其の八十七……『昼休み怪談部事始め:『貸家にすみついたトラックドライバーのお兄さん』の話『後編』』
今回もまた『其の八十六』の続きである。『ユズハさんの母方の叔父さん』は『貸家』を『不動産会社』を通して『大場』という『トラックドライバーのお兄さん』に貸していたそうだが、彼がやってきてから『町内』で『奇妙なこと』が起こり始めたという。
「……えっと、『叔父さん』がこの前話してくれたんだけど、『大場』っていう『借主』が来てから『四か月』経ったころだったかな? 『叔父さん』がまだ寝てた『朝五時頃』に突然『ご近所さん』が訪ねてきたそうだよ……」と『ユズハさん』
その『ご近所さん』は『近所』に住む『市長の奥さん』だったそうだが、その人が『青ざめた顔』で『チャイム』を鳴らしまくるので『叔父さん』が慌てて応対すると、
『た、大変よ! はやく着て頂戴! 事件よ事件!!』と『市長の奥さん』
『えぇ……? だったら『警察』呼んでくださいよ、なんなんですか一体…………(ぶつぶつ)』と『叔父さん』
『『警察』が車で時間かかるでしょ!! 早く来て『男手』が必要なのよ!!』
言われて『叔父さん』がパジャマのまま外に出ると……『貸家』に併設する『倉庫』の前で『いかつい男』が『ベルト』を『鞭』のように持って『若い女』を何度も『打って』いたそうだ。
『あぁ! っざけんあやぁ! クソアマがぁ!! 浮気したなぁ!? あぁ!? 死ねヤァ!!』と『男』
『あひぃ! ひぎぃ!? ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!! いぎゃあ!(悲鳴)』と『若い女』
『若い女』は『露出の多い格好』をしていて、全身いたるところが『うっ血』して痛々しい状態になっていたらしい。どうやら『二人の会話』から『女が浮気したので男が制裁している』ように見えたが、早朝とはいえ『公道』に面する場所でそんなことをやっているため、『近隣住民』が集まってきていた。だが皆『怯えて』しまっていて遠巻きに見てるだけである。
そして『市長の奥さん』は『町内の成人男性』を集めて回っていたらしかった。なので『叔父さん』が他の『男性』達と一緒に近づいていき、
『…………ちょっと! そんなところで一体何をしてるんだ!? 警察を呼ぶぞ!』と男性たち。
すると『鞭打ちしていた男』がそこで『ハッ』として、『眩しいくらいの笑顔』になった。
『…………あ、すみません! うるさくしちゃってましたよね! ごめんなさい、俺等の『これ』は別に『いつものこと』なんで問題ないっす! お騒がせしちゃってごめんなさい!』
すると『殴られていた女性』も慌てて平謝りしながら、
『ごめんなさい本当に! いつも『私たち』はこんな感じなんです! 朝早くにもうしわけありません! すぐにどきますので……』
そういってから『女』の方が『手』を出すと『男』がその手をとって『立ち上がらせ』た。そしてそのまま二人で『ニコニコ』しながら『手をつなぐ』。だが『女性』は『鼻血』を出したままだった。なので『叔父さん』たちが、
『え、いやいや! 明らかに『そうですか』では済まない感じでしょ! 『DV』ですよね!? すぐに『警察』を呼ぶので……』
『ですから全然そんなんじゃないですって! 『私たち』のことに『関係ない』人たちが『首』をつっこまないでください! じゃあいこ『たっくん』?』と『女』
『ああ、いこっか『みゆ』。それじゃあお騒がせしました~』と『男』
『二人』はそういってからそのまま『仲良さそう』に『貸家』の中に入っていった。そしてその『翌日』に『警察官』が『貸家』を尋ねていたのを『近所のおばさん』は目撃していたそうだが、その後は特に何の変化もなかったそうだ。
「…………でも『その日』いらい『貸家』からたまに聞こえてきた『女性の笑い声』は聞こえなくなったらしいよ。でもその代わり『大場さんの女友達』が何人も『貸家』を出入りするようになって、『叔父さん』が尋ねると頻繁に『女性』が応対するようになったそうだよ……もちろん『毎回別人』だったそうだけど」と『ユズハさん』
「なんというか、『貸家の中』で何が起こってるのか『想像』するのが難しいですね……(困惑)」と『私』
また『叔父さん』は『就寝中』に『別の事件』でたたき起こされたこともあった。『真夜中』に誰かが『チャイム』を何度も鳴らし『玄関のドア』をしきりに叩くので『叔父さん』が『玄関のドア』を開けず内側から叫んだ。
『いったい誰だこんな時間に!? 近所迷惑だろちょっとは考えろ!!』
するとなんと『ドアの向こう側』から『子供の声』が聞こえたのである。
『た、助けてください!! ここを開けて! やっと逃げ出せたんです! お願いします中に入れて!!』
『え!? わ、わかった! すぐに開けるから……』と『叔父さん』
尋常ではない調子だった。なので『叔父さん』が慌てて『チェーン』を外そうとするとまたも『ドアの向こう側』から『ドスの利いた男の声』が聞こえてきた。
『おらぁやっと見つけたぞガキが! 逃げてんじゃねー! どうせ『帰る所』なんてないだろうが!!』と『男の声』
『やめて! 離して! 助けておじさん!! 助けてぇ!!』と『子供の声』
『ま、待ってくれ! 今すぐ開けるから……』と『叔父さん』
『叔父さん』は『慌てすぎて』しまって『チェーン』をうまく外せず『苦戦』したらしい。そして『チェーン』が完全に外れる前に『男』が『怒声』をあげて、
『あぁ!! いてぇ! ガキがあああああああああ!!』
バァン!
突如『玄関のドア』に『外側』から『何か大きなもの』が『結構な勢いで衝突した』ようだった。『叔父さん』は思わず後ろ人『飛びあがって』から尻餅をついて『呆然』としてしまい、しかも『外側』から『声』が一切聞こえなくなったそうである…………、
……………………、
…………たぶん『30秒』くらい経ったと思われる。
『…………あ、え……まさか……!』と『叔父さん』
彼は『真っ青』になってやっと『玄関のドア』を開けると、そこには『二人の派手髪の女』が立っていて、
『『じゃっじゃ~ん! 『ドッキリ』でした~! びっくりしました『大家さん』?』』
『…………はぁ????』と『叔父さん』
いったい何が起こったかわからず『叔父さん』が『呆然』としていると、『派手な女二人組』は『爆笑』しながら、
『ひははははは!! 受ける~!! あたしらマジ『才能』あるって! 完璧に騙せたもんね~!』と『片方の女』
『付き合ってくれてありがと~! お詫びに『家賃の二倍』振りこんでおくから~! じゃあね~お休み~!!』と『もう片方』
そう言いながら『二人組』はこれまた『仲良く手をつなぎ』ながら『貸家』へと入っていったらしい。そして後日『監視カメラ』を回収しに来た『例の女性刑事』にこの話をすると、
『…………たぶんそれは本当にただの『悪戯』だと思いますね。『事件性』はないかと』と『女性刑事』
『えぇ?? でも『玄関のドア』に『へこみ』ができてましたし、なんか『血みたいな跡』も残ってたんですけど!?』と『叔父さん』
確かに『女二人組』が『悪戯』をしかけた『翌朝』に『叔父さん』が『確認』すると『外側から何かが衝突した凹み』と、さらには『血のような跡』が周囲の地面におちていたそうだ。だが『女性刑事』は不思議なほど淡白で、
『…………一応調査しておきますね。まあ『無関係』でしょうけど…………それではこれで』
それだけだった。そして後日『叔父さんの口座(家賃の振込口座)』に『迷惑料』と称して『大金』が振り込まれていたらしい。だが『ドアの修理費』と『清掃費用』を支払っても『結構な釣り』が残るほどの額だったので逆に不安になって『不動産会社』に連絡すると、
『…………『大場さん』に確認したんですが『本当に迷惑をかけたから受け取ってほしい』とのことでした…………確かに『修繕費』がかかってるので受け取ればいいと思います。安心してください、『資金の流れ』は我々が『把握』してるので。ちゃんと『大場さん』には『書類(何の?)』も書いてもらいましたから』と『不動産会社』
『はぁ…………まあそちらは『プロ』ですから、何かあったらお願いします…………』と『叔父さん』
一応『ドアの凹みと血のような跡』を『不動産会社』の社員さん立ち合いで『写真』をとっておいてから『修理』したそうだ。それ以後例の『派手髪の二人組』は目撃されていないそうである。
「…………もうなんか、『騒ぐほどのことではないレベル』から『明確におかしいレベル』になってません?」と『私』
「『レベル』が上がったからね(笑)。それで結局『半年』経って『大場さん』は『退去』することになったんだけど、『退去前日』に『ボヤ騒ぎ』があったらしいんだよね…………」と『ユズハさん』
その『ボヤ騒ぎ』もやっぱり『深夜』だったらしく、後で『警察』から聞い所『台所からの出火』だそうだった。といっても『台所』の壁が燃えたくらいですぐに『鎮火』したそうで、今は『業者』を入れて『元通り』にしてあるらしい。その費用はもちろん『大場さんの敷金』でまかなったのだが、『不足分』もちゃんと払ってもらったらしい。
「『ボヤ騒ぎ』……『何かの証拠』を隠滅しようとした??」と『私』
「そう勘繰りたくなるよねw その後『大場さん』が『退去』してから『叔父さん』が『清掃業者』を入れようと思ったんだけど、その前に『監視カメラ』をしかけてた『刑事さん』に一応聞いてみたそうだよ」と『ユズハさん』
『大場さん』が『退去した翌日』に『例の二人組の刑事』が『監視カメラ』を回収しに来たので──ちなみに『叔父さん』は退去日は知らせてはいない──一応『確認』したそうだ。
『あの…………『貸家』の中を確認しますか?? 何か残ってるかもしれないですし…………』と『叔父さん』
だが『男性刑事』が笑顔で、
『はは、なにか『勘違い』されているようですが、われわれはあくまで『監視カメラ』を仕掛けたかっただけでその『貸家(?)』は無関係ですよ』
『え? でもその『カメラ』って『貸家』を監視してたんですよね? ぜんぶの『カメラ』がそっちを向いてましたし…………』と『叔父さん』
『いえいえお構いなく………先輩、『バッチリ』撮れてますよ。すぐに『本部』に行きましょう!』と『女性刑事』
『そうか…………では我々はこれで(丁寧にお辞儀)』と『男性刑事』
『えっと…………はぁ、ならよかったです…………』と『叔父さん』
その後『叔父さん』と『お母さん』が二人で『貸家』の中を確認したそうだ。すると『奇妙なもの』を大量に見つけたそうだ。
『…………これって、『動物の毛』??』と『叔父さん』
それは『何かの動物の毛』だったそうだ。それがすべての部屋の『床』だけでなく『壁』や『天井』にもはりついていたらしい。というかよくみると『堅い毛の先』が『刺さって』いたそうだ。
『…………こんな『剛毛』、いったい何の毛なの?』と『お母さん』
『分からない…………『警察』に持って行っても調べてくれるかなぁ…………?』と『叔父さん』
だが『警察』に相談してみたら『被害届書きます?』と言われたので一応書いたが、その後は特に何もないそうだ。そして『大場さん』が去った後『町内』で奇妙なことは『一切起こらなくなった』らしい。
「…………ということは、この『怪談』はこれで『終わり』ですか?」と『私』
「そうだね~。でも最後に一つ。『私』はこの話を『サカナちゃん』と『ひむろん』に話したんだけどさ…………」と『ユズハさん』
その『二人の霊能者』はこんな『反応』を示したらしい。
『…………『何も起こってない』の本当に? 今の『金沢』では『何も起こらない』方が『異常』よ。それは『堰守衆』が『調査』すべきだわ…………』と『氷室さん』
『『不思議野町』は無関係だし、『宇宙人』も『量子力学』も関わりないね。安心してよ、『大場さん』は『人間じゃない』からさ』と『サカナちゃん』
「…………『何』を安心しろと??」と『私』
「いや本当にね(苦笑)。『やっくん』は身近で『変なこと』はない? なんか『私』の周辺の話ばかりになっちゃてる気がするけど最近…………」と『ユズハさん』
「う~ん、今のところはないですね…………たまに『変な夢』を見るくらいですけど…………」と『私』
『トラックドライバーのお兄さん』に関する話はこれでおしまいである。




