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其の六十…『昼休み怪談部事始め:『野崎さんの怪しい恋』と『堰守衆の若手ホープ二人』にまつわる話』

『今回』も一応は『其の五十九』の『続き』であるわけだが、『怪談』に限れば別に読まなくてもいいかもしれない。まず『前回』、『昼休み怪談部の行く末』をめぐって『廃部』を主張する『氷室さん』と『存続』を願う『ユズハさん』の間に割り込み、その『ユズハさん』に協力する『姫川君』に恋していながら『氷室さん』に味方した『一般人』が『野崎アユさん』である。


 その『野崎さん』が『私』こと『やっくん』と『ナツメちゃん』に『なぜ姫川君と対立する氷室さんに味方したのか』を尋ねたことがあった。偶然『下校時』に『玄関』で鉢合わせたので『ナツメちゃん』が声をかけたのだ。



「ねぇアユ! なんであんたは『ひむろん』の味方したの?? 『姫川が可哀そうだから』ってどういう意味?」と『ナツメちゃん』



「…………なんだ『ナツメ』か。そんであんたは………『やっくん』だっけ? 『可哀そうだ』と思ったのは『可哀そうだから』よ。だって『姫川君』は好き好んで『怪奇現象』にあってるわけじゃない、『怪奇現象』と『普通の現象』を見分けることができないってだけだし、本人がそれで『苦しんでいる』のになんで『昼休み怪談部存続』のために力を貸さないといけないわけ? むしろ『姫川君』が望んでいるのは『自分を苦しめる異能』が『消えてなくなること』じゃない? 『怪異と極力関わりたくない人』が『怪異を呼び寄せる部活』を助けるなんて『不合理』に決まってるじゃん」と『野崎さん』



「…………なるほど、確かに『姫川君』にとって一番望ましいのは『他の人と同じものが見えて同じものが見えない状態』になることですよね………そうであっても『姫川君がどう見えているか』に限らず『怪異や死後の世界』は『存在』することはかわらないわけですし………」と『私』



 ここで『私』は『野崎さんが味方するのも仕方ない』と思って『それだけ』だった。だが『ナツメちゃん』の方はそもそも『声をかけた理由』が『野崎さんを自分たちの側』に『引き込む』ためだったので、



「………『アユ』は『サカナちゃん語録』をどんくらい知ってる? ほら、あの子いつも『変なこと』しか言わないけど、『怪奇現象』とかそういう方面にめっぽう『強い』じゃんか………?」と『ナツメちゃん』


「…………まあそりゃあ『サカナちゃん語録』なら私だって知ってるわよ。なんだっけ? 『怪奇現象より科学の方が不条理』とか『幽霊は科学的に説明できる』とかそんな感じだよね?」と『野崎さん』


(『サカナちゃん語録』って………(苦笑))と『私』



「いや『正確』な話すると『サカナちゃん』は『幽霊は科学的』とかそんなことは言ってないんだけどまあ、それは置いといて………その『サカナちゃん語録』の中に面白い『名言』があるんだよね。ずばり『現実』は『粒々』で『全ての存在』は『他のあらゆる存在』と『現実』を『共有していない』ってやつよ………つまり『アユの現実』は『アユだけのもの』であって『アユ以外の誰の物でもない』わけね。これはもちろん『姫川』にも当てはまる………『あたし』の言いたいことわかる?」と『ナツメちゃん』



「…………つまり『姫川君が異能を失くす』と『死後の世界が『姫川君だけの現実の中』で存在するという証明』も一緒に消えるってこと?」と『野崎さん』


「話わかんじゃんアユ~!(歓喜) そうそう! 『アユ』だって『サカナちゃん』が言うことなら信じるっしょ? だからあんたは『姫川』のためを思うのなら『ユズハの味方』になるべきだって! 『姫川の過去』はもう今更『変えようがない』けど、『恩返しできるチャンス』は残してあげるべきじゃん? その『チャンス』を提供できるのが『昼休み怪談部』なんだって!」と『ナツメちゃん』



「はい?? なんでそこで『昼休み怪談部』が出てくるわけ? 別にその部活が無くなっても『姫川君』には何の影響もないでしょうが! まさか『昼休み怪談部が廃部になると姫川君の異能も消える』とかいうんじゃないでしょうね??」



「『姫川』は実際のところ『今のまま』だと『怪奇現象に振り回され、周りのみんなから白い目で見られて孤立するだけ』じゃん? でも『昼休み怪談部』は『姫川』に『帰るべき場所』を与えてんだって。『姫川』も『安心できる場所』があれば、そこでじっくり『義理の両親に恩返しする方法』を調べられるわけじゃん?」


「別に『姫川君』は『ボッチ』とかになってないじゃん! むしろ………(急にイライラ)…………『女子人気』がすごいわけじゃん? 別に『昼休み怪談部』は無くても『姫川君』の『居場所』なんてどこにでもあるわけだし………いや『私の隣』以外は認めないけど!!(興奮)」



 そこで『ピン』ときた『私』が初めて口を開き、


「………あの、じゃあ『ナツメちゃん』とはちょっと『違う考え方』をしませんか? 『姫川君』は過去に『義理のお父さんとお母さん』が『怪異』によって『酷い目』にあった経験から『人間関係』に『絶望』を抱えていると思うんです。彼は『自分の異能』で『新しい犠牲者』を出したくないんですよ………だからこそ『姫川君がそういう心配をしなくていい場所』が必要だと思うんですよね。『霊能者によって守られているけど、でも『霊能者と言う特殊な人たち』とだけじゃなくて『一般人』ともかかわれる場所』ってやつです………」



『私』の喋っている合間に『野崎さん』がなにか言おうとしたが、途中で口を閉じて『目』で『続けて』と促す。なので『私』が、


「…………きっとそういう場所があれば『姫川君』も『孤独感』を抱かずに済むと思うんです。やっぱり『姫川君と霊能者しかいない場所』だと『姫川君』自身が『自分は一般人の世界に関わることはできない』と『絶望』を『悪化』させるだけでしょうから。ですから『昼休み怪談部』は『姫川君』のために『存続する』べきなんですよ………(力説)」と『私』


 良い感じにこの『論法』が『野崎さん』に『刺さった』らしい。彼女はちょっと難しい顔になってから、


「…………あんたらの言うことは『理解』できる………ちょっと考えさせて………(頭をかく)」と『野崎さん』



 思わず『私』が小さく『ガッツポーズ』し、すぐに『ナツメちゃん』と『軽くハイタッチ』したんだった。


「やるじゃん『やしお』、このままあの『及川』だっけ? あいつも『説得』しにいってみる?」と『ナツメちゃん』


「いや、『僕』が『説得』できたのは『ナツメちゃん』の話の『後』だったからだよ。それより『傍聴席』にいた『サンシ先輩』と『ノナさん』の方を味方にするべきかもね。『及川さん』はなんか『怪しさ爆発』してるから味方になってくれなさそうだし」と『私』


「確かに『及川』は『霊能者』っぽい雰囲気だもんね。じゃあ『ノナ』に連絡するよ(スマホを取り出す)」


(…………この二人仲良すぎじゃない? やっぱり『付き合ってる』って噂は本当??)と『野崎さん』






 そしてそのころ、『氷室麗華さん』の方もちょっとした『動き』があった。『氷室さん』が本来『進入禁止』であるはずの『校舎屋上』で一人『仁王立ち』をしていると、そこに『二人の人物』が近づいてきたのである。



「…………呼びましたか『麗華の姉御』。『黒百合丘学園』は『怪異の巣窟』だと聞いてますが、『姉御』が『俺ら』を呼ぶなんて珍しいっすね。そんなに『やばい奴』がいるんすか?」と『黒人の男子生徒』


「『麗華姐さん』直々の『ご命令』と言うことでしたので『仕事』をさっさと片付けてきましたよ。でも『堰守衆の学生退魔師』なんて『ウチら二人』しかいないじゃないですか、その『貴重な二人』を『黒百合丘学園』に集めていいんですか? 他の学校に手が回りませんよ?」と『ヒジャーブを被った女子生徒』




『男子生徒』の方は『炭のように真っ黒な肌』と『ドレッドへアー』が似合っている『身長180センチ』に達する『瘦身の美形』である。まくり上げた『袖』から『筋肉質の腕』が挨拶しており、体毛は薄い方のようだ。


 一方『女子生徒』の方は『ムスリマ(イスラム教徒女性)』の証として『ヒジャーブ』を被っていて、手には手袋、スカートの下には『ジャージ』を履き『顔面』以外の『皮膚』を徹底的に隠していた。


 そして『男子生徒』の『背中』には『箙(矢筒)』が『三個』も釣り下がっており、『手』には『和弓』が握られている。また『女子生徒』は手に物騒な『槍』が『地面』に『長い影』を落としている。長さはおおよそ『二メートル』ほどにみえた。




 その『二人』にふり返った『氷室さん』がうなずいて、



「………久しぶりね『吉田ノア』と『粟島悠』。『今回』あなたたちを呼んだのは他でもない、今この『黒百合丘学園』で行われている『会議』で『私』の『味方』をしてほしかったからよ。あなた達は『堰守衆』の中で『私』と『歳が近い』からこの『学校』に出入りしても『違和感』はないし、『退魔師』としての『腕』も立つから『助っ人』を頼みたいの」と『氷室さん』




 実は『吉田ノア』と『粟島悠』は二人とも『堰守衆』の一員で、『氷室麗華』が『直々』に『退魔師』に必要な『技術と知識』を叩き込み鍛え上げた『愛弟子』的な人たちらしい。そして『氷室さん』がこの『二人』を今回『助っ人』に指名した理由は『学生だから』というだけでなく『腕が立つ上に弁も立つ』ためだったそうだ。



「『姉御』のお願いとあれば喜んでやりますけど、『一つだけ』いいっすか? なんでこの『ヘボ』がいるんすか? 『ヘボ』が一人混じってると『姉御』の『負担』が『激増』するので『ヘボ』は外すべきっすよ」と『吉田君』


「さすがわかってますね。さあすぐに帰りなさい『ノアさん』、ここは『ヘボ』のあなたの出る幕じゃないんですよ」と『粟島さん』


「なんで『俺』!? ちゃんと『悠さん』を指さして『ヘボ』呼ばわりしてたっすよね!?」


「残念でした、これは『漫画』じゃなくて『小説』なので『ノアさんのジェスチャー』は見えません。ゆえに『主語』を明確にしないと誰を指しているのかわからないのですよ。油断しましたね(ニヤリ)」


「新年早々『メタネタ』は控えてもらっていいすかね??」



「相変わらずの『名コンビ』で頼もしい限りだわ………(本当か?)………それで? さっき『仕事を片付けてきた』と言っていたけど、私は『具体的な報告』をまだ受けてないわ。今から『報告』してちょうだい」と『氷室さん』




 どうやら『吉田君』と『粟島さん』はそれぞれ『黒百合丘学園』に来る前に『別の仕事』を終わらせてきたらしい。まず『粟島さん』の方から語り始めた。



「わかりました『姐さん』。『ウチ』はここに来る前に『片町にある某ビル』で『仕事』していたのですが、そこに入っているある『バーラウンジ』は『お客』を呼び込むために、どこで手に入れたかわかりませんが『殺生石』をお店に飾ってましてね………」と『悠さん』



 唐突だが『殺生石』とは大昔『中国』で『時の皇帝』を何人も誑かして多くの『王朝』を崩壊させた『九尾の狐』が『中国』を追われて『日本』に移住し、そこでも『朝廷』を混乱させたが『退治』され、『大きな石』に変身して『死』だけは免れた、その『石』こそが『殺生石』である。この『殺生石』は『周囲』に『強烈な毒ガス(?)』を放っていたので生き物が近づくと『即死』してしまったらしい。


 この話は『能』の演目にもなっていて有名だが、後に『殺生石』は『高僧』が『お経』をあげると『割れて』から『九尾の狐』も『成仏』したという………だが実は『砕けた殺生石のかけら』は普通に『残存』しており、『日本全国』に散らばっているそうだ。その『殺生石』をすべて『回収』するのも『堰守衆』の『使命』の一つらしい。




「また『呪われた品』を『招き猫』代わりにしてる店っすか。どんだけ『周知』してもマジで皆やめないっすね~? しかも『殺生石』なんてどこで手に入れたのやら(呆れ)」と『ノアさん』


「………『長老たち』が言っていた『殺生石専門のブローカー』がいる可能性があるって話はいよいよ『信憑性』を増してますね………ただその『片町のバーラウンジ』に置かれていた『殺生石』は『小さい欠片』だったので『石の上にとまった蠅』も殺せない程度の『毒気(毒ガス)』しか出してなかったですね。むしろ『弱い毒』は『酩酊効果』があるみたいで、『ママのトークがうまくて気持ちよく酔える店』とか『口コミ』が広がって『繫盛』してました………みんな『勘違い』してたみたいですね(笑)」と『悠さん』




『片町』は『金沢』を代表する『夜の街』であり、ここには『夜のお店』が入居する『ビル』が軒を連ねている。ある時『粟島悠さん』は『愛用の槍』片手に『大股』で『ビル』に乗り込み、『殺生石』を飾っている『バーラウンジ』に『突撃』したそうだ。



『ちょっと失礼しますよ~! ここに怖ろしい『魔女の石』があるんですよね~! 『神の怒り』に触れたくないのなら邪魔しないでくださ~い!(槍を突き出しながら)』と『悠さん』



『うわ!? え、こ、子供!? なんだそのふざけもん(槍)は!? あ、こら! 勝手に店に入るなぁ!』と店員。


『え、な、なに!? 一体なんなの………??』とママさん。


『『『な、なんだ!? トラブルは御免だぞ!』』』と客たち。



 この『バーラウンジ』の店員は『腕』に『立派な刺青』が入っていて『凄くおっかない感じ』だったが、どうやら『ぼったくりバー』と言うわけではなかったらしい(平均的な値段設定)。そして『悠さん』は『ドン引きする客』や『硬直するママさん』も無視して『店の奥』の『神棚』の前にやってきた。




『………『神以外に神はなく、預言者(平安あれ!)はその使徒なり(祈り)』………ちょっとこの『神棚』に飾られてる『石』を『回収』しますよ。大変危険といいますか、『昔の言い方』をすると『淫祠邪教』、あるいは『アラビア語』では『逸脱ビドア』とでももうしましょうかね? 『殺生石』はすべてこの『堰守衆』が『回収』することになっているので失礼しますよ………!』と『悠さん』




 正直『語り部』である『私』は『悠さん』の言ってることの『半分』くらいがよくわからない(汗)。そして『悠さん』が『神棚』に手を伸ばして『白い皿』の上に乗っていた『殺生石』を掴むと、途端に『轟音』が店内に鳴り響いたという。




 バァン!




 それと同時に『店の店員と客全員』が『ピン!』と立ち上がって『直立不動』になり、まるで『水族館』で人気者の『チンアナゴ』の真似をしているかのような状態になった。だが『ふざけている』わけではなく皆『焦点の定まらない目』で『虚空』を見つめながら『全員同時に口を動かした』のである。




『『『………貴様『堰守衆』とかいったな………『妾の欠片』を『封印』しにきたのか………??』』』と『客&店員』たち。




 明らかに『尋常』ではない。そしてそこで『悠さん』は『自分の手』で握っていたはずの『殺生石』が『消滅』していることに気づく。



 だが『悠さん』は動じず『槍』を構えて、



『………早々にお出ましですか『殺生石』、いいえ『九尾の狐』殿。『本朝(日本)』、『震旦(中国)』、『天竺(印度)』を震え上がらせたその『霊威』は『今の世』にはあまりにも『毒気』なのですよ。あなたの『魂』はとっくの昔に『成仏』したんですから、『体』の方もどうかいい加減大人しく『滅んで』くださいよ………!!』と『悠さん』




『『『いいや、我らは『生きる』のだ。単身で突っ込んでくるとは愚か者め………『小さい欠片』無勢と侮ったか? その『天狗鼻』を綺麗にへし折ってくれるわ!!』』』と『客&店員』たち。




 ここからは『怪談』には珍しい『戦闘シーン』へともつれ込み(前にもあったけど)、主に『絶叫する店員と客』たちが『適当なボトルとか椅子とかアイスピックとかの武器』を片手に『悠さん』に向かって突っ込んできた! ………だが『悠さん』は『二メートルの槍』をまるで『そこらへんで拾った枝』みたいに『器用』に振り回して『全員』吹っ飛ばしてしまう。




 ブゥン! バガァン!!




『『『がぁあ!? こんな狭い店内でなぜ『槍』を『振り回せる』んだ!?』』』と『客たち』


『なんででしょうね? 一つ言えるのはこの『槍』が『普通の槍』じゃないってことだけですよ………!』と『悠さん』


『『『なるほど、『呪物』だというわけか………だが無駄だ! なぜなら『我』にとってこの『人間』どもは『使い捨て』、『痛覚』を消してしまえばお前に触れるくらいわけない! 死ねぇええええええ………』』』と『店員たち』



 確かに『痛覚を消した店員』たちは『悠さんの槍』を受けても全くひるむことなく突進してくる。だが『客』の一人が『悠さん』の服の袖をつかみ………いきなり『発火』したのである。




『!? ぐああああああああああああ!!??? なんじゃこりゃああああああ!!??』と『客』


『『『!? なんでこっちも燃えるんだあああああああ!!??』』』と『他の客と店員』





 しかも瞬時に『飛び火(?)』して『客と店員全員』が『火だるま』になって転げまわる。そして『悠さん』はその『火だるま』を一人ずつ『蹴とばして』いくと、『火』が消えてその下から『無傷の客と店員』が気絶した状態ででてくるのだった。そうやって『最後まで燃えている客』を見つけると、そいつは『蹴らず』に『足で頭を踏み』つけて、



『………さすがに『ダーウード(ダヴィデ)の護符』は効果抜群ですねぇ♪ さぁ『あなた』が逃げ込んだ『先』は文字通り『炙り』だしましたよ。『自分の意志』で『成仏』するのでしたら『情け』をかけますが、『拒否』するのでしたら『神』の『業火』で未来永劫『焼かれ続ける』ことになるでしょうね………『10秒』だけ待ってあげます。10! 9! 8! ………』と『悠さん』



『悠さん』の服の下には『ダヴィデの星』が描かれた『カバラ秘術』の『護符』があったのだ(『カバラって何ですか?』byやっくん)。するとここで『憑りつかれている店員』が平謝りして泣き叫んだらしい。



『待ってええええ!! 『成仏』は嫌だけど『地獄』に落とされるのも『封印』されるのも嫌だぁ! だ、だから頼む『改宗』させてくれ! 俺を『ムスリム(イスラム教徒)』にしてくれ!!』と『殺生石』



『………はいぃ?? 改宗ぅ???』と『悠さん』




 想定外の言葉に『悠さん』が間抜けな声をあげる。だが『殺生石』は本気らしく、


『お、おれは昔『中国』にいたから知ってるんだ! 『大食アラビア』の『怪異ジーニー』は『イスラームの教え』に『帰依ムスリミーン』することで『善霊』として扱われるんだって!! 頼む! これからちゃんと『ムスリム』としてあるべき行動だけをして『人間』にも迷惑を掛けないから『帰依』させてくれ! 『色目人(西アジア人)』ではそれが『普通』なんだろ!? お前も『平安の教え』を守る『信徒』なら『改宗者』を受け入れるべきだ! たとえそれが『怪異』であったとしても! 俺は別に『人間』を食わないといきていけないわけもでない! ただ『退魔師』から身を守るためにやってただけなんだ! 本当だ! だから信じてくれ~!!』と『殺生石』




『悠さん』はしばらく悩んだのだが、『騒ぎ』を聞きつけて『ビルの他の店の客や店員』が集まってきているのに気づいて、



『………チッ、とにかくいったん『あなた』だけは来てもらいますよ。『処遇』は後で決めますからね!』と『悠さん』



 彼女は『殺生石』を『泣き叫んでいた店員』の懐から抜き取ると、さっさとその場を立ち去ったのだった。





 ………ここまで『悠さん』が語ると『氷室さん』が『眉毛を極端に変形』させながら、



「………………『向こう(イスラム諸国)』では本当に『怪異』も『改宗』できるの??」


「はい、『本当』です『姐さん』。といってももちろん『信徒』になったのなら『六信五行』をはじめとする『信徒の義務』は守らないといけませんけどね。そして結局『モスク』の指導者たちと話し合って『改宗』を許可しましたね。『善霊』となったのでもう悪さはしないはずです(こともなげ)」と『悠さん』




 これは『私』も驚いたのだが、『千夜一夜物語』の中でも『イスラムの教えに帰依しているジン(怪異)』が数多く登場しているらしく、『信徒のジン』は必ず『善人』を助け『悪人』に罰を与え、また『運命の恋人同士』を『くっつける』役目も担うそうだ(カルチャーショック)。




 そういって『悠さん』が『お守り袋』のようなものを取り出す。どうやらその中に『改宗した殺生石』が入っているらしい。『氷室さん』もまた『カルチャーショック』を受けながら、



「………世界は広いわね…………でもそれは下手すると『高宮柚葉』達に間違ったメッセージを与えかねないかしら…………?」


「『高宮柚葉』?? 誰です?? ていうか何の話ですか?」と『悠さん』


「何の話か分かんねーっすけど、『悠』が悪いことだけはわかるっすね」と『ノアさん』


「いいえ、『姐さん』が『ウチ』のことで頭一杯なことだけはわかりますね」と『悠さん』


「それ別にあなたのことが『好き』とかじゃないっすからね!? …………『姉御』、『考え事』の前に『俺』の報告も聞いてくださいよ!」と『ノアさん』



 この『二人の堰守衆』の『報告』は次回に続く。

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