表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/76

其の七十六……『石川今論、北陸奇談『その二:『スキー場の旗』・『天狗雪』・『凍死した男』』

 今回は『其の六十九』と同じ『北陸を舞台とした『雪国怪談』』である『北陸奇談』を扱っていきたい。ただ前回の舞台は『新潟』だったが今回は『石川』であり、また『三つの小品』を一気に紹介いていく。




 まず『一つ目の話』だが、これは『里中さん』という『部長ユズハさんの友達の女子生徒』が『石川県白山市』にある『一里野温泉スキー場』に遊びに行った時のことらしい。彼女はこの時『自分の両親兄弟』及び『友達の家族』と一緒に『スキー』を楽しんでいたらしい。



『お~し! じゃあ『上級者コース』に初挑戦しよっかな~!』と『里中さん』


『お! ついに『中級者』卒業か!? 私も一緒に行く~!』と『友人』



 一方『他の家族たち』は『中級者』や『初心者』のコースにいる中『二人』だけは『上級者コース』に足を踏み入れたそうだ。さすがに『上級者向け』ということもあって『スキーヤー』はまばらで、おかげで『二人』は『開放感』を味わえたという。おりしも『天候』は『快晴』で『風』も弱く、『すがすがしい気持ち』になれたのだそうだ。




『いや~! やっぱ『こっち』は人少ないねぇ~!』と『里中さん』


『でもやっぱ『斜面』結構きついよね………ん? 『あれ』なんだろ??』と『友人』




『友人』が指さしたので『里中さん』もその方向を見ると、『上級者コース』の『斜面』の『下の方』に『赤と白の縞模様の旗』が見えたという。その『旗』が『左右』を往復していてるのだ。



『………………誰かが『旗』振ってる?? なんであんなところで?? 『助けを求めてる』とか??』と『里中さん』


 彼女は『トラブルならスタッフを呼んだ方がいい』と思ったのだそうだが、一方『友人』は『ちょっと待った』と制止したという。




『ちょっと待ってよ『佳ちゃん(里中さん)』。すぐにここを離れた方がいいかも。他の人にも『声』かけてこうよ! すみまーせん! たぶんだけどここ『危ない』ですよ~! 逃げた方がいいですよ~!!』と『友人』




『…………はぁ??』と『里中さん』


『はい?? 何言ってんすか一体………………(困惑)』と『他のスキーヤー』




 そう言いながら『友人』は周辺にいた『スキーヤー』を片っ端から捕まえて『このコースから離れた方がいい』と『忠告』し始めたのである。『里中さん』は途端に『訳が分からない』やら『恥ずかしい』やらで慌てて、



『ちょっとよっと!! なにいきなり『ここを離れた方がいい』とかって!? 意味わかんないだけど!? なんでいきなりそんなこと言いだすの?? そもそも『危ない』っていったいなんでそんなことを………………』と『里中さん』


『だってあの『紅白の旗』って『津波フラッグ』だもん。たぶん『津波』が来るんだよ。だから早く逃げた方がいいよ!』と『友人』



 読者の皆さんは『津波フラッグ』をご存じだろうか? 『スマトラ島沖地震』をきっかけに『静岡県下田市』で導入された、『赤と白の格子模様(縞模様は間違い)の旗』で『津波の接近』を知らせる『旗』のことである。『東日本大震災』を契機に全国的の海岸で導入が進み、『気象庁』が『法制化』したことで『全国』で使用されるようになったそうだ。実際はこの『津波フラッグの法制化』に対しては色々と『議論』があるそうだが、その議論はここでは扱わない。



 もちろん本来は『海岸』で使用されるもので『山の中』で使われるはずがない。そして『里中さん』が改めて『津波フラッグ』を眺めてみるが、『旗』は見えるも『旗を振っている人』は見えなかったらしい。だが『接近』しようとすると『友人』に腕を引っ張られて強引にその場から『連れ出された』のだそうだ。



『佳ちゃん早く! 『津波フラッグ』を見たらすぐに逃げるんだよ! うかうかしてると『津波』に飲み込まれるから!』と『友人』


『いたいたい! わかったから!! 一体何なのよ急に…………』と『里中さん』


『………………あれ? あれって『スノーボール』じゃないか………………??』と『他のスキーヤー』



 とりあえず『上級者コース』にいた人たちは皆『友人さんの熱意ある『逃げろ!』の言葉』に戸惑いつつも一旦は『コース』を離れたらしい。だが一部の『スキーヤー』は『雪崩の前兆である『斜面を転がってくる雪玉』を見た』と話しており、本当に皆が『非難』した後『すぐ』に『雪崩』が発生して『上級者コース』を飲み込んだらしい。




 この話をしてくれた後『里中さん』がこういって締めくくった。


「…………その『友達』にあとで話聞いたら『津波フラッグをたまたま知ってて、あれ見た瞬間『絶対やばい』って『ぞわぞわ』して皆に『逃げろ!』ていって回ったらしいよ。もちろん『旗を振ってた人』が誰かはわからずじまいだし、『命の恩人(?)』ではあるわけだけど………………もっと『分かりやすいやり方』で知らせてほしかったってのはあるね~(笑)」と『里中さん』





『二つ目』を始めたいが、その前に『妖怪マニア』である『ユズハさん』が『語りたい』そうなのでちょっと聞いてほしい。彼女は『江戸時代』や『中国古典』に登場する『怪談』が大好きなのだ。



『みんなは『天狗礫』って『怪奇現象』を知ってる? 『Wikipedia』にも記事があるし『検索エンジン』の『AI』も詳しく教えてくれるけど、ようは『空から突然石や岩が落ちてくる現象』のことだよ。『昔の人』は例えば『火山の噴石』とか『誰かのいたずらで投げた石』なんかを『きっと天狗が投げたに違いない』と『妖怪化』したものなんだよ! 『天狗』はあの有名な『隠れ蓑』で『目に見えない』うえに『空を飛び風を操る』からね! だから『天狗礫』っていうんだよ!(目キラキラ)』と『ユズハさん』




 さて、それでは『本筋』だが、これは『澤野さん』という『女子生徒』が実際に『体験』した話だという。彼女は『大雪』になった『日曜日』の『昼』に『自室』に引きこもり、『ベッド』の上で『漫画』を読んでいたらしい。


 すると外から『窓』に『雪玉』が投げつけられたそうだ。



 バンッ!



『!? なになに!? 一体何なの!?』と『澤野さん』



 最初は『何の音』かわからず身構えたが、『窓』を見るとさらに『雪玉』が飛んできて『バンッ!』と音を立てて『張り付いた』のが見えた。なので『窓』から外を見ると、『向かいの家の屋根の向こう側』から『雪玉』が飛んできてまた『窓』に当たったのである。



 バンッ!



『え、すごい所から『雪玉』飛んできてない………………!? 狙ってるの?? すごくない??』と『澤野さん』



 バンッ!



 彼女が『唖然』としている間もどんどん『雪玉』が投げつけられ続ける。なので『澤野さん』は『犯人』を見てみたくなって、すぐに『身支度』を整えて『外』に出たという。



『う~寒い! でも一体誰が………『家の屋根』を飛び越えて投げられるだけですごい『肩』だよね………??』と『澤野さん』



 彼女はそのまま『足元のべちゃべちゃの雪』をかき分けながら『向かいの家の向こう側』に回り込もうとしたらしい。だが実際に回り込んでみると『誰』もおらず、それどころか『さらに向かいの家の屋根の向こう』から『雪玉』が飛んできたのが見えたという。



『あ、あれ…………移動してる…………!?』と『澤野さん』



 彼女の目の前では『飛んできた雪玉』が『澤野さん宅の向かい側の家』の『生垣』にぶつけられていらしい。そして『澤野さん』はその『雪玉』が『かなりの精度で同じところに当たっている』ことに地味に驚き、さらに『雪玉』が飛んでくる方向に足を向ける。



 だがまた『隣の道』に入ると『さらに向かい側の家の屋根の向こう』から『雪玉』が飛んでくるのだ。なので意固地になってそっちに向かうが、回り込むとやっぱり『さらに向かい側』から『雪玉』が飛んでくる。なのでまたおいかけて………………と繰り返していると、途端に『金腐川』という金沢市内を流れる『二級河川』の傍に来たらしい。



 そして相変わらず『雪玉』が『金腐川』の『対岸』にある『民家の屋根の向こう側』から『澤野さん』のすぐ近くにたっている『電信柱』に綺麗に『命中』しているさまを見てから、



『………………もう帰ろっかな』と『澤野さん』



 彼女は『追い掛けるだけ無駄』だと思って帰ったらしい。ちなみに『家』に帰るともう『自分の部屋の窓』に『雪玉』は飛んでこなくなっていたそうである。



「………………(ピコーン!)もしかして、この『天狗雪玉』を『追い払う方法』て『追いかける』ことななじゃないですかね? 『追い掛けられる』とそれだけ『遠ざかっていく怪異』ってことなのでは??」と『私』


「お! その発想なかったよ『やっくん』~! 『怪異解決法』として『追記』しておくね~!」と『ユズハさん』





 ふふっ(得意げ)、では『三つ目』である。これは『姫川君の従兄弟』が経験したことらしいのだが、この『従兄弟の名前』を仮に『天音さん』と呼ぼう。『天音さん』は『友達や会社の同僚』と『飲み歩く』のが大好きで、『その日』も『金沢駅周辺』で飲み、『予定』では『北鉄石川線』に乗って『自宅』に帰るつもりだったらしい。彼の『家』は『石川線沿線』の『野々市市』にあるのだそうだ。



『おい『天音』! お前『ベロベロ』だけど大丈夫か!? 一人で帰れるか!?』と『友人達』


『大丈夫だって! お前ら明日『仕事』だろ!? さっさと帰らねーと明日に響くぞ!』と『天音さん』


『お前も同じだろうが! じゃあな!』と『友人達』



 だが『天音さん』は『北鉄石川線』が接続している『西金沢駅』にいくための『電車』待ちだったわけであるが、『駅構内』に入る前に『駅入り口』にある『ベンチ』に座ったのだそうだ。理由は『まだ時間あるし、目の前にベンチがあったからちょっと休憩しよう』と思ったかららしい。



『………………う~眠い………………あー、『駅』に入ってから座るべきだったな~………………でももう動きたくねぇ………………』と『天音さん』



 彼は『酔いが回った頭』でそんなこと考えながら、気づいたら『寝ていた』のだそうだ。おりしもその日は『記録的な低温になった夜』だったらしく、『天音さん』は酔っていても『寒さ』を感じたらしい。


『………………ウー寒い………………風つめてぇ………………やっぱ駅に入らねーと………………』と『天音さん』




 ………………………………、


 ………………、


 ………、




 しばらくして『ハッ』と『天音さん』が目を覚ますと、自分はいつの間にか『駅のベンチ』に座っていて、しかも『自分の横』に『自分』が寝ていることに気づいたのである。



『………………え? お、俺が寝てる!? どうなってんだ!? しかも俺冷たぁ!? え、これ『生きん』の!? まるで『死体』じゃねーか…………』と『天音さん』



 彼はしばらく『もう一人の自分』の体を『撫でまわしていた』そうだ。だがどれだけ『叩いて』も『もう一人の自分』は起きず、それどころか『脈拍』をはかっても何も感じず、鼻のあたりに指を当ててみたが『呼吸』も感じられなかった。そして『寝顔』は『真っ青』になっていて、それを見ていた『天音さん』はやっと『納得』したのだった。



『………………そっか、俺どうやら『死んでる』んだな。ってことは『この俺』は『幽霊』ってわけかよ……………』と『天音さん』



 彼は試しに『通行人』に声をかけてみたわけだが、もちろんのこと『全員』が『無視』したらしい。そして『通行人』に触ろうともしたのだそうだが、なぜか『近づこう』とすると『通行人』が『移動する床の上』にいるかのように『遠ざかって』しまうのだそうだ。そのせいで『触ることができなかった』らしい。



『マジか………『自分の体』だけ…………いや、あと『無機物』には触れるのか………………これが『幽霊』になるってことなんだな………………』



 と『天音さん』が独り言を喋っていると、突然『老人』が話しかけてきたのである。



『おい小僧! お前は『死人』のくせになに『能天気』なことやっとるんじゃ! こんな『公共の場』に 『自分の死体』を放置するな! 普通に『迷惑』じゃろうが!』と『老人』



『えぇ!? 爺さん俺が見えるのか!?』と『天音さん』



『見えんかったら話しかけんわいアホ! ほらさっさと『死体』をもってけ! 腐ったら匂うじゃろうが! 公共の場に『腐汁』を垂らすな! 全く最近の『若いもん』は死んでも『マナー』がなっとらんの~!』と『老人』


 こんな『お説教』を『一生に一回』でも聞くことになるのは多分『人類史上』で『天音さん』が『初めて』だろう。



『俺だって好きで『死体』になったわけじゃねーんだよ! 爺さんなんか『霊能者』っぽいよな!? 助けてくれよ! 俺まだ死にたくねーんだよ、よみがえらせてくれ!』と『天音さん』


『かー! 誰が『霊能者』じゃ失礼な!!(怒) お前のような『無礼者』を助けるわけなかろう! そのまま腐って骨になれ! 鳥のエサにでもなれれば上等じゃろう! じゃあな!』と『老人』


『そんなこと言わないで! よみがえらせて下さいお願いいします! なんでもしますから!!』と『天音さん』


『………………ん? 今なんでもするって言ったな??』




『老人』はそこで振り返ると、『天音さん』に近寄って、



『………………では今から『わし』を『抱きしめて』から『チュー』してみろ。そしたら助けてやるぞ』と『老人』




 ちなみにこの『老人』は『ホームレス風』の格好で近づくと『滅茶苦茶臭かった』らしい。なので『天音さん』は『絶叫』して、


『はぁ!!?? なんで俺が『汚い爺』と『ハグ』と『チュー』なんてしないといけねーんだよ!! 俺はそんな趣味ねーぞキモイんだよ変態爺!!』と『天音さん』


『は! お前の『覚悟』はその程度か! やっぱり『若者』は『軟弱』じゃの~! その程度の『覚悟』なら『浮遊霊』にでもなって『女湯』でも覗きに行くがいい! 『肉体』がないのに『のぞき』なんてしても何も楽しくなんてないがの~! じゃあわしはこれで………………』と『老人』


『あ、ちょ、ちょっとまってよ爺さん………………』と『天音さん』



 するとそこで『老人』は『カーッ! ペッ!』と『道端』に『痰』を吐いてから、



『………………なんじゃ若造、やっぱり『覚悟』を決めたか?』


『今ので『覚悟』が消し飛んだよ糞爺!!!(激高)『痰』はいたやつと『キス』なんてできるかぁ!! やっぱどっかいけ糞爺! いいや、今すぐてめぇを『祟り殺し』てやるから…………』と『天音さん』


『おお怖い怖い! じゃあワシは『逃げる』とするかの~!(脱兎)』と『老人』


『ああ!? やっぱり待って!! わかりました言う通りにするので見捨てないでくださいお願いします!!!』と『天音さん』


『くははは! ではその『覚悟』をみせてみろ!!』



 結局『天音さん』は『老人の要求』を受け入れたのである。なので『臭い』うえに『汚い』い『老人』をいやいや『ハグ』してから、死ぬほど我慢して『チュー』したそうである。



『むぐぐ(ぐぎゃああああああああ!!)………………んむ!?(あれ? あったかい!!)』と『天音さん』



 すると途端に『天音さん』の『全身』が『熱く』なったそうだ。しかも『老人』の全身から『湯気』が立ち上り、まるで『冷え切った体で湯舟に飛び込んだ瞬間』のような『感覚』が全身を貫き………………、






 …………気が付くと『病院』に寝ていたらしい。すぐに『看護師さん』に事情を聴くと、


『天音さんは『駅のベンチ』で『低体温症』になっていたのを『通行人』が発見して『救急車』を呼んだんでしょ。あと一歩遅かったら死んでましたよ~(笑顔)』と『看護師さん』


『こ、怖いこと言いますね………………でも看護師さん、多分俺『死にかけてた』んじゃなくて、『死んでた』んですよ。それを『変な爺さん』に助けられたんですよね………………』と『天音さん』


『?? 『救急車』を呼んだのは『若いお兄さん』でしたけど??』と『看護師さん』



 結局その『老人』が誰なのかはわからずじまいだそうで、『天音さん』は今日も元気に『飲み歩き』をしているそうだ(全く懲りてない)。




「………………もしかして『果心居士』なのかな??」と『ユズハさん』


「いや、多分違うと思います。まだまだ『金沢』にはたくさん『怪人物』がいるらしいですね」と『私』


「似たような『怪談』が『聊斎志異』にもあったはずだから、もしかしたら『仙人』かもしれないね」




『仙人』だとすればずいぶん『意地悪』だなと思う。以上で『三つの小品』は終わりである。

『津波フラッグ』の説明は『Wikipedia』参照です(出典)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ