』に入り、『小豆さん』が『金属製のポット』で『お湯を沸かす』ために『取っ手に触れた』、その時だった。いきなり『小豆さんの手元』から『火柱』が上ったのである。



 ボゥゥ!!



『!? うわぁ!! ちょ!? 小豆祖母ちゃん大丈夫!!??』


『たかしさん』が大声をあげて慌てて『小豆さんの手』を見た。だが『手』は『火傷』一つなく無傷で、しかし『ポット』はかなり『熱』を持っていたらしい。だが『小豆さん』は慣れた様子で、


『大丈夫よ安心して。『これ』はよくあることだから………『病気』みたいなものよ』と『小豆さん』



『びょ、病気………『体から火が出る病気』みたいな??』と『たかしさん』


『『体』から出るとは限らないわ。『私が触れたもの』から『火』が出ることもあるし、『二回目の火事』の時は『私がじっと凝視ししたストーブ』が『炎』を吹いたこともあったわ………そういう『病気』なの。だからもう慣れちゃったわ………』





『小豆さん』が『誰にも迷惑をかけたくない』と『一人暮らし』に拘ったり、『自分は無人島ででも一人で暮らすしかない』と嘆いたりする『原因』がその『火の病気』のせいなのだそうだ。なので『ノナさん』が『たかしさん』に、



『………もしかして、それで『東京』を転々としてたんですか?? じゃあ『大阪』云々の話は??』


『………『大阪』であったことは正直言うと『秘密』にしたかった………実は一度『大阪』で『ボヤ騒ぎ』を起こしたことがありまして、それはすぐに『消火』したので『火事』にはならならなかったのですが、『小豆お祖母ちゃん』の『手』から『火柱』が立ったところを『通行人』にみられてしまいまして………それまで『火の病気』を目撃した人は皆『友達になった人たち』ばかりだったので黙っててくれたのですが、さすがに『通行人』はそうはいかないので『通報』されてしまったんです………もちろん『小豆お祖母ちゃん』は『火をつける道具』なんて持ってなかったので『証拠不十分』で『不起訴』にまりましたが、結局『引っ越し』せざるを得なくなってしまったんです………』と『たかしさん』



 どうやらそのことは『あまり思い出したくない記憶』のようだった。だがその話を聞いて『お爺さん』は、



『………なるほど、『小豆さん』は『火難の相』があるといったところか………だからと言って『他の人間が住んでいない場所』に住まわせるなど『不可能』な相談だと………』


『ええ、『家と家の間の間隔が広いど田舎』なら適してると思われるかもしれませんが、そんな『限界集落』に『小豆お祖母ちゃん』が住めるわけないですよね。だって『東京生まれ』の人には『不便』過ぎて耐えられないですもの………ですから仕方ないんです、もう『火事が起こる』ことを『甘受』して生活するしか我々にはとれる道がないんですよ………(溜息)』と『たかしさん』


『………『悪意』がないのはわかってはいるんですけど、今の言葉は『過疎地域』で暮らしてる人たちの神経を無意味に『逆なで』するのでやめた方がいいですよ(良心)』と『ノナさん』



 ということで、『小豆さん』はその後しばらくして『ノナさんの隣町』に『あたらしい中古物件』を見つけてやっぱり『一人暮らし』を始めたらしい。それは『今』でも変わりないそうだ。




 そして、実は『ノナさん』はある時『本物の霊能者:氷室麗華さん』に『小豆さん』について『相談』すると、こんなことを言われたそうだ。




「………『仏教用語』には『瞋恚しんい』と言う言葉があるわ。意味は『激しい怒りと憎しみ』のことで、よく『瞋恚の炎(炎のような怒りと憎しみ)』と言う表現が『仏典』に登場するわ。きっとその『小豆』という『老婆』は『怒りや恨みの炎』にまとわりつかれているんでしょうね」




「それって『小豆おばあちゃん』があんな『優しそうな感じ』なのに『心の内』では『滅茶苦茶怒って』て、それが『炎』になって手から出てるってこと?? 『お祖母ちゃん』は『超能力者』??」と『ノナさん』



「それはわからないわ。恐らく『小豆本人』にしかわからないことよ。なんだったら『私』が聞きに行くわね」と『氷室さん』



『氷室さん』は『瞋恚の炎』をかなり気にかけていて、自分で『調査』を開始したのだった。次回へ続く。








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