其の六十二…『堰守衆の若手ホープ二人』と『川べりで大泣きする男たちと『正義の報い』』にまつわる話』
さてさて、最近はめっきり多くなった『形式』だが、『今回』も『前回』の『其の六十一』の『続き』であり、『後日談』である。『語り部』は変わらず『吉田ノアさん』だ。
「『ノアさん』確か最初に『化け狸を調伏した』って言ってませんでした? 話を聞いてる限りだと別に『退散』とかそういうのはしてる風には見えませんけど? 『ウチ』みたいに『改宗』とかできなかったんすか?(にやにや)」と『粟島悠さん』
「………『名取さん』に関する『化け狸の怪談』には実は『後日談』があるっす『姉御』(怒)。あれは確か『名取さんの事件』を解決してから『一か月後』だったはずっす………まだ話は終わってないっすからちゃんとさいごまできいてくださいよ『悠さん』!」と『ノアさん』
これは『富山市桜木町』の小さい『スナック』で行った『化け狸憑依事件』から『一か月後』のことだそうだが、いつものごとく『ノアさん』が『仕事』をしていると『非通知』の番号から電話がかかってきた。
ちなみに『堰守衆』は商売柄『非通知』の電話がかかってくることが多いので基本出るらしい。すると『スマホ』から『聞きなれない小さい女の子』の声が聞こえてきた。
『………確かにお前さんの言う通りだったな。あの時は『失礼』なことを言ってすまなかった。我らももう『歳』だから少々『料簡』が狭くなっていたかもしれない。まずはわびさせてほしい…………』と『声』
いきなり名乗らずに『上記』のことを喋ってきたので『ノアさん』は一瞬何の話か分からなかった。だが『数秒』で『一か月前』を思い出して、
『………あ! あの時の『太三郎狸』の連中っすか!? なんすか? 『あの後何が起こったか』をしって少しは『改心』したんすか? わかったらさっさと………』と『ノアさん』
『『改心』?? 何の話だ?? お前さんちょっと『勘違い』しておらんか??』と『女児の声』
この『女児の声』はまるで『説教』するかのように、
『『改心』するべきは『あそこにいた罪人』たちだろう? 『我ら』はその『手伝い』をしたわけだ。だが『その後で起こった出来事』をみればこれまた『輪をかけて嘆かわしい結末』ではないか! ああいう連中をまさしく『人面獣心』というのだぞ小僧(軽蔑)』
『全然謝ってないじゃないですか!』と『ノアさん』
『謝りたいと思ったのは『最初会った時『シャンパン』を飲みながら応対してしまった』ことについてじゃよ(平然)』
『なにを言ってんだか! そもそもなんですか『人面獣心』って!? 『あなた方』だって『狸』じゃあないですか!?』と『ノアさん』
『その通り! 『我ら』も『動物』だが『あの救いようのない罪人ども』も『動物』と同じだ! ならば『あの夜の出来事』はいわば『自然界における弱肉強食・食物連鎖』と同じということではないか? 例えば『狐がウサギを食う』ことや『狸が虫を頬張る』ことが『罪』になるだろうか? 『飼い猫』が『ゴキブリ』を獲ってきても『悪事を働いた』と考える『飼い主』はおらん! ただ『気持ち悪いから持ってこないで!』と思うだけだ! それと同じこと! ゆえに『我ら』は何も『間違ったこと』はしておらんぞ!』と『女児の声』
『何言ってんだか! それは『詭弁』だ! 『化け狸』が『人間』なわけあるか! あなた方は『狸』であって『人間』じゃないんですよ! 『生き物の種類』が違うんですからね!』
『あはははは! では一体どうやって『我ら』と『人間』が『別の生き物』だと証明できる!? 例えば『我ら』の『外見』は完全に『人間』だし、『知能』も『身体能力』も『人間の平均値』のなかにいる! そして仮に『我らの肉体』に『エックス線』を当ててみても、そこに映るのは『人間と全く同じ写真』だ! そして『血液検査』してもやっぱり結果は『人間』だろうな! ならば『我ら』はれっきとした『人間』と同じだと思わないか?』
『それは『あなた方』が『医者』と『医療機器』を『化かして』るからってだけでしょ! 『幻術』でそう見せてるだけで本当は違いますよ!』
『くはははは! 知っているか? 『大妖怪』と呼ばれるレベルの『化け狸』にもなると、『人間に化けた状態で死亡しても『半年間』も『変化の術』が解けない』なんて『神業』までやれてしまうこともあるんだ! そこまでしないと『解除』できない『変化の術』はもはや『現実を改編する術』と呼ぶべきだな! そうでないというのなら『我ら』の『変化の術』を『破る方法』を発見してみるがいい! できないだろう? できないから『堰守衆』は今まで『四国四大妖怪』と『不可侵』を貫いてきたんだろうが!』
これは『四国にある伝承』の一つだそうだが、さる『化け狸の大将』が『人間』に化けて『町中』を歩いていたら『犬』に正体を見破られて『かみ殺された』ことがあったらしい。だがこの『大妖怪』は『死亡』しても『狸の姿』に戻らず、『人間の死体』のままであったらしい。そのため『犬の飼い主』が『殺人罪』で『処刑』されそうになったのだ。
だがこの『飼い主』は『うちの犬が殺したのは狸だ! 妖怪ならそのうち『正体』を現すから待ってほしい!』と懇願して『術が解けるのを待ち続けた』らしい。だが『半年』も立つとさすがに『お上』もしびれを切らして問答無用で『打ち首』にしようとしたのだが………そこでやっと『変化の術』が解けて『化け狸』が正体をさらした、という『伝承』があるらしい(半年も待ってくれるなんて優しい)。
『その『伝承』だって結局『術』が解けてるじゃないですか!』と『ノアさん』
『『我ら』がなぜ『四国の政財界』を牛耳り、さらには『他の地域』にも『勢力基盤』を作れているのかわかっていないのか? それはその『死ぬと術が解けてしまう』と言う『弱点』を『克服』したからだ。すでに『火葬後骨が骨壺に納められるまでの間『人間』に化けていればあとは元に戻っても問題ない』と言う風に『考え方』を変えて『対処』に成功している(爆笑)。おかげで『我ら』はいまや『三大都市圏』に『九州』と『北海道』に『根』を張っており、あと残すは『北陸・東北・沖縄・小笠原』だ。たとえ『北陸』が『堰守衆』の『本拠地』だろうと『我ら』を止めることなどできないのだぞ………!!』
そう告げた後『スマホ』の向こう側から『わはははははは!』という『大勢の笑い声』が聞こえて来て思わず『ノアさん』が耳を遠ざける。だが『咳払い』してから『渾身の反撃』を放った。
『………『大狸の一族』が知らないはずないのですが、『伝承』では『化け狸』の死因のほとんどは『飼い犬にかみ殺された』なんですよ。昔から『化け狸』も『化け狐』も『人間』はだませても『犬』は騙せないのが『習い』でしてね………『堰守衆』には『狐狸専門の猟犬』がたくさんいますので、『その子たち』に『匂い』を調べさせましょうか?』と『ノアさん』
どうやら『ユズハさん』の話だと『『淡路島の芝衛門狸』って『大妖怪』は『通りすがりの犬』にかみ殺されたことで有名だよ』とのことなので『ノアさん』の言ってることは『正しい』らしい。そして『女児の声』の方は露骨に『舌打ち』して、
『………チッ、さすがに『誑かす』ことはできないか………だが忘れるなよ『堰守衆』、『我ら』はあくまで『そなたら』と『同盟』を結びたくてこうやって『会いに来た』だけなんだ。今後も『我ら』が『正義の味方』であることを『証明』し続けよう………『氷室麗華』によろしく伝えてくれ』と『女児の声』
『『四国』から『危険な怪異』が来たって報告しておいてやりますよーだ!』と『ノアさん』
以上が『後日談』であるそうだ。そしてその『報告』を聞き終えた『氷室麗華さん』は少し考えるそぶりをしてから、いう。
「………ご苦労様二人とも。では次は『昼休み怪談部』に関する話をしておくわ。あなた達には『今回』も『怪異』を『言葉巧み』に『手玉』にとってほしいの。ではまず先ほど言っていた『高宮柚葉』についてだけど………」と『氷室さん』
そして、『三人』が会話をしていたのと『同じころ』、『及川さん』と『鳴神さん』の二人は『図書館』で一人で『読書』をしていた『斎藤君』を捕まえてこんな『質問』をしていたという。
「………ねぇ、なんで『君』は『昼休み怪談部存続』の方に『味方』するの? 本来なら君は『こっち側』に与するべきなんじゃないの?」と『及川さん』
声はちゃんと『小声』だった。なので『斎藤君』も『小声』で、
「………なぜそう思うんですか? そんなの『僕』の勝手では?」
「だって『霊能者側』に立つ人が『一般人』がみだりに『怪異』に近づくことを『許容する』のはおかしいじゃん、それは『自分は良識が無い』と言ってるのと同じじゃない? 君は結構『サイコパス』なの?」と『及川さん』
そこで『斎藤君』は今まで読んでいた『本(漫画)』を閉じて向き直り、
「………『僕』は別に『一般人』がどうなろうとどうでもいいですよ。『怪異』に接近して『痛い目』にあったのならそれは『自己責任』です。それに勘違いしてますけど『僕』は『霊能者』じゃなくて『魔術師』です。『特異な能力を生れながら持っている人』ではなく、『後天的に不思議を使役できるようになった人』のことなので、そこのところ間違えないでほしいですね(ドヤ)」と『斎藤君』
「初めて聞く『定義』だよそれ(けらけら)。まあ『君』が勝手にそう思ってるのなら別にそれでいいんだけどさ、じゃあ『一つ怪談』を聞いてくれない? それを聞いたうえでちょっと『君の意見』を聞きたいんだよね………」と『及川さん』
彼女がそう言って『斎藤君』の横に座った。そして『斎藤君』をはさんで『向こう側の席』に『鳴神さん』が座る。
「………『オッケー』した覚えはないんですか?」と『斎藤君』
「君は聞かないといけないんだよ(決定事項)………これはちょっと前のことなんだけどさ。『金沢』の中心部を流れる『犀川』の『河川敷』で『三人の釣り人』が『釣り糸』を垂らしていた時に起こったことらしいよ………」と『及川さん』
『金沢』の中心部を流れる大きな川である『犀川』は『許可』があれば『川釣り』を行うことができる。なのでよく『釣り人』たちが『釣り』を楽しんでいる姿が目撃され、また『河川敷』がちょっとした『公園』みたいになっているので『犬の散歩』をしている人も多い。
ある『秋の昼間』に『鮎川さん』という中年男性が『二人の釣り仲間』と一緒に『川釣り』をしていると、突然『仲間二人』が『大声をあげて号泣』しはじめたらしい。
『『ああああああああああ!! ああああああ!!(滂沱の涙)』』と『仲間二人』
『えぇ!? いったいどうしたんだ二人とも!? なんでいきなりな始めた!?』と『鮎川さん』
その『大声』に近くにいた『通行人』も足を止めて集まってきたために『鮎川さん』は『恥ずかしくて』仕方なかったらしい。だけどどれだけ言っても『二人』は泣き止まず、それどころか『日本語でない言葉』で喋り始めたらしい。
『え? ええ?? なんだって!? 何語だ二人とも!? 頼むから分かるように喋ってくれ!』と『鮎川さん』
だが『仲間二人』は『鮎川さん』の言葉が理解できないらしく、何を言っても『分からない』と言いたげな顔で『首を振る』だけだったという。もちろん『普段の二人』はむしろ『日本語』しか喋れないことは言うまでもないだろう。
『いったいどうしたんだ二人とも!? なんなんだよ本当に!? これなんかの『どっきり』とかじゃないよね!?』と『鮎川さん』
そしてそこで『通行人』が『通報』したらしく『警察』がやってきた。だが『鮎川さん』はなんと『説明』すればいいのかわからず、仕方なく『ありのまま起こったこと』を話したらしい。
『あ、あの! 正直自分でも『何が起こっているか』分からないんですが、この『二人の友達』が突然『号泣』し初めまして、しかも『日本語じゃない言語』で喋り始めたんですよ! そしてなぜか『日本語』が急に通じなくなってるんです! おかげで『原因』もよくわからなくて………なんかの『病気』とかですかね!?』と『鮎川さん』
『………とりあえず『救急車』を呼びましょう』と『警察官』
まずは『近くの大学病院』で『精密検査』が行われたが、やっぱり『原因不明』だった。だが『看護師』の一人が『仲間二人』の喋っている言葉が『ベトナム語』であることに気づいたという。
『………あの、この人たち『ベトナム語』を話してます。一人は『ハノイ』の方言で、もう一人は『ホーチミン』やその周辺の出身だと思います………ものすごく『ネイティブ』ですよ(感心)』と『看護師』
『そうなんですか………でも『二人』とも『ベトナム語』は喋れないはずですよ………しかも『方言』も違うなんてなんで………??』と『鮎川さん』
『………これはもしかしたら『幽霊課』案件か………?』と『警察官』
『え? なんか言いました?』
『あ、いえ………』
そして今度は『警察』が『ベトナム語通訳』を連れてきて『仲間二人』に話を聞くと、『二人』はどうやらこんなことを言っていたということが分かったらしい。
『『もうずいぶんと『故郷』に帰っていない。『故郷』に帰りたい。でも帰れない。ダメなんだ、今『ママ』だとダメなんだ。でも帰りたい、でも帰れない、どうにかしてほしい! 動けない理由が分からない、でも帰りたい………』』と『二人』
そこまで語ってから今度は『鳴神さん』が口を開く。
「………全く何が何やらですね。ただその後、『鮎川さん』たちが『釣り』をしていた『あたり』の『川底』を『警察』が『捜索』したそうです。ですが『なにも』見つからなかったらしく、また『友人二人』も相変わらずの『要領を得ない状態』です………『少年魔術師』殿は一体『何が起こっている』と思いますか?」
その質問もかなり『ぼんやり』していると思う。なので『斎藤君』が文句を言って、
「知りませんよそんなの(不満)。そもそも『開示されてる情報』が少なすぎでしょうが………まあでも、たぶんそれは『お決まりのパターン』で『ベトナム人の幽霊に憑りつかれている』とかそういうのでしょう? たぶん『幽霊本人たち』も『自分の置かれている状況』をちゃんと理解できてないんでしょうね………『分かってる情報』だけで判断したらそうとしか考えられないですよ」と『斎藤君』
「お、ご明察~! まあ大体『そういう認識』で間違ってないよ………さて、そこで『選んでほしい』んだよね『斎藤君』にはね………ここに『1枚の呪符』があるの分かるかな?」と『及川さん』
彼女がそう言って『黄色い紙に呪文が書かれたいわゆる『呪符』』を取り出す。そこにはよくみると『ベトナム語』で『誰かの名前』が書かれていた。
「………本当はこの『呪符』は『もう一枚』あったんだ。でもその『一枚』は『燃やして』しまったから『これ』だけしかもうない………この『呪符』が『なにをするためのもの』かわかるよね?」と『及川さん』
「………それは『天』に対して『この被害者の無念を晴らしてください』って『呪殺』を願うものですね。『一枚燃やした』ということは、『二人』についた『亡霊』のうち『片方』を殺した『加害者』に『呪詛』をかけた』ということですか?」と『斎藤君』
「うん。私が『呪符』を『一枚』燃やしてから『翌日』に『警察』に『一人の男』が『自首』してきたそうだよ。でもその『男』は『自首』したあと『首をつって』死んじゃったんだ………」と『及川さん』
『及川さん』が取り出した『呪符』は『彼女自身』が用意したもので、『呪詛』のやり方はまず最初に『祭壇』を設けてから、『吉日』を選んで『天の上の神々』に『哀れな被害者の魂を慰めるためにお力を貸してください』と『祈り』ながら『呪符』を『お焚き上げ』するという『作法』だったらしい。
するとこの『呪法』は瞬く間に『霊験』をあらわし、『自分はあるベトナム人の女を殺した』と突然『一人の男』が『警察』に『自首』したのだそうだ。この男の口から『被害者の素性』もわかり、この男の『犯行時刻』を聞きだしてから改めて『犀川』を捜索すると、『数キロ下流』に『一人分の死体』を発見したらしい。
「………そして『男』が『自殺』すると『鮎川さんの友人の一人』が『正気』に戻ったわけ。でも『もう一人』は全然『治ってない』んだよね。たぶん『加害者』は『もう一人以上』はいて、まだそいつらは『報い』を受けてないせいだと思うだ………ねぇ、『斎藤君』は『私』がやったことは『正しかった』と思う? そして残りの『呪符』も『お焚き上げ』するべきだと思う………?」と『及川さん』
「………もし『正しい。お焚き上げするべき』と答えたら、それって『私刑』ですよね………?」と『斎藤君』
「よ! さすがは『高校生魔術師』! 現状求めうる最高の答えを出しましたね!」と『鳴神さん』
この話は次回へ持ち越す。




