其の三十八…『昼休み怪談部事始め:除霊で活躍する素人についての話』
今回の話は『其の三十二』で行われた『本物の霊能者:氷室麗華さん説得会』の『後日』にあった話である。『前回』おこなわれた『話し合い』は『氷室さん』が私たち『昼休み怪談部』に『怪談蒐集は危険な行為で、これまでは『何も起こっていなかったから』見逃してきたけど、『部室で怪奇現象が起こって』しまったのですぐに廃部しなさい』と『命令』されたことに端を発する。つまり『私とユズハさん』は何としても『活動継続の許可』を『氷室さん』から得たかったのだ。
もちろんのこと『霊能者氷室さん』の存在は『霊障』とかかわりがある『昼休み怪談部』にとって『必要不可欠』である。その時の『話し合い』が『第一回戦』なら、『今回』は『第二回戦』と称するべきだろう。
そして、またも『氷室さん』が『昼休み』に『部室』を訪れて『部長のユズハさん』に『宣告』したのだった。
「…………『前回』あれだけ言ったのにまだ『廃部届』を出していないようね………『弁明』を聞こうかしら。私もあまり『強制』はしたくない立場だから」と『氷室さん』
すると『ユズハさん』が口を開く前に『四季咲先生』が『煙草』をくゆらせながら、
「『まどろっこしい』ことをしてるな『氷室麗華』。そんなのお前が一言『これ以上怪談蒐集を続けるのならもう『怪事』が起こっても助けてあげない』というだけで『ユズハ』も『荒巻(私)』も何もできなくなるのに、なぜ言わない?」
「…………何度も言いましたけど『四季咲先生』、『霊能者業界』では『怪談語り』自体は『禁止しない』のが『先祖伝来』の方針なのです。ですから私は先生の『副業』も否定はしてませんよ………『学校の規則』はまた別の話ですけどね」と『氷室さん』
そう、実は今回の『話し合いの場』には『養護教諭:四季咲仁亜』も参加していたのである。しかし通常『昼休み』の時間『養護教諭』は『保健室』に居ないといけないはずなのだが………それに関しては『ニア先生』本人は『教員会議で不在なことも多いだろ? だから問題ない』とのことだった(何が問題ないのかわからないが)。
ああ、ちなみに今現在『部室』にいる人たちは『四季咲先生』と『氷室さん』以外だと『私』こと『やっくん』と『部長のユズハさん』の『昼休み怪談部の全部員』。そして『部外者』である『ナツメちゃん』と『斎藤君』と『塩尻さん』と『倉橋さん』である(いつものメンツだ)。
そして『塩尻さん』が『四季咲先生』を白い目で見ながら、
「まあなんかこの学校『教師の副業』は『OK』らしいけど『喫煙OK』なんて『校則』があるわけないですしね………(呆れ)」
「なんだ知らんのか? 『黒百合丘学園』の『就業規則』では『副業を行う際は校長の許可が必要』なんだ。でも私は『校長』から『怪談師なんて副業は教師に相応しくないからダメ』と言われてるんだ………どうだ? 怖いか?(ドヤァ)」と『ニア先生』
「完全に『校則』破ってるじゃないですか! ガチの『違法教師』だこの人………(絶句)」と『塩尻さん』
『違法教師』と言うワードセンスは『独特』だが、この場の『全員』が『得意げなニア先生』に呆れて二の句が継げなくなってしまったのである(困った人だ)。その後しばらくしてから『氷室さん』がまず最初に口を開く。
「…………『就業規則』の話はおいておくとしまして、なぜ『四季咲先生』がここにいらっしゃるんですか?」
「『ユズハ』に『加勢』を頼まれたからだ。この前やっと『姫川』を連れてきたことだしな。まあ少々遅すぎたが………(『ユズハさん』が文句を言いたそうだが無視)…………それはこの際別にいい。ただ『昼休み怪談部』は『私』にとっても『利益』が多少なりともあるから『存続が望ましい』と思っているだけだ。連中が『活動』してくれた方が『動画のネタ』が増えるからな(こともなげ)」と『ニア先生』
「…………ですが先生が『昼休み怪談部』に味方するのでしたら、同じように『ニア先生』の『副業』も『禁止』しなければならなくなるかもしれませんよ?」
「なぜ? 今までの行動と矛盾するが?」
「『矛盾するかどうか』は重要ではないのです。『昼休み怪談部』で『怪事』が起こったのであれば近々『四季咲先生』のもとでも『怪事』が起こり、そこから下手すれば『動画視聴者』にも『伝播』するかもしれないからです。『何事も起こっていない』のなら『私』もこんなことは言いません。『看過できる境界線』を『超えてしまって』いるからです」
「ふぅん、『前回の話し合い(第一回戦)』のことは私も『ユズハ』から聞いてるが、どうやら今回は『フワフワ』ではないようだな。『堰守衆』からいろいろ『入れ知恵』してもらっているのか?」
「私は『口下手』ですので」
『氷室さん』は何時もの『すました顔』で『つけ入る隙』を一切見せようとせず、対する『違法教師』……じゃなくて『ニア先生』も『ニヤニヤ顔』を今度は『ユズハさん』に向けて『顎をしゃっくて合図』してみせた。なので『ユズハさん』が早速『開戦のゴング』を鳴らす(カーン!)。
「…………じゃあ『ひむろん』に『なぜ廃部届を出さないか』の『理由』を説明するね? それは実に簡単、なぜなら『昼休み怪談部』は『ひむろん』の『役に立ってる』からだよ!!」と『ユズハさん』
「…………『役に立っている』とはどういうことかしら?」と『氷室さん』
『第一回戦後』の『作戦会議』での話──その『作戦会議』は『其の三十四』で語られているが別に読まなければならないわけでもない──で『私たち』は『氷室さん』を『説得』するために『自分たちがいかに氷室さんの『除霊』の役に立っているか』を『論証』する作戦を採用していたのである。なので今回はあらかじめ詰めておいた『想定問答』に基づいて『ユズハさん』が語り始めたのだ。
「『昼休み怪談部』が『氷室麗華の役に立っている点』は『三つ』あるよ! まず一つは『昼休み怪談部は『霊障被害者』の情報を集めることができる』こと! 『氷室さん』はいつも『除霊』で忙しそうだから、『情報収集』を私たちが引き受けることで『ひむろん』は『怪異との戦い』に『集中』できるってわけ! こうすれば『ひむろん』も『楽』だし『一石二鳥』じゃん! そう思わない?」と『ユズハさん』
「「思う思うー! その通りー!」」と『私』&『ナツメちゃん』
「何んですかその合いの手は(困惑)」と『斎藤君』
だが『氷室さん』は『わかってない』と言いたげな顔で、
「………『情報収集役』など必要ないわ。皆も知っての通り『怪事』はいつも『霊能者』の周囲で起こる。この『黒百合丘学園』の『怪事』もいつも『私の近く』で起こっているし、『霊障被害者』も不思議と『私』のところに引き寄せられてくるの。これまで『昼休み怪談部』が集めた『怪談』でも『部に怪談が持ち込みされた時点』で『私もその怪事のことを把握していた』という『パターン』が多かったんじゃないかしら?」
確かに思い返してみると『昼休み怪談部が氷室さんに助けを求めたら、すでに氷室さんは把握済みだった』というパターンは多い。だがそこで『斎藤君』が、
「ちょっと待ってください。例えば『石田君が持ち込んだ『ポケットの中の宇宙船』』なんかはそうではないのでは?」と『斎藤君』
その話は『其の一』で語られているあの『星新一のパクリ』みたいな話である(身もふたもない)。だが『氷室さん』は、
「確かに『あの時』に関しては『昼休み怪談部』の方が『先』だったわね。それは認めるわ。でもそれは『とても少ない事例』であり、私は『たまに起こる珍しいこと』よりも『常に訪れる可能性のある命の危険』の方を『重く』見るわ。『役に立つのか?』と言われれば『私』も否定はしない………でもそれは明らかに『素人が怪異に殺されるリスク』と『釣り合ってない』わね」
ああ、これで『昼休み怪談部は氷室さんの役に立つよ! 作戦』が『失敗』したことになる。前にも指摘されていたが『本当に役に立っているかいないか』が分かるのは『氷室さん』だけなのだから、こういわれてしまったら『私』たちにはどうしようもできないのである。
だが『ユズハさん』には『これに反論』できる『強力な切り札』があるのだ。なので『第二回戦』は始まったばかりだが早速切っていく。
「…………確かに私たちは『素人』だよ………でもだったらなんで私たちを『堰守衆』に入れてくれないの!? 私たちが『弟子入り』すれば『素人』じゃなくなるから大丈夫じゃん! それに『ひむろん自身』が『堰守衆のほとんどの人は一般人』って言ってたじゃん! 私たちも『一般人』なんだけど、なんで『わたしたちだけ』ダメなの!?」と『ユズハさん』
これは『第一回戦』で『氷室さん』が『フワフワな回答』しかできなかった話だ。だが『氷室さん』も今回はちゃんと『理論武装』してきていたようである。
「…………その話を『堰守衆の長老』たちと『相談』してきたけど………皆の意見はやはり『弟子入りの動機が不純であるから許可できない』だったわね。他の『堰守衆』は『純粋に怪異を滅ぼす』ことに専念してるけど、『高宮柚葉』、貴女の『目的』はそれとは『合致』しないわ。だからダメよ。もちろん『荒巻八潮』や『藤堂棗』も同じね。そもそもあなたたち二人は『高宮柚葉を助けるため』に『弟子入り』の話を出しただけなのだから『それ以前』の問題だわ」
すると『斎藤君』がいう。
「それは『前回』も同じ話をしたはずです。しかもやっぱり『答』になってないですよ」
「いいえ、特に『高宮柚葉』が『怪談蒐集』を行う『目的』が『あちら側に行こうとする』ことなのだから、『方針が合致しない』どころか『目的が正反対』よ。『堰守衆』は『怪異と人間』が『かかわりを持たないこと』を『理想』としているのに、『高宮柚葉』は『真逆の理想』を持っている。つまり『危険思想』をもっていることになり、そういう人の『弟子入り』は『自殺や危険な行為に誘導している』に近いわ、だから絶対にできないのよ。『私』は以前も言ったはずよ、『怪異との戦いは常に霊能者側が圧倒的不利である』と。そんなところに『怪異を引き込む可能性のある人物』を招き入れることはできないわ。それが『理由』よ」と『氷室さん』
むぅ………前回の『フワフワ』な議論が『それなりに詰められている』し、『氷室さん』は『ユズハさん』が『昼休み怪談部を立ち上げた理由』を知っているのだから、『当然出てくる論』なのではないかと思われた。そして『ユズハさん』はこの言葉を『否定できない』。確かに『ユズハさんの願い』が『危険』であることは『私』も認めるところだからである。
なので『ユズハさん』は『第一の切り札』であった『氷室さんのフワフワな点を突く作戦』を早々に放棄し、すぐに『第二の切り札』を切る。それは『マリア先輩』が『其の三十四』で語ってくれた話である。
「………確かに私の『願い』が『危険』って言われたらそれは『反論』できないと思う………でも! さっき『ひむろん』は『昼休み怪談部が活動を続けることで起こるリスク』と『昼休み怪談部も氷室麗華への貢献度』が『釣り合ってない』って話に『反論』させて! 『私たち』が『ひむろん』にもたらす『利益』はとっても『大きい』んだって! なぜなら『私たち』は『ひむろん』が『絶対』に『認識』できない『霊障被害者』を『発見』してるんだから!」
そこで『氷室さん』が怪訝な顔をしたので『四季咲先生』が『ノートパソコン』を開いて彼女に見せた。
「…………『瑞樹マリア』という生徒が話してくれた『怪談』だ。実は『今日』もここに来るように言ってあったんだが『なぜか』顔を見せてないな……まあ『それ』こそがこの『怪談』の『信憑性』の『証明』であるくらいに『楽観』しておこう。『氷室』はまずこれの話を聞いてみるがいい」
ここで『氷室さん』は初めて『録画されていたマリア先輩の怪談』を知ったのである。彼女は驚いて、
「…………『私が認識できない怪事』…………そんなものまであったのね………」
「彼女を発見できたのは『昼休み怪談部』の『成果』だ。これでもまだ『ユズハたちの活動』を認めないつもりか?」と『四季咲先生』
「…………確かに『瑞樹マリア』と言う女子生徒のことは知らなかったですわ。この『成果』を認めないわけにはいかないけど、『感謝』こそすれ、『昼休み怪談部を認める』こととは何の『関係』もないですよ先生。『警察』が『犯人逮捕に協力してくれた民間人』に『感謝状』を送ることがあっても『警察官として採用するか』はまた『別問題』であるのと同じです。『警察官』になるのなら『国家試験』をパスしなければならないのですから」と『氷室さん』
「その『例え』は適切か? 『警察になる試験』は『民間人』であれば誰にだって『門戸』は開かれているじゃないか。だがお前は『ユズハ』たちに『試験を受ける権利』すら認めないことになるぞ」
「その『試験』とはまさか『昼休み怪談部の活動』のことですか? 『試験』とは『安全が保障された状態』で実施するのが『常識』です。『怪談蒐集』は『試験』とは呼べませんよ」
「違う、『弟子入り』の話だ。なぜおまえは『ユズハ』たちが『堰守衆』に『弟子入り』することすら『拒絶』する?」
「さっきも言いましたが『堰守集の方針』と『高宮柚葉の目的』が『正反対』だからです」
(う~ん、意外と切り崩せない………『ひむろん』結構喋れるね………)と『ナツメちゃん』
なのでここでその『ナツメちゃん』が『ユズハさん』に耳打ちした。
(…………もうこうなったら『リスクとリターンが実は釣り合う』って『ひむろん』に認めさせるしかないかもね。『金工大』の話もしてみなよ)と『ナツメちゃん』
(やっぱりあの話も必要か~オッケー~!)と『ユズハさん』
次に『ユズハさん』が挙げったのは『其の三十六』の話である。
「『ひむろん』は知ってると思うけど、『雨宮先輩』って人が『工大』で『サイコキネシスの実験』に協力してる話なんかはどう!? あれは『ひむろん』は『化け狐や化け狸に化かされただけ』って言ってたけど、『雨宮先輩』は『元気』で何も『変なこと』は起きてないんだよ! それに対しては何か『反論』できる!?」と『ユズハさん』
「その『怪事』のことはもちろん知ってるけど、それについても『私』が以前言わなかったかしら? 『怪異の時間の尺度は人間とは全く違う』のだから、例えば『10年』何もなかったからと言って『100年後』に何が起こるのか』は何の保証もできないのよ。それに本当にその『サイコキネシス装置の実験』が『妖怪の幻術ではない』とどうやって『証明』できるというのかしら………? 貴方たちだってその『髙原博士』が『嘘をついていない』とどうして言い切れるの? 何か『根拠』を提出できるのならしてみて頂戴」と『氷室さん』
「え、えっと………………そ、そりゃあまあ、できないけど………(もごもご)」
まあそもそも『髙原博士の実験』は『何をしているのか』すら『私たち』は完全に理解できていないのだから。『虹色繊維の機械』が『工大』に持ち込まれている経緯も、あの装置の『仕組み』自体もわからないし、『髙原博士』の素性も不明。だからあの話は『怪奇談』と呼ぶにふさわしいのだろうが………。
するとそこで『ナツメちゃん』が『三つ目の切り札』を切ったのだった。
「…………じゃあ『ひむろん』、ちょっと『あたしの怪談』を聞いてよ。これは『昨日』の『昼休み』に『石田』って男子が持ち込んできた話だよ。一応は『昼休み怪談部がひむろんの役に立つ』ことを『証明する話』だと思って聞いてくれるといいかな………」と『ナツメちゃん』
ここからが『今回の怪奇談』だ。これは『石田修一』という『昼休み怪談部』に頻繁に『怪談持ち込み』をしてくれる『男子生徒』の『友達の住むマンション』で起こったことだったらしい。
まず、その『友達』を『浅野さん』というそうだ。ちなみに『石田君の友達』だが『女子生徒』だそうである(石田はちょっとでも知り合いだとすぐ『友達』と呼ぶので)。
半年ほど前のことだそうだが、『浅野さんのパパ』が『ママと浅野さん』に『家の改築』を告げたらしい。
『いや~この家ってもう古いだろ? 『築40年』だし、それに『最新の耐震基準を満たしてない』って言われてるんだよね実は~(苦笑)。だから『改築』することになってね、その間私たち『浅野家』は『マンション』に引っ越すことにするよ』とパパさん。
『北陸』は確かに『南海トラフ』の範囲外とはいえ、『能登の震災』は記憶に新しいし、そもそも『金沢』の街中の真下に『活断層』が通っているので『地震』と縁遠いわけでは決してない。ということで『耐震化工事』をすることにして、その間『家族三人』は『内灘町』にある『マンション』に一時的に引っ越したそうだった。
だが『引っ越し』が終わって落ち着いた後に『パパさん』がこんなことを『自白』したのだそうだ。
『いや~、じつはこの『部屋』の『家賃』って『相場の三分の一』なんだよね~。すっごい安いでしょ? なんで安いのかっていうと………』
『………も、もしかして『事故物件』とか言わないよねパパ………?』とママさん。
『ピンポーン! 大正解~! 今まで『6人くらい人が死んでる部屋』らしいよ~!(笑顔)』
『『なにへらへら笑ってんの馬鹿ああああああ!!(激怒)』』とママさん&浅野さん。
どうやら『パパさん』は心底『心霊現象』を信じていなかったそうだ(そして妻娘の気持ちもわからなかったらしい)。だが『ママさん』と『浅野さん』はそこまで『豪胆』ではなかったので『怯えていた』そうだが、『引っ越し』から『一週間』ほど経過すると『奇妙な現象』が起こることに気づいたという。
『………なんでかわからないけど、『この部屋』にある『玄関のドア以外の扉』…………つまり『お風呂場の扉』とか『私の寝室の扉』とか『トイレの扉』とかがさ、ちゃんと閉めたはずなのに『いつの間にか少しだけ開いてる』ってことが頻発するようになったんだよね』と『浅野さん』
なぜかはわからないが『浅野さん』が『自分の部屋』に入って『意識』して『扉』を閉め『内鍵』までかけても、『勉強』や『動画』を見たりしてから『扉』に目を向けると『いつの間にか鍵が外れて扉が少し開いている』というのだ。もちろん『部屋』には『浅野さん』しかいないし、それどころか『両親が不在』の時にも起こっていたという。
『もうそれだけで私は『引っ越し』したかったんだけどさ………『パパ』は『泥棒じゃないんだから別によくない?』としか言わないし、『ママ』に至っては『そんな話ママの前でしないで!』って聞く耳すらないし………だから私も我慢するしかなくてさ………』と『浅野さん』
そんなことが続いた『ある夜』のことだった。『浅野さん』はいつも『家族で一番最後に寝る』のだそうだが、その日は『体がだるかった』こともあり『両親より先に寝た』らしい。まだ『リビング』から『両親の話し声』や『テレビの音声』が聞こえてくる中『暗い自室』で『ウトウト』していると………、
……カチャ………ギィ………。
『扉が開かれる音』がしたので『浅野さん』が『部屋の入り口』に目をやり、『扉の隙間』からのぞき込んでいる『誰か』と目が合ったらしい。
『!? 誰!?』
思わず『飛び起きた』が、『隙間からのぞき込んでいる人』は答えず、ただ黙ってこっちを見ているだけだった。『浅野さん』はしばらく『硬直』していたが、『ハッ』と我に返ってから、手を伸ばして『枕元』に置いてあった『破魔矢』を投げつけたらしい(近所の神社で買ってきたものとか)。
『この! どっかいけ!』と『浅野さん』
すると『破魔矢』が『ガンッ!』と『扉』に当たり、さらには『浅野さん』が駆けよって勢いよく『ドア』を開けたらしい。
『この! ………って、居ない………』と『浅野さん』
だが『扉』を開けるとそこには『誰もおらず』、『音』に気づいた『ママさん』が『リビング』から顔を出しているだけだったそうだ。
『ちょっと! いったいどうしたの?』と『ママさん』
『………なんでもないよ』と『浅野さん』
そしてやはり『その後』も『勝手に扉が開く現象』は続いたそうだ。そこで『浅野さん』が『昼休み怪談部』に顔を出したのだが、そこで『ユズハさん』がこんなことを言ったのである。
『………『扉を開けていると隙間から誰かがのぞき込む怪異』ってもしかして『おとないさん』じゃない?』と『ユズハさん』
『おとなりさん??』と『浅野さん』
『違う違う、お隣さんがのぞいてるのはただの犯罪w 『おとないさん』だって。『おとなう』って『古い言い方』で『訪れる』って意味だよw 『江戸時代の妖怪』に『戸の隙間を少しだけ開けているとそこから『おとないさん』が『覗き込む』ことがある』って『伝承』があるんだってw』と『ユズハさん』
どうやらその『妖怪おとないさん』は『ちゃんと閉まっていない戸』があるとは現れ、『隙間から部屋の中を覗き込んでくる妖怪』だそうだ。だが『覗き込んでくる』だけで他には何もせず、しかも『完全に開いた戸』や『完全に閉まってる戸』のところには現れない。対策は『ちゃんと戸を閉め切る』ことだそうだが、『うっかり』して『おとないさん』がやってきても『追い払う方法』もあるらしい。
『………それは『おとないさん』が現れてもあわてず騒がず、『今日はいい天気ですね~』とかって『世間話』をするんだって。そうすると『おとないさん』は満足して帰っていくって話だよ。その『事故物件のおとないさん』も多分『同じ方法』で追い払えるんじゃないかな?』と『ユズハさん』
『ほ、本当に?? 絶対『違う悪霊』だと思うだけど………』と『浅野さん』
『いいからいいからw とりあえず試してみてよ』と『ユズハさん』
その後『浅野さん』は実際に『自分の寝室』でまた出現した『おとないさん(?)』に『世間話』をしてみせたらしい。
『え、えっと、今日はいい天気ですね~………ってもう『夜』ですけどね、はは………なんていいますか、『月』がきれいですね………的な???(いやこれだと愛の告白じゃね!?)』と『浅野さん』
『浅野さん』は言い終わってから『私何してんだろ…』と『虚無感』に襲われたそうだが、するとその『覗き込んでくる誰か』は確かに『立ち去った』ように見えたという。そして『部屋の扉』を開いていみるとやっぱり誰もいなかったとか。
そのことを『翌日』に『ユズハさん』に報告すると、
『え、本当に効いたの? 本当に効くとは思わなかったわ………(唖然)』
『いや人が真面目に悩んでたのに適当なこと言ってたんかい!(怒)』と『浅野さん』
実は『ユズハさん』は『氷室さん』に連絡を取ろうとしていたが、すぐにとれなかったので『気休め』程度に言っただけだそうだ(汗)。しかし確かにそれ以降『浅野さん一家』の前に『おとないさん(?)』は現れなくなったという………『おとないさんは』ではあるが。
最後に『ナツメちゃん』が話を終えて、
「…………って話を最近『ユズハさん』が体験してんだよね。こういう感じの『雑魚(?)の怪異』なら『昼休み怪談部』でも十分に対処できるし、それだけでも『ひむろん』の負担を軽くできると思うんだけどね………それでもダメなわけ?」と『ナツメちゃん』
「…………そういう問題じゃないと言っているのに………本当に困った人たちだわ………(溜息)」と『氷室さん』
『第二回戦』の続きは次に持ち越す。




