其の五十七…『昼休み怪談事始め:『妖刀』についての二話』
『今回』は、いや本当は『も』なのだが、『其の五十六』の『続き』である。『本物の霊能者』であり『素人の怪談蒐集に断固反対』の立場をとる『氷室麗華』さんと『『怪異』とかかわりはあるが本当に『ガチ』の『一般人』』である『ユズハさん』が『怪異と人間は共存可能か?』をかけて『激しい論戦』を繰り広げていた。
「『怪異』の中には『人間の味方』になる子(?)もいる! 『ひむろん(氷室麗華)』が持ってる『妖刀』だって立派な『怪異』だけど、『役に立つ』から『お祓い』してないんでしょ!? それなのになんで『人間と怪異の共存』は『不可能』だって決めつけるの!?」と『ユズハさん』
「だから『共存』は『専門家(霊能者)』が行えばよく、『素人』が何の『防御手段』もなしに『怪異』に接近することを『共存』とは呼ばないわ。それは『一般人』を『動物園のライオンの檻の中』に放り込むに等しい。『ライオンと人間の共存』は『檻』ありきよ」と『氷室さん』
………申し訳ないがここでいったん『転調』というか、『補足説明』をさせていただきたい。まず『氷室麗華さん』は『いつも』というわけではないが、『頻繁』に『腰』に『日本刀』が釣り下がっている姿が目撃されている。
そしてどうやらこの『刀』は実は『妖刀』で、『持ち主が『必要』と思った時だけ『存在』し、そうでないと思った時は『存在しない』』という。
『………この『妖刀』は一度『気に入った人間』を『主人』と認定すると、どこまでどこまでも『主人』に『憑りついて離れない刀』なの。しかも『主人』が『斬りたい』と思った時だけ『腰』に釣り下がり、『主人』が『邪魔だ』とか『捨てたい』と思った瞬間『消滅』してしまうわけね。『江戸時代』の話だけど、『ある武士』がこの『刀』に『憑りつかれて』しまい、最終的に『無差別大量殺人事件』を起こして『自害』に追い込まれたという伝承が伝わっているそうよ………』と『氷室さん』
なんでもその『武士』は『下級武士』だったため『極貧』の生活を強いられており、『長屋』で『町人』と肩を並べて暮らしていたらしい。もちろん『刀』も『竹光(竹製の偽刀)』だったので『町人』たちから『武士に相応しい扱い』を受けられず、そのことによく『怒り狂って』いたが、『町人』達は皆『この武士』を侮って『木の棒』で返り討ちにしてしまったという。
それでも『武士の妻』は『竹光しか持ってなくてよかった。もし本物の刀を持っていたら殺人事件を起こしてしまっていただろう』と思っていたという。だがこの『武士』は一体どこから手に入れたのか『妖刀』に『まとわりつかれて』しまった。最初はどれだけ『武士』が『気味悪がって』お祓いなどをしても絶対に彼から離れなかったのだ。
『くそ! 『拙者自身』を『お祓い』してもぜんぜん消えないし、『刀』自体をお祓いしようとすると忽然と消え失せてしまう! なんて『気持ち悪い刀』なんだ!?』と『武士』
だが一方で『町人』たちは『武士』が『妖刀』を手に入れたと聞いても恐れるどころかさらに嘲り、『妖怪退治だ!』いつも通り『タコ殴り』にしてやろうと思ったらしい。だが『武士』は『身の危険』を感じて『竹光』を抜こうとすると、いつの間にか『妖刀』にすり替わっていたのである。
『は! 『銀箔』をはった『竹光』とは見事なものだな! 『眼福』の礼にへしおってやろう!』と『町人』たち。
『ま、まて! これは『竹光』ではない………!』と『武士』
『『『嘘つけ見栄を張るな! 今日こそ足腰立たなくしてやるわああああ!!』』』
『う、万事休すか………!』と『武士』
最初『武士』は『妻の忠告』を思い出して『防御』に徹していたらしい。だが『一人の町人』がもっていた『木の棒』が『妖刀』にふれて『真っ二つ』になったのを見て『全員』が『本物の刀』だと察した。しかし彼らはそれで逆に『殺意』を抱き、
『『『本物だと!? ………どうやって買い戻したか知らんが、『そいつ』で俺達に『今までの報復』をしようってか? そうはいかねぇ、もうこの場で『叩き殺して』やるぜ!!』』』と『町人』たち。
『やっぱりそういうだろうと思ったぞ………だが『真剣』を持った以上、俺も『武士』として振舞う『義務』があるんだ………!』と『武士』
この『妖刀』は『妖刀』とはいいつつ『喋る』わけでもなければ『持ち主の体を操る』とかもしない。本当に『必要な時にだけ現れ、必要でない時は消える』だけなのだが、その『性質』のために『武士』は『妻』の『町人たちともめ事を起こし殺生沙汰になったらあなたが『腹』を切らされるだけです』という『忠告』を聞き入れることができなくなってしまったのである。
『………はぁ、はぁ…………仕方ないじゃないか………こいつは『妖刀』のせいなんだ………『刀』のせいであって『俺』のせいじゃないんだ………』と『武士』
『………その『妖刀』が多くの『主人』の手を渡り歩きながら『現世』まで『殺戮』をまき散らし続け、あの『辰口義虎』が一時は『主人』となるも、『私』が『回収』して『今』に至るということよ』と『氷室さん』
………と言う風に、まるで『量子力学』みたいな武器なのだそうだ。もちろん『妖気(?)』的な『力』も宿しているので『怪異を倒す能力(?)』をもってるともいう(氷室さん談)。
そしてこの『妖刀』には別の『怪談』もある。これは『澤野さん』という『同学年の女子生徒』の『友達』である『甲さん』が体験したことなのだそうだが、『甲さん』がある日の『昼休み』に『購買部』で買った『お弁当』を食べようとしたらしい。だがその中に入っていた『ソースの小袋』が全然開かなかったらしい。
『なんで『ここから開けてください』って書いてある『切れ目』から開かないのよ………! 『どこからでも開けれます』なら『別箇所』から挑戦できるけど、これだとその選択肢すらないじゃない………!!(切れ気味)』と『甲さん』
だがあいにくのこと近くに『ハサミ』がなく、周りの『友達』を見回しても『持ってない~』とか『出すのめんどい(酷いw)』という返事だけ。だがそこで耳元で、
ガチャ。
という『馴染みのない音』が聞こえたので『音源』を目で追うと、そこに例の『妖刀』がいつの間にか『自分の座っている机』に立てかけられていたという。勿論周囲に『氷室さん』はいない。
『………これを使えってこと??』と『甲さん』
彼女は『妖刀』の噂は信じていたゆえに『好奇心』に勝てなかった。すぐに『刀』を掴み『友達』が笑う。
『ちょっとw 『ソースの袋』切るには『デカ』すぎでしょw』と友人α。
『てかめっちゃ重そw 持ち上げられんの??』と友人β。
『ちょっと待って………よいっしょ(鞘を掴んで持ち上げる)…………うわまじで重い………! よーし視ててよ~! 『雷の呼吸一の型』とか言っちゃったりして……え!?』
だが『柄』を握った『甲さん』が『驚き』のあまり『目』を『カッ』と見開いて『硬直』する。途端に『友人』たちが慌て始めて、
『『ちょ!? なにどうしたのいきなり!? まさか『妖刀』に『意識』を乗っ取られたとか………!?』』と友人たち。
だが『甲さん』は『青ざめた顔』を『友人』達に向けて、
『………『刃』が内部で何かに引っ掛かってて全然『抜けない』んだけど………これどうなってんの!? 重いし超固いよ~!!』
実は『日本刀』は『刃が湾曲』してるせいで『素人』が抜こうとすると『刃』が『鞘の内側』に引っ掛かって抜けないのである。あと刃が勝手に飛んでかないようにするための『匕首』もかなり固いので鍛えていないとびくともしないそうだ(豆)。
………とまあ、今回『第三回の話し合い』で『ユズハさん』と『氷室さん』が議題に挙げた『妖刀』はそういう『怪異』なのである。まあ、それを知らなくても二人の『議論』は理解できるだろうが(苦笑)。
そして『場面』をその『話し合い』に戻し、『ユズハさん』が興奮気味に主張する。
「『怪異』は皆『ライオン』じゃない! 中には『人間と同じ『心』をもつ怪異』だっていたもん! そりゃあ『動物』も『死んで幽霊』になるけど『人間』もそうなんだから、ただ『幽霊』と一言でいっても『色々な霊』がいるでしょう? それを『全部ひとまとめ』にして語るのは『乱暴』だよ! まずは『怪異』が『話しあい』ができるかどうかを見極めてから『除霊』するかしないか決めることだってできないの!?」
「言ったわよね『高宮柚葉』、『怪異とは『空』である』と。『怪異の正体を推測し探ることは『無意味』』なのよ。それはちょうど『生野魚』が『この世界に存在するすべての『原子』は『真っ二つに割る』ことが『できない』以上、その中に浮かんでいるはずの『原子核』を『視る』ことは決してできない。『怪異』もそれと同じで『考えることは無意味』よ」
するとそこで『斎藤君』が『助太刀』した。
「それは『古い量子力学』の考えたで『修正』されてますよ。『ベータ線』や『陽子線』を用いれば『原子の内部』を調べることができましたし、それどころか『陽子の内部』まで調べてそこに『三つのクオークがフワフワ浮いてるだけだった』ことまでわかったんですから………ですから『氷室さん』のその考え方はただの『思考停止』ですよ」と『斎藤君』
そういわれても『氷室さん』は微動だにしない。そして『及川さん』が代わりに口を開いた。
「そうだね、確かに『思考停止』だよ。でもそうなるのは『霊能者が多忙すぎる』からだよ。ただでさえ『怪異が圧倒的有利』すぎて『退魔師』が『バタバタ』死んでるのに、さらに『共存のために努力しろ』ってのあまりにも『業界の事情』を分かってなさすぎるよ『高宮柚葉』。まさに『何も知らない素人だから好きなことが言える』の『典型』だね? ちょっとは『霊能者を理解しようと』してほしいよね………?」と『及川さん』
「うぐ………(言葉に詰まるが納得はしていない)」と『ユズハさん』
「ていうか『あんた』誰?? 他の学校の生徒だよね?(制服を指して)」と『倉橋さん』
「『及川』って呼んでよ。最近転校してきた『ひむろん』の友達ね。そんでこっちが『鳴神』ね」と『及川さん』
「どうも『シトラスのお嬢さん』。『鳴神・フランシスコ・陶冶』と申します。実はこの高校の生徒なんですよ」と『鳴神さん』
「シトラス?? ああ、『ゆず』だからね(納得)」と『ユズハさん』
「え? そうなんですか?(驚き)」と『塩尻さん』
「いや『嘘』だから。『鳴神』は『自称怪奇探偵』を名乗ってる『超怪しい30代』だよ(呆れ)」と『及川さん』
「『サンシ先輩』みたいな感じで『ダブり』というだけですよ(微笑)」と『鳴神さん』
「「「『30代』はダブりすぎだろ」」」と『皆』
早速この『胡散臭さ』に『手足』が生えているような『鳴神さん』も『氷室さん』に『援軍』を始める。
「それに『シトラスのお嬢さん』考えてもみてください。もしあなたの『愛しい妹さん』が『怪異の介入がなければ本来は産まれなかった子供』だったというのなら、『高宮家』は『本来存在しないはずの子供』を『見つけ出す』ことに『膨大な労力』を注ぎ込み、しかも『シトラスのお嬢さん』自身も『必要のないリスク』を背負おうとしてるんですよ? これを『怪異に憑りつかれている』以外に『表現』できるでしょうか? 少しは『客観的に自分を振り返る』必要があると思いますよ?」
「(かなりイライラ)…………だから『かもり』は『れっきとした私の家族』だって何度言えば………」と『ユズハさん』
だがそこで、今まで大人しかった『私』が『ユズハさん』と『鳴神さん』の間に割って入った。
「…………『かもりさん』の話を持ち出すのは『本題からわざとずらしている』としか思えません。『かもりさん』がどこで何をしているのかも『堰守衆』すらわからないのですから『彼女』の話をする必要はないですし、『高宮家』の『苦しみ』をほじくりだして『ユズハさん』の『怒り』を煽って『失言』させようとするのならそれは『卑怯』ですよ(キリッ)」と『私』
途端に『塩尻さん』と『倉橋さん』と『ニア先生』がふざけて、
「お~! 格好いい~! たまには『彼氏』らしいことするじゃん~!」と『塩尻さん』
「『ギャップ萌え』ってやっぱあるよね~! 普段『彼氏いらしいこと』全然しないからちょっと『キュン』ってきちゃった♡」と『倉橋さん』
「………あ、驚きすぎて『煙草』を落としてしまった………(踏み消す)」と『ニア先生』
「さすがにひどくないですか??(がっくし)」と『私』
うなだれる『私』の横では『ものすごく不機嫌な顔』になっていた『ナツメちゃん』も『ユズハさん』に『助け舟』を出す。
「……(イライラ)………『あたし』も『かもりちゃん』について『とやかく言う』のは『おかしい』と思うよ。『かもりちゃんが危険な怪異』であるのか、それとも『コントロール可能な怪異』であるかすら『堰守衆』は今のところ判断できないからね………結局この『話し合い』は『双方の価値観の違い』ってだけだよね? 『ひむろんは怪異を信用できないから全部除霊したい』と『ユズハは怪異と『家族』だった経験があるから信用したい』が『平行線』になってるだけで、そんなのもう『二人が歩んできた人生の違い』ってだけじゃんか………(ここでちらっと周りを一瞥する)」
するとそこでこの中で唯一『ナツメちゃんの意図』を『理解』した『ニア先生』が『得意げな顔』になって、
「そういうことだな。そして『氷室麗華』、実は『二人の人生観の違い』に『問題』が『収束』すると、困るのは『お前の方』であることを理解しているな? 『ユズハ』が『納得』しないまま見ての通り『怒っている』からな。こいつは一旦『怒る』と『意固地』になって『昼休み怪談部』の存続に『執着』することだろう………お前らはもしかして『ユズハ』が『良い子』だと思い込んでいるのかもしれないが、こいつの『本性』は『頭空っぽの彼氏』を騙して『危険な怪談蒐集』に『巻き込む』ことにためらいが無い『性格が終わってる女』なんだぞ。『氷室麗華』、お前の『口下手』が災いしたな。もう少し『やわらかい言葉遣い』を学ぶことだ、そうでないと『素人との共存』は実現できんぞ? ………『ナツメ』が言いたかったことはこれだな?」
「違います。勝手に『あたし』になすりつけないでください(半ギレ)」と『ナツメちゃん』
「『性格が終わってる女教師』にだけは言われたくないですよ(怒)」と『ユズハさん』
「なんでさらっと『僕』まで罵倒してくるんですか??(文句)」と『私』
「おっと、これはもしかして『昼休み怪談部』は『退魔師と一般人の橋渡し役』として必要な存在なのでは?(ニヤニヤ)」と『鳴神さん』
「あらら、思わぬところで『墓穴』を掘ったね『ひむろ~ん』? これをどうやって『反論』するのかな~?(ニヤニヤ)」と『及川さん』
「あなたたちは『私』に味方するんじゃなかったの?(困惑)」と『氷室さん』
そして、ここで『ユズハさん』がこれまで黙っていた『姫川君』に顔を向けて、
「…………さて、じゃあここで一つ『姫川君』の意見を聞いておこうかな? もうすでに『話』はしてあるけど、『姫川君』自身は『怪異と人類の共存』は『可能』だと思う? そのことについて『忌憚のない意見』を聞かせてほしいな~?」
「さっき『氷室さんを説得してくれ』って彼自身が言ってませんでしたか?」と『鳴神さん』
「確かに最初はそういったけど、今は『姫川君の思ってること』を正直に話して欲しいんです。だって『姫川君』はこの中で一番『怪異と身近で暮らしている人』なんですからね………」と『ユズハさん』
このとき『姫川君』はなんとなく『右目の眼帯』を触りながら、
「………俺が『怪異と身近に暮らしている』と言うのは『皮肉』か『高宮』?」
「そ、そういうわけじゃないって! ただ『姫川君』は優しいから絶対に『私の味方』をしてくれるって信じてるだけだから………(てへぺろ)」と『ユズハさん』
(…………彼氏以外の男となに親しくしてんだか………)と『ナツメちゃん』
(姫川君にそんな話をさせるのは結構『酷』なのではユズハさん………?)と『私』
(なんであんたは全然『嫉妬』してないのよ)と『ナツメちゃん(怒りMax)』
「…………『不本意』でも請け負った仕事は果たそう。一応『高宮』には『この前』の『借り』もあるしな………『怪異と人類の共存』は『可能』だと思うぞ『氷室麗華』。ただし『人間側』に『俺』と同じくらいの『代償』が発生することになるが………少なくとも『高宮』は『それでもいい』と思ってるそうだ(皮肉げ)」と『姫川君』
この『話し合い』はまだまだ続く。




