其の五十三…『昼休み怪談部事始め:『ポルターガイスト』と『解釈』の話』
現在『黒百合丘学園』ににおける『ホラー研究会』に相当する『昼休み怪談部』は『廃部の危機』にある。理由は『本物の霊能者』である『氷室麗華さん』が『怪談蒐集は危険な行為だからやめなさい』と言ってきたからである。
なのでこれまで『二回』、『私』こと『やっくん』と『部長』である『ユズハさん』が中心となり、さらには『部外者』ではあるが『ナツメちゃん』と『塩尻さん』と『倉橋さん』と『斎藤君』、さらには『養護教諭四季咲先生』まで巻き込んで『氷室さん』との『話し合いの場』が設けられてきたのである。
だがお互いの『主張』は『平行線』のまま『三回目の話しあい』にもつれ込んでしまう。まあ『今回』の『背景』を整理するとそんなところだ。そして今回は『唐突』だが、『ユズハさん』が語ったある『怪談』から始めさせていただきたい。それが『今回』の『主題』である。
「…………これは『私の親戚』の『ミチコおばさん』に起こった話なんだけどさ。ある時『ミチコおばさん一家』が『家』を買ったんだよね………」と『ユズハさん』
その『ミチコおばさん』は『夫と息子一人』の『三人家族』だったそうだが、その『ミチコ一家』が『亡くなったおじいさんの土地』を『相続』し、『古い家』を解体して『新しい家』を建て直したそうだ。だが『新居』に入って『その日の夜』に『怪奇現象』が起こったのである。
『ちょっとお母さん(ミチコおばさん)! なんか『俺のパジャマ』が『部屋中』に『ぶちまけられてる』んだけどなんでか知らない!?』と『息子さん』
『………はぁ? あんたが自分で散らかしただけでしょ~!? 母さんに聞いてどうするの母さんに!』と『ミチコおばさん』
『いやだから知らないって! 飯食って部屋に戻ったら部屋が散らかってたんだよ!』
どうやら『息子さん』はその日『学校』から戻ってきた後ずっと『自室』で過ごしていて、その後『夕飯』を食べるためにいったん『リビング』に移動し、食べ終わって『自室』に戻って来たら『自分の私服全部』が『部屋の床』に無造作に『ばらまかれて』いたそうだ。
もちろん『息子さん』が『自分が知らないうちに起こった』と主張しても『両親』は信じず、『三人』で『衣服』をすべて『畳んで』元の位置に戻したという。
『マジで『俺』じゃないんだって! 第一『俺』がこんな意味わかんねーことする意味あるか!? お気に入りの『服』に『皴』ついてて『最悪』だし、マジで『他の誰か』がやったんだよ!』と『息子さん』
『う~ん、アキラ(息子さん)は『オシャレ』だから『服』をこんな風に『ぞんざい』に扱ったりはしないやつだしなぁ………でもじゃあ、一体『だれ』がこんなことをするんだ?』と『旦那さん』
『ちょっとやめてよあなた~! 気持ち悪いじゃな~い! ………ってぎゃあああ!?』と『ミチコおばさん』
彼女は『他愛もない会話』をしつつ『畳んだ服』を『箪笥』の中に『収納』したらしいのだが、すると『突然』すべての『箪笥』が『ガタンッ!』と動き出し、『引き出し』が『上』から『順番』に『自動』で開き、中から『服』がまるで『釣り上げられた魚』みたいに『天井』へと『舞い上がった』のだ!
『『『うわわわわわわ!!?? なんなんだこれわあああああああ!!??』』』と『三人』
『舞い上がった服』は『硬直する一家』の『頭上』でまるで『風邪で舞い上がる紙吹雪』のように『飛びながら踊り狂い』、かと思ったら突然『スイッチ』がきれたように『床』に落下したのである。そのせいで『服を畳む前』に『逆戻り』してしまったのだ。
『………ほ、ほら見ただろ!? やっぱ『俺』のせいじゃなかったじゃん!』と『息子さん』
『ま、まあ確かにそうだけど………それ以前に………』と『旦那さん』
『『怪奇現象』じゃない!! 『ポルターガイスト』よおおお!!(絶叫)』と『ミチコおばさん』
『翌日』に『ミチコおばさん』は『パート』を休んで『氏子になっている神社』へと駆け込み『神主さん』に相談したらしい。ちなみにこの『神主さん』は『新居』を建てる前に『地鎮祭』をしてもらっていたらしい。
『し、信じられないかもしれませんけど『新居』で『ポルターガイスト』が出たんです! 『お祓い』お願いします!!』と『ミチコおばさん』
『ほ、本当ですか?? 正直『除霊』とかはしたことないですけど、一応は『お祓い』はしますか………(困惑気味)』と『神主さん』
だが『お祓い』をしてもらった『夜』もまた『息子さんの部屋』で『同じ怪奇現象』が起こったという。その後『一週間』の間は『毎晩』同じことが起こったので『息子さん』がこんなことを言いだしたらしい。
『なんでここ『新築』なのに『事故物件』なんだ!? もう引っ越そうぜ! 別に『怖く』はねーけど『服』が毎日『散らかされる』のマジでうぜぇ!(苛立ち)』と『息子さん』
『う~ん、とりあえず『部屋』変えてみるか? 『服』を別の部屋に移動させれば起こらなくなるかも………(根拠なし)』と『旦那さん』
確かに『息子さん』が『部屋』を変えると『同じこと』は起こらなくなった。だが今度は『リビング』で『天井から家具が落下してくる』という『新しい怪奇現象』が発生したのである。
『『『うわあああああああ!! 危ないあぶなぁい!!』』』と『三人』
そう、『家族三人』がいつも通り『リビング』で『朝ごはん』や『夕飯』を食べていると、『真っ白な天井』が突然『真っ二つ』に割れて、その『割れ目』から『箪笥』とか『座椅子』とか『布団一式』とか『扇風機』とかが『落下』してくるのである。さすがにそうなると『食事』どころじゃないので『一家』は逃げ惑うしかなかったそうだ。
だがこの『落下してくる家財道具』は不思議なことに『家族』には絶対に『けが』をさせなかったらしい。その代わり『食卓の上』に落下して『料理』を滅茶苦茶にするので『家族三人』は『激高』しまた『悲鳴』を上げたそうだ。
『なんだこれ!!?? マジでふざけんな!! 『悪霊』でてこいやあああああ!! 何が目的だごらああああ!!(食べ物を粗末にされてブチギレ)』と『息子さん』
『でも不思議と『けが』はしないんだよなぁ………まるで『家財道具』が私たちを避けてるみたい………(分析)』と『ミチコおばさん』
『避けるくらいなら最初から落ちてこないでほしいんだけどねぇ………(片付けしながら)』と『旦那さん』
そして、そんなことが『三日連続』で続き、『家族』が『リビング』で食事をとっていなくても、『いつもの食事の時間』になると『リビングの天井』から『家財道具』が必ず落ちてきたらしい。もちろんまた『神主さん』を呼んで『お祓い』してみたが効き目はなかったそうだ。
すると、ここで『意外な人』が登場した。なんと『本物の霊能者(?)』であると思われる『及川さん』と『鳴神・フランシスコ・陶冶さん』が『ミチコおばさん一家』を尋ねてきたのである。
『こんにちわ~! 『事故物件』の気配がしたので来ました~! 『そこら辺の神主』より『私ら』の方が『霊能力』あるから『お祓い』できると思うよ~!』と『及川さん』
『え、『霊能者』ですか!? それはありがたいです! 早速お願いします! まさに『飛んで火にいる夏の虫』っすね!!(嬉々)』と『息子さん』
『それいうなら『渡りに船』ですよ(ツッコミ)』と『鳴神さん』
この『二人』は『ただならぬ気配』があったので『ミチコおばさん』も『旦那さん』も『内心大いに期待した』そうだ。だが『鳴神さん』が早速『契約書』を取り出して、
『………とはいいますが、我々も『生活』していかないといけないので『代金』を頂きたいのです。まずは『お祓い料』と『解釈』が『一回5万』で『お札』などは別途で請求いたします。またもし『相談』や『悪霊が近づけない安全な場所の提供』などを希望する場合であれば『サブスクリプションプラン』を用意しておりますのでそちらをご利用ください。『一か月10万』からのプランになっております。そして『成功報酬』は『3万』ですね』と『鳴神さん』
『『さ、サブスク………??』』と『両親』
『『サブスク』を選ばない場合は『お祓いするだけ』になるので留意くださいませ』』と『鳴神さん』
『………ほんと『あんた』って『金の亡者』だよね~! こういうのは普通『善意』で『人助け』する場面じゃないの~?』と『及川さん』
『それはあなたが『太い実家』を持ってるからですよ(笑顔)』と『鳴神さん』
結局『ミチコおばさん夫婦』は『お祓いのみ』の利用にしたそうだ。たぶんだがその『おかげ(?)』で『リビングで発生するポルターガイスト』は『消滅』したそうだ。だが今度は『家のあっちこっち』で突然『火の手』が上がるという『怖ろしい怪奇現象』が『頻発』し始めたそうだ。
『うわあああああああ!! 母さん台所! 台所が燃えてるうううう!!』と『息子さん』
『叫んでないで『水』かけなさい! おかしいわねちゃんと『コンロ』は切ってたはずなのに………』と『ミチコおばさん』
『母さん『トイレ』だ! なんでか『トイレ』が燃えてる!!』と『旦那さん』
『なんで『トイレ』!? 『便器』が漏電してたの!? でも新品のはずじゃあ………』
『うわぁ俺の部屋が燃えてる!! なんで!? 誰かが放火したのか………』と『息子さん』
『母さん『水』くれ! 『アキラ』も手伝うんだ! 『父さんの書斎』が燃えてるんだああああ!』と『旦那さん』
『ええいもう! なんなのよこれはぁ!? なんで『家中』で『火』が出るのよおおおお!!』と『ミチコおばさん』
その『火』は本当に『家の中のどこでも』突然『煙』と共に『出火』し、『水』をかけるとすぐに『消える』程度の『小さい炎』らしい。だが『夜』になるとそんな『炎』が本当に『あっちこっち』で上がるため『家族』は全く『眠る』ことができなくなったそうだ。『寝ている』となぜか『自分の布団』や『髪の毛』が燃え上がり始めるからである。しかし『不思議』なことに『髪』が燃えても『火傷』にはならず『髪の毛』も焦げない。だが『家財道具』や『家の壁』などには『黒い焦げ跡』がちゃんと残っていたらしい。
『ちょっとなんとかしてよぉ!? あなたたち『霊能者』なんでしょ!? この『火』を何とか止めなさいよおおおお!!(発狂)』と『ミチコおばさん』
『おっと『相談』ですか? それだと自動的に『サブスクリプション』が開始されますがよろしいですか?』と『鳴神さん』
『もういくらでも払うから止めなさいよおおおお!!』
『毎度ありがとうございます(満面の笑み)』
『うわ~引くわぁ~(でもとめない)』と『及川さん』
なのでまた『鳴神さん』と『及川さん』が『ミチコおばさん一家』を尋ねて『お祓い』をしたらしい。だが『お祓い』を行っている最中にも『火』が『あっちこっち』で『発生』したのである。しかも『祝詞』を唱えている最中の『鳴神さん』が手に持っていた『お札』まで『炎上』したので、さしもの彼も『匙』を投げたのだった。
『……これはどうやら『我々』の『力』を『超えた存在』が相手のようです。『お祓い』は『不可能』なので『他の霊能者』を紹介します。それではこれで………(逃げようとする)』と『鳴神さん』
『待てごらああああ!! 『金』とっておきながら逃げるなああああ!! ちゃんと最後まで責任もてやああああああ!!(捕まえる)』と『息子さん』
『あ、逃げられない………そうですか………(諦めモード)』と『鳴神さん』
さんざん『報酬』を要求しておきながら『何の結果も出さず』に『撤退』しようとする『鳴神さん』に『ミチコおばさん一家』は『怒り心頭』だった。そして『及川さん』も『呆れ』のあまり『そいつボコボコに殴って良いですよ~!』と『容認宣言』したので『鳴神さん』は即座に『ストップ』をかけたのだ。
『ま、待ってください。とにかく皆さん落ち着いて………『今』色々考えて気づいたのですが、恐らくこの『新居』で起こってることは『怪奇現象』ではありません。これは『予兆』です』と『鳴神さん』
『『『はぁ?? 『予兆』??』』』と『一家三人』
『はい。そう考える『根拠』は『二つ』あります。まず『一つ目』は『だれも死んでないし怪我もしていない』ということです。今までの『ポルターガイスト』はすべて『人間』を避けてるような動きをしていました。なので『ご家族』もだれも『けが』はしていないでしょう? それに今起こってる『ボヤ騒ぎ』にしても、『火』は確かに『家のあっちこっち』で『出ます』が、不思議なことに『お三方』は『火傷』も一つもしていません。つまりこの『火』は『幻』なのです(家は燃えてるから違くない?)。そしてどれだけ『お祓い』をしても『怪奇現象』は全く収まる気配がない………これはつまり『怪奇現象ではない』ということの『証明』としかいえないのです………! おそらくこれは『火事の前兆』、この『家』で『火災』が起こることを『知らせて』くれているんですよ!!』と『鳴神さん』
彼はそんな風に『自信満々』で『演説』した後『ミチコおばさん一家』に『ウィンク』して、
『………納得いただけましたよね? かくいう『理由』で『本物の霊能者』でもこの『謎の現象』は『解決』できなかったわけですよ………ならば『貴女方』が採るべき『方法』は『一つ』、すぐに『引っ越し』して『火事』を避けることですね! さぁこれで『解決』です! つきましては先にお話した『霊障に対する解釈』と『成功報酬』併せて『8万円』をお支払頂き………』
『『『お前全然何もしてないだろうがあああああああ!!!(殴りかかる)』』』と『一家三人』
『ぎゃあああああああああああああああ!!! 冗談ですよおおおおおおおおおお!!!(ボコられる)』と『鳴神さん』
『まあ~普通はそういう反応だよね~(助けない)』と『及川さん』
その後本当に『ミチコおばさん一家』は『引っ越し』したそうだ。ちなみにその時『鳴神さん』が『今までもらっていたお金』を全部『ミチコおばさん一家』に返して、
『………これらのお金を『引っ越し費用』に使ってください。実は最初から『こうなること』を予想して『高額な請求』をしていたのです………ふっ、俺って『粋』でしょ?(ウィンク)』と『鳴神さん』
『ごめん、ただ滑りしてる上に全然格好良くないよ(呆れ)』と『及川さん』
『あれ~??』
(結局何だったんだこの『鳴神』ってやつ………いや地味にこっちの『及川』も同じくらい意味わからん奴なんだが………)と『息子さん』
そしてそれから『数日後』に『無人の新居』は本当に『火事』になったそうだが、『旦那さん』が偶然『家』を見に来ていた『昼間』に『出火』したので『通報』は早かったらしい。だが『道路』が『渋滞』していたらしく『到着』が遅れたので『家』は結局『半焼(全焼ではないがもう住めない)』してしまったそうだ。だが『住宅街』でも『隣家』に『延焼』はせずに済んだそうである。
そこまで語ってから『ユズハさん』が『氷室さん』に向かって『締めくくった』。
「…………この『一件』を『ひむろん』はどう見る? 本当に『ミチコおばさんの新居』で起こったことは『火事の前兆』だったと思う? それともそもそも『火事』それ自体が『怪奇現象』だったと思う? ………『ひむろん』が『どっちの解釈』をとるかがこの後『凄い重要』になってくると思うんだよね………だってもし『火事の前兆』って解釈できるのなら………」と『ユズハさん』
「…………『怪異は人の役に立つこともある』ってことかしら? 前にも言った通り『堰守衆』は『制御可能な怪異』を『武器』として使うこともあるから、そのこと自体は私も『否定』しないわ。だけどそれを『素人』が行う必要はない………私の『論点』は変わってないわよ?」と『氷室さん』
「違うよ。『怪異は人を助けてくれることもある』ってことだよ。だから『怪奇現象=危険』って『認識』は『成り立たない』ことになるし、それでも『世間一般』は『怪奇現象』を『十把一絡げ』で『怖ろしい現象だからすぐに遠ざからないといけない』と思い込んでるけど、それは『偏見』で『差別』。私達『昼休み怪談部』はそういう『世間』の『怪異や霊能者に対する偏見』を『払拭』するためにも『霊能者や怪異』と『ど素人の一般人』をつなぐ『橋渡し役』として十分に『存在意義』がある………つまりそういうことだよ!!」と『ユズハさん』
この『論』に『氷室さん』は本気で『面食らった』というか、『狐につままれたような顔』をしていたのだった。続きは『次回』に持ち越す。




