表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

其の五…『幽霊の量子化、シュレーディンガーの魚の話:中編』

 歴史の話は適当です。話半分でお願いします(正確さを保証できないので)。

『科学の歴史』と言うやつは結構面白いと思う。例えば『天動説と地動説』の話とか、『古代ギリシャ人は地球が丸いことを知っていたのに中世のヨーロッパでは其の知識が失われてしまった』とか………『サカナさん』はそういう『歴史』の話も『量子論』の理解に不可欠かもしれないということで簡単に語ってくれた。


 もちろん今回は『前回の続き』である。この話を読む前にまず『前編』の方を読むことをお勧めしたい。



「…………ものすごく簡単な『歴史』の話をするよ~。まず『古代人』………具体的には『紀元前5世紀』とかだけど、この時代を生きていた『古代ギリシャ人』たちは『地球が丸い』ことを知っていたらしいよ。でもこの人たちの『ご先祖』様たち………具体的には『英雄叙事詩イーリアス』が成立した『紀元前8世紀ごろ』のギリシャ人たちは『地球は平面で空は『青銅製のドーム』で覆われていて、その表面に『星』が張り付いている』と思ってたそうだね。どうやら『300年』くらいで認識が変わったらしいんだけど、これは『地球が丸いとわかった』だけで終わる話でもなかったわけでね~」とサカナさん。



 まず、『古代人』が『地面って丸いんじゃね!?』と気づいたきっかけは多分だが『地平線や水平線』の存在だろう(確たる証拠はないが)。『地面がもし平面だったのなら『障害物』がなければ『世界の果て』が見えるはずだ。でもそんなもの見えず、水平線の向こうから船が来るのが見えるな。これって球体の表面に俺らが立ってるからそう見えるんじゃね?』という『気づき』であったかもしれない。


 だけどそうなると途端に『なんで球体の表面にたっているのに下に落ちないんだ!?』という『疑問』が湧いてくる。これに対して『哲学者アリストテレス』は『地球の中心が『下』だ! すべての物体は『下に落ちたい』と思っているから下に落ちるんだ!(雑な説明)』という説を展開したそうだ。




「『なぜ物体が地球の中心に向かって落ちるのか』………それって『重力』があるからですよね??」と私。


「『引力(重力)』が発見されたのは『17世紀』、つまり『紀元前5世紀』から『2200年後』だよ。だから『古代人』は『重力』を知らなかったんだよ」とサカナさん。


「なんで誰も『重力』を発見できなかったんだろ??」と柚葉さん。



「その『重力』ってのが『ものすごく奇妙なもの』だからと思うよサカナちゃんはね~。だって『地球の中心に引っ張る力』といっても『引っ張られてる感覚』がないわけじゃん? 『地球の中心から伸びたロープが腰に結び付けてあって引っ張られてる』わけでもないからね。触れられないし感じ取ることもできないし『障害物』も無視するし、しかも『重力』には『時間を遅くして空間を縮小させる性質がある』とか言われたもう『意味不明』じゃん? そもそも『現代物理学』でも『重力』の性質ってまだ全然解明されてないらしいからね。滅茶苦茶身近にあるのに『謎だらけのエネルギー』なんだよ『重力』って」とサカナちゃん。



「…………は~、なるほどねぇ。確かに『身近な所』にも『奇妙なもの』があるってわけね………なんかわかってきたかも………」と柚葉さん。

「え、僕はまだ『ピン』とは来てないんですけど………」と私。




 だが『すべての学問の生みの親』などと呼ばれる『哲学者アリストテレス』の提唱したこの『物質は『下に落ちたい』と思っているから落ちる理論』は『同じ時代の他の哲学者』だけでなく『直弟子』からも『そんなバカみたいな説明があるか!』と『攻撃』されたそうだ(そりゃあそうだろう)。


 だがここで重要なことは『古代の天才たち』が『アリストテレスの説』が『バカバカしい』と思っていても『ならあんたはなんで『地球の中心に物が落ちるか』を説明できる?』と問われるとだれも『答えられなかった』ことである。結局『代替案』がなかったので『アリストテレスの説』を受け入れるしかなかったらしい。



「面白いよね。この時代の『全ての天才たち』が集まってみんなで知恵を絞り合っても『なぜ丸い地球の上に我々は普通に暮らすことができるのか』がわからなかったんだよ。だから『地球は丸いらしい』と考えられつつも『でもやっぱり色々説明できないことがあるからやっぱり平面なんじゃ?→いややっぱり丸いよ→いやでもそれだと説明できない………』という感じの『堂々めぐり』の『葛藤』があったらしいんだよね。『丸い』とすると説明できないことがあり、かといって『平面』だとすると『地平線』とかが『矛盾』してしまう。だから昔の人たちは結局『結論』を出せずに『二つの考え方』が両方残り続けたわけだね」とサカナさん。


「「へ~」」と私と柚葉さん。


 また『なぜ地球の中心に物が落ちるのか』だけではなく、『空に浮かんでいる太陽や月も丸いから多分地球と同じものなのだろう。ならば『星々』も遠くの空に浮かんでいる球体ということになるわけだが、なぜ落ちてこないんだ?』という謎もあった。この『謎』も古代人はうまく説明できず『空の上は地上とは別世界なんだよ。空の上では物体は落ちずに浮かんでいるんだ』という『アリストテレスの説』を支持するしかなかったそうだ。



「なんか『雑な思考』というか………でも『重力』を知らなかったらそうなるのかもしれませんね……」と私。



 これは『中世』になっても基本的に変わらなかったらしく、例えば『キリスト教』の中でも『地球は丸いか否か』で延々と『論争』していて、どうやらこの論争に『政治』が絡んで面倒なことになっていたとかどうだとか………また『イスラーム』では『アッバース朝』が『メッカ』と『バグダッド』の二地点に『日時計』を置いて『経度の違いによる時差』を計算したりもしていたらしい。だが『天文学』の研究をどれだけ推し進めても『なぜ物が落ちるのか』の謎は解決できなかったそうだ(いや、この言い方は語弊があるが)。



「…………結局この解決は『17世紀』の天才学者『ニュートン』が果たすことになるわけ………といっても実は彼の『着想』は『15世紀』の『ガリレオ・ガリレイ』含む『先行研究』の成果をもとにしてるから『0から重力(正しくは『万有引力』)を発見した』わけではないらしいけどね………でもこの『ニュートン』が発見した『ニュートン力学(古典物理学)』は『なぜ地球の中心に物が落ちるのか』と同時に『なぜ空の上にある星々が落ちてこないのか』も『説明』することができたんだ。最初は『万有引力』の考え方は彼の故郷の『イギリス』以外にはなかなか広まらなかったそうだけど、そのうち全世界的に認められるようになって『地上の出来事も空の上の出来事も全て『ニュートン力学』で説明できる!』と科学者が『信じる』ようになったそうだね」とサカナさん。



 そういうのを『古典物理学的世界観』とかいうらしいが、つまり当時の『科学者』たちは『全ての物事は『ニュートン力学』で説明可能だ!』と信じていたそうだ。だが『ニュートン力学』はあくまで『物体の運動』についての説明なので、『電磁気学』とか『熱力学』とか『光学』にはそのままでは応用できなかったのである。



「…………だから当時の科学者たちは『電磁場』や『熱』や『光』などにも『ニュートン力学』の法則をあてはめれないか四苦八苦してたそうだよ。そしてどれだけ頑張っても『ニュートン力学では説明できない現象』と言うのがいくつも発見されたらしくてね、そのうち『じつは古典物理学の考え方って万能ではないのでは………?』とぼんやり皆が思い始めたそうだよ。そんな中『20世紀』の『電磁気学』の発展に貢献した『天才科学者』である『ヘンドリック・ローレンツ』と言う人が『電磁波』や『光』の性質を考察した過程で『物体は運動すると『その物体に流れる時間』が遅くなり『物体自体の大きさ(つまり空間)』も『縮む』のでは?』と考え始めたそうだよ」とサカナさん。



 これはあくまで『光や電磁波』の性質を観察していた時に出てきた発想だったらしいが、『ローレンツ』がこの『仮説』の『発表』を行うのと『ほぼ同じタイミング』で『アインシュタイン』が『相対性理論』を発表し、『確実に物体は運動すると時間が遅くなり空間も縮む!』と主張して『証明』までしてみせたのである(これもかなり語弊のある説明)。


 もちろん『アインシュタイン』のこの発表に『物理学者』達は『そんな奇妙な話があるか?』と『酷く当惑』し、『ローレンツ』も『あり得ない』と批判したらしい。だが『相対性理論』は後に『人工衛星を使ったGPS』の『位置計算』に使われ、『相対性理論』無しだと『位置情報』に『数キロメートル単位』の『誤差』が生じるのに、『相対性理論』を組み込むと『誤差数センチ』まで縮小させられることで『事実である』とされたのだった。



「…………この『相対性理論』だって考えてみると『ものすご奇怪』なものだよ。だって『ボールを前方に向かって投げると『そのボールの上に流れている時間』が『遅く』なって、『ボールが存在する空間』が『縮小』するっていうんだよ? 二人ともなんでそんなことが起こるかわかる??」とサカナさん。


「「いや、わからないんですけど………『アインシュタイン』はなんて言ってたんですか?」」と私と柚葉さん。



「『わからない』だよ。というか『相対性理論』は『時間が遅くなって空間が縮む理由』は全く説明してないんだ。ただ『こういう現象が起こり、『具体的に何秒遅くなって何センチ縮むか』を『計算する式』だけ提供してるんだ。『そうなる根本的な理由』には一切触れてないし、今でも全くわかってないんだよね。『そういう決まりだから』としかいえないんだよ」とサカナさん。



 しかもこの『時間が遅くなって空間が縮む現象』は『運動』だけじゃなくて『重力の影響下』でも起こるらしく、つまり『地球上に存在する物体はすべてが『重力』の影響で『時間が遅く』なっていて『空間も縮んでいる』というのだ。このうち『時間が遅れている』ことは『時計』を使うと簡単に『観測』できるらしい。



「『重力』は『地球の中心からの距離』に応じて『強さ』が変わる性質があって、『中心』に近いほど『強く』、遠くなるほど『弱く』なるんだ。だから『海抜の低い平地』と『標高の高い山の上』では『流れる時間の速さ』が『違う』ということになるんだよ。これは『平地と山の上』にそれぞれ『原子時計』をもっていき、同じ日数をその土地で過ごしてから『同じ場所』で合流して『二つの時計の時間』を比較するとわかるそうだよ。つまり『山の上にあった時計』の方が『平地の時計』より『コンマ数秒』だけど『先に進んでいる』んだってさ」とサカナさん。



「「『コンマ数秒』ならそれって『誤差』じゃあ………」」と私&柚葉さん。


『その通り『誤差』だね。でも『時間の流れが変わる』のは『厳然たる事実』であることも確かだよ。『原子時計』じゃない時計って『気づくと時間が少しずれてる』から頻繁に直すけどさ、その『理由』が『重力や運動による時間のずれ』ってことだね。人間は『日常的』に『運動』してるから、『歩く』だけでも『時間』がわずかに『遅れてる』ってわけで、もっと『計測』が難しいけど『空間』も縮小してるんだよ。でも『普段』は『多少のずれ』なんて誰も気にも留めない………でも改めて考えるとこれってすごく『奇妙』なことだと思わない?」とサカナさん。



「………それは私も思うよサカナちゃん、確かにすごい『奇妙』だね~」と柚葉さん。


「そういう話を聞くと『科学って面白いな~』って思うんですよね………確かにとても『奇妙』ですねぇ」と私。


「そしてこの『相対性理論』をもっと突き詰めると、『人間を含むすべての『物質』は『固有の時間の流れ』と『固有の空間の大きさ』があって、でもそれは『常に変化』していて『一定』ではない。『時間と空間』は『時空』といいかえることもできるし、もうそれって『現実』って呼んでもいいよね? つまり『現実』は『すべての物質に個別に存在して』いて、例えば『サカナちゃんの現実』は『やっくん君の現実』や『ゆずっちの現実』とは『全然別物』、『全ての物質は自身以外の何物とも『時間と空間(現実)』を『共有していない』………となったら、なんだか『不気味』に思えてこない?」とサカナさん。



「「…………え」」と私&柚葉さん。



 私はそこで『いやいや、時間と空間が変化するだけでそれは『飛躍してる』』と『批判』しようとしたわけだが………『時間と空間が変化する』のなら何も『飛躍』はしていないのではないかと思ってしまって何も言えなかった。


 だがそれなら『皆が個別の『現実』を持っていて、それは自分以外の誰とも『共有してない』』とはどういうことなのだろうか………? あたかも『私』は『夢』を見ていて、こうやって『素敵な恋人』と『趣味の怪談に関係する部活動』を楽しんでいるのも『幻影』を見ているだけだとでもいうのか………? 確かにそれは『怖ろしい』し、一番考えたくもない『悪夢』だ。



 だが『サカナさん』はその考えは『否定』した、いや『くれた』のだ。



「『夢』なんかじゃないよ。間違いなく『やっくんくん』の見ている物は『現実』だよ。そしてその『現実』と『ゆずっちの現実』は明らかに『相関関係』にあるから、多分それは『量子もつれ』が起こってるんだよ。でも『やっくん君の現実』が『夢』でない保証はない。でももしそれが『夢』だったら『ゆずっちの現実』も『夢』の可能性があるってだけだよ」



「「………?????????? どういう意味なんですか?????????」」と私達。




『個別に独立して存在する現実』は時として『量子もつれ』によって『共有』されることがある………その『一点』でもって『現実』が『自分の妄想』ではないことが『保障』されるらしい。


 本当に意味が分からない、もっとわかりやすいように話してほしい………! でもこれが『量子論』というやつなのなら、確かにこれは『不気味』、と言うか『意味不明』だ。それだけは理解できたわけである………そして『量子少女サカナさん』の『不可解な話』はまたまた次回に続く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ