其の三十九…『昼休み怪談部事始め:『浅野さん家は事故物件』の話』
この話は前回の『其の三十八』の『続き』であるが、それでも『前回の話』を読んでない人のために最初に『怪談』を一つ話しておきたい。一応この一連の『怪奇談集』は『どこから読み始めて問題ない』と言う『形式』で進めているからである。
『私』こと『やっくん』の『知り合い』に『石田修一』と言う『男子生徒』がいるのだが、彼の『友人』に『浅野さん』と言う『女子生徒』がいる。彼女は『家を改築する』ために『家族三人』で『石川県内灘町』にある『マンション』に一時的に『引っ越した』らしいが、入居した部屋が『事故物件』で『これまでわかってるだけでも入居者が『6人』死んでる』らしい。
そんな『浅野さん家の部屋』では『奇妙な現象』が『続発』していたそうだ。まず『一つ目』だが、『浅野さんママ』がいつも通り『朝』にベッドから起き上がって『自分の部屋』を眺めると、なんと『全ての壁紙』が『真っ赤』だったそうだ。
『………!? ちょ! パパ起きて!! 壁見て壁! 天井も真っ赤よ!!』と『ママさん』
『………んん? まだ起きるには早い………って『真っ赤』!? なんで!? いつ模様替えしたの!?』と『パパさん』
二人はその後『廊下』に出たがそこも『真っ赤』で、『リビング』や『娘の寝室』もすべて『壁紙』が『真っ赤』、というか正確には『ワインレッド』になっていたらしい。もちろん『前日』はそんなことなかったし、誰も『模様替え』なんてしていない。
そして『浅野さん』も飛び起きて恐る恐る『赤い壁紙』を触ってみたが、べつに『血のような液体』で染められてるわけでもなく、もちろん『色ムラ』も見当たらず、『ブラウザ』で『赤い壁紙』と検索すると一番上に出てくる『楽天市場』で売ってる『赤い壁紙』と同じように見えたらしい。
『………これって『怪奇現象』…………だよね??』と『浅野さん』
『………たぶんね………』と『ママさん』
『確かに『不思議』だけど元に戻してくれないかな~! これじゃあ『闘牛』の気分だよ~!』と『パパさん』
『奇妙な出来事』はそれだけではない。ある夜『リビング』の『LEDライト』が『点滅』するようになったので『新品』に交換したらしい。だがそれでも『明滅』が直らないので家族そろって『なんでだ………?』と不思議がっていたのだが、ふと『パパさん』が『あること』に気づいたそうだ。
『…………あれ? これってもしかして『モールス信号』じゃないか!?』と『パパさん』
『『………はぁ?』』と『ママさん』&『浅野さん』
戸惑う二人の前で『パパさん』は『点滅』を『モールス信号』とみなし、『スマホ』で検索した『表』片手に『メモ』をとって『解読』してみたらしい。すると確かに『以下の単語』を繰り返し『伝えて』きていたそうである。
『………えっと、『モールス信号』を解読するとな………『踊れ踊れ パーリナイ』になるな………その単語をずっと繰り返してるぞ………』と『パパさん』
『『はぁ? ふざけてんの??(怒)』』と『ママさん』&『浅野さん』
『ふざけてないよ! 本当にそうなるんだって! いやマジで! 疑うなら『表』見て自分で『解読』してみてよ!!(焦り)』と『パパさん』
どうやら『ママさん』と『浅野さん』で確かめたが確かに『LEDライト』は『踊れ踊れ パーリナイ』と連呼していたらしい………『浅野さん』はこの時点で『頭痛』を感じて、
『………なんか『私』たち『家族』って『悪霊(?)』に『コケ』にされてんのかな………最初『事故物件』って聞いて『住んでて怖い思いをするマンション』だと思ってたけど、『住んでてムカつくマンション』だとはさすがに想像してなかったよ………(イライラ)』
他にも『家中の扉が勝手に開き、隙間から誰かがのぞき込んでくる』という『怪奇現象』があったり、『家の壁紙が赤じゃなくて黄色』に変化したり、さらには『ママさん』も『奇妙な人影』を何度も目撃したのだそうだ。
『『ママ』はいつも『一番最後』に寝る──(本当は『浅野さん』が一番遅いが『ママさん』は気づいていない)──けど、『リビング』から『寝室』に移動しようと『廊下』に出た時ね………『寝室に入っていく男の影』を何度も見てるのよね』と『ママさん』
なんでもその『男の影』は明らかに『パパさん』ではないらしい。なぜなら『パパさん』は『身長160センチ』くらいなのに『男の陰』は明らかに『2メートル近く』あるからである。しかも『真っ暗な廊下』で『サングラス』をかけ、さらには『頭がアフロ』だったからだそうだ。もちろん『パパさん』は『サングラス』をつけないし『アフロ』でもない。
『………『アフロの巨漢』が『夫婦の寝室』に入ってくのを何度も見たって?? なにそれ?? もしかしてそれを『怖がれ』ってこと??』と『パパさん』
『………なんか『ママ』もだんだんわかってきたわね………たぶんこれ『ここに住んでる悪霊』に私たち『コケ』にされてるのよ………次出てきたら『フライパン』で殴ってやるわ………(苛立ち)』と『ママさん』
『その時はぜひ私も呼んでねママ(ふんす)』と『浅野さん』
確かにこれでは全く『事故物件』らしくない。そして『浅野さん』はなんだかいろいろと『聞きたい』と思ったので『マンションの管理会社』に電話したそうだ。すると『担当の人』が出て来てくれて、意外と気さくに色々教えてくれたらしい。
『はい、はい………あはは。出ましたか『アフロ男の霊』w そうなんですよ~。実は『これまでの入居者全員』が『アフロの幽霊』を目撃てまして~w よく見ると『黒人』じゃなかったですか? 人によっては『どころからともなく男性ボーカルのラップが聞こえる』とか言ってくる人も居まして、『これが本当の『ラップ音』ですね!』とかうちの社員が言って『クレーム』入ったことありますよ。あはは………』と『担当の人』
『はぁ…………(困惑)。一応ここ『入居者が6人死んでる物件』なんですよね?? なんていうか………全然信じられないんですけど本当なんですか?』と『浅野さん』
『本当ですよ。というか実はうちの『管理会社』でも『お住いのマンション』に関わった『社員』が分かってる範囲でも『10人』死んでます。『以前の管理会社』の方はもっとたくさん死んでまして、それで『管理し切れない!』ってうちに回ってきたんですから確かに『本物』ですよ』と『担当の人』
平然と言い切ったらしい(汗)。なので『浅野さん』が恐る恐る、
『………あの、じゃあ『あなた』も結構『危ない』んじゃないですか? ばっちり『事故物件』に関わってると思うですが………』
『あはは、まあそうですね。なので『社長』の発案で『マンション担当を一か月ごとに『シャッフル』する』ことになってるんです弊社は。うちは『5棟のマンション』を管理してまして、各『マンション』ごとに『二名の担当』をつけてるんですよね。その人たちを頻繁に『シャッフル』することで『誰か一人が事故物件の管理をし続ける』と言う状態を作らないようにしてます。どうやら『一人の担当者が長く続く』と『その人が死にやすく』なるようでして、この『ルール』ができてから『社員』は一人も死んでないんですよ! だからそれほど怖くはないですね~。あ、でも『お客さま』はそうもいかないので、もし『危ない』と思ったらすぐに『退去』してくださいね☆』と『担当の人』
『………(『悪霊』だけじゃなくて『管理会社』にも馬鹿にされてる………??)』と『浅野さん』
この話はその『浅野さん』が『石田』に語り、彼が『昼休み怪談部』を訪れて『私』と『ユズハさん』と『ナツメちゃん』に話した『怪談(?)』である。そしてこの話の『落ち』だが………、
『………そんで『最後』に話しておくけど、その『浅野本人』は今『両親』と一緒に『行方不明』だ。どうやら『堰守衆』が探してるらしいが『絶望的』だってな………そんで『ひむろん』が言ってたんだけど、『実は『例の事故物件』のことは知っていて前から『除霊』を何度も行っていたがまるで効き目がない。だから今対策を考えてる』とのことだそうだぜ。『ひむろん』でも『どうしようもできない怪異』って割といるみてーだな~』と『石田』
とのことだ。そして『ユズハさん』曰く実はその『石田』も………いや、この話は今回は関係ないので割愛しよう。
それではここからは『前回』の『氷室さん説得会』の『第二回戦』の続きである。『浅野さん家』の『おとないさん(?)』を『ユズハさん』が『退治』した話を聞いて『氷室さん』が言った。
「『正体不明の不思議な存在に『名付け』を行うと『無力化』できる』という『伝承』は『古い時代』からあるものよ。『おとないさん』とは本来は『ちゃんと戸を閉めないと隙間風が入る』あるいは『戸の隙間を空けていると外から覗かれる』という『江戸時代の住宅事情』にあわせた『教訓』を『妖怪化』したものではないかと思われるわね。そして『浅野家の事故物件に住む怪異』は『おとないさん』の『伝承』とは『全く別物』に見えるけれど、あえて『おとないさん』の『名前』を与えたことで『無力化』したのであれば………それは『正攻法の除霊法』であると言えるわね。そのことは『賞賛』に値するわ、誇るべき成果よ『高宮柚葉』」と『氷室さん』
「えへへ~いや~ありがとね~(照れ)…………ということはさ! 私たちが『役に立つ』ってことを認めてくれ………」と『ユズハさん』
「『役に立つ』ことは認めるけれど、それでも『ダメ』よ。相変わらず『リスクとリターン』が『釣り合ってない』わ」と『氷室さん』
彼女は決して譲ろうとしない。なので『ユズハさん』がやはり頑張って食い下がる。
「じゃ、じゃあ! こういう『事例』をこれからも『増やして』いけばいいってことだね! 私たちが『役に立つ』って『実績』を積み重ねていけばいずれは『許可』をくれるってことで………」
「ダメに決まってるでしょう(バッサリ)。私は『昼休み怪談部の活動は部員やその関係者に『命の危険』をもたらすリスク』を『無限大』の値で『評価』しているわ。だからあなたたちが『100』や『1000』の『怪異』を『打倒した実績』を重ねようとも『リスクとリターンが釣り合う』ことは絶対に『あり得ない』わね。『生野魚』もいってたでしょう? 『無限大』は『不可能』を意味すると」『氷室さん』
「なにそれ『狡く』ない!? そんなのどんなに頑張ったって『私たちが役に立つ』ってこと『証明』できないじゃ~ん!」と『ユズハさん』
「何度も言われてるけど『評価』するのは『私』であって『昼休み怪談部』ではないのよ………でもそうね。これだけは言っておくべきかしら………」
『氷室さん』はそこで唐突に『ユズハさん』の手を握って、
「…………それでも『高宮柚葉』、『貴女』が『私の役に立ちたい』と言ってくれたことは素直に『うれしい』ことは『事実』よ………。普通の『一般人』はたとえ『怪談好き』であったとしても、『実際の怪事』に遭遇すると大抵は『恐怖して逃げ出す』し、極力『怪事』から遠ざかろうとするわ。そうなれば必然『霊能者』も避けられることになり、『堰守衆』は『世間』から『攻撃』こそされなくても『敬遠』され続けているから………だからあなたのその『ポジティブな考え方』は変わらないで欲しいわね………それでも『怪異』に『能動的』に関わることは金輪際『禁止』するけど」と『氷室さん』
『氷室さん』は出会った時からそうだが『感情が全く表情に出ない人』だ。でもどこか『うっすら』とだが『微笑んでいる』ように見える顔を、真正面から見ていた『ユズハさん』は『完全にしょぼくれて』しまっていた。
「うぅ……そうやって私の『良心』を攻撃するのは本当に『狡い』よ『ひむろん』………そんな言い方されたら『友達』として『昼休み怪談部』を続けられなくなるよ………(滝汗)」と『ユズハさん』
「そのようね。この『話法』は『堰守衆』の仲間から教えてもらったの(平然)。これで貴方たちが『危険行為』をすぐにでもやめてくれるのならそれに越したことはないわ」と『氷室さん』
どうやら『悪あがき』も功を奏なかったようで、我ら『昼休み怪談部』は『外部協力者』の『多大な支援』を受けながらも『氷室さん』の『廃部要求』を『撤回』させることができなかったようだ。やはり『昼休み怪談部は氷室さんの役に立っている論法』は『それを評価できるのは氷室さんだけ』という『鉄壁の優位性』を崩せなかったためだろう………そう考えると『作戦それ自体』に『問題』があったようになりますね(汗)。
そして『私達』が『手詰まり』になるやいなや、『ナツメちゃん』は『こっそり』と『スマホ』を操作して『氷室さん』を『追い払う作戦』に出たのである。すぐさま『呼び出し』に応じて『ノナさん』が『部室』に飛び込んできて、
「『ひむろん』居る!? ほら例の『カーテン吊り狸』がでたってさ! あれって本当に『狸』なの!? とりあえず来てよ『ひむろん』!」と『ノナさん』
「………………わかった、すぐ向かうわ。『高宮柚葉』、ちゃんと『廃部届』を出しておきなさいよ」と『氷室さん』
彼女は『ノナさん』によって『部室』から連れ出されて姿を消した。そしてすぐに事の成り行きを見守っていた『四季咲先生』が面白そうに、
「…………一気に『ピンチ』だなお前たちは。『昼休み怪談部は氷室麗華の役に立つ』と『証明』できない以上、『他の方法』を考えるしかないが、いったいどういう『屁理屈』をこねたら『氷室』を『説得』できるんだろな? さぁそれを今から話し合おうじゃないか。ほら『妙案』を早く出さないとまた『氷室』が戻ってくるぞ~?(ニヤニヤ)」
「本当に『ニア先生』は『性格悪い』ですよね………(ビキビキ)! ………うう、でもどうやったら『ひむろん』を『説得』できるんだろう………? 『役に立つ』以外の『理由』が思い浮かばないんだけど………」と『ユズハさん』
視線で問いかけられた『私』も『ナツメちゃん』も『わからない』と返したので『ユズハさん』は『頭を抱えて』しまった。
そして、そこで今まで『静か』だった『倉橋さん』が『挙手』したのである。
「…………あのさ。なんか『話』は変わるんだけどさ…………なんで『ユズハ』ってそんなに『昼休み怪談部』に『こだわる』の? さっき『ひむろん』や『やっくん』が『ユズハには部活を続けないといけない理由がある』的なこと言ってたけどさ………一体その『理由』って何?? 私ら全然知らないから話についてけてないんだけど…………」と『倉橋さん』
「そうそう! 私もそれずっと気になってた! 『ユズハ』が『昼休み怪談部』を始めた『理由』のことだよね!? それって何なの!? 『ただ怖い話が好きで集めたかっただけ』とかそういう感じじゃないのなら何なん!?」と『塩尻さん』
「…………僕も知りませんね。正直あまり興味はありませんでしたが………」と『斎藤君』
「私は知ってるぞ。思えば『ユズハ』は決して『普通の人』じゃないなとは思うな。まあ『特別な力』とかはなにもないが、とにかく『生い立ち』はかなり『奇妙』なやつだよ」と『ニア先生』
すると『ナツメちゃん』も『私』にふり返って、
「…………実は『あたし』も知らないんだよねその話。教えてよ、其れともなんか『言いにくい話』とかなん?」と『ナツメちゃん』
「いや、別にそういうわけじゃないけど………じゃあ『ユズハさん』が話しますか? それとも『僕』が?」と『私』
すると『ユズハさん』が立ち上がってから『ミニ冷蔵庫』に向かい、『ペットボトルのお茶』を取り出してきて、
「…………まあちょっと『長い話』になりそうだから先に配っとくね。『私』から話すよ『やっくん』、あんまり『変な話』だから『友達』にもほとんど話したことないんだけどね………まあどうせ『百物語』に載せる気だったから遅かれ早かれだけどね! ………実は『私』が『昼休み怪談部』を立ち上げて『怪談蒐集』を始めた『理由』はさ…………『行方不明の双子の妹を探すため』なんだよね…………」と『ユズハさん』
ここからの『奇妙な話』こそがまさに『昼休み怪談部』の『事始め』と言う名にふさわしい、すべての始まりは『私の彼女』である『高宮柚葉さん』が『この世界』に『産まれ落ちた』時のこと、
彼女と『一緒』に産まれ落ちた『双子の妹:高宮かもり』にまつわる数奇な『怪奇談』である。




