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其の三…『昭和の『連続墓磨き事件』の話』

 私は『昼休み怪談部』の『副部長兼会計』を務める『やっくん』である。昔から『妖怪』とか『怪談』とかが好きないわゆる『怪奇オタク』というやつで──本当のところ自分で『オタク』なんて言えるほどの『知識量』があるわけではない。私にとって『オタク』とは『その道に精通した知識人』を意味するからだ(寒い語り)──、『妖怪』とか『心霊現象』とか『怪談』とかが全般的に『好物』だ。


 そしてそんな『ちょっと珍しい趣味』がこうじて『高宮柚葉』という女子と『お付き合い』することと相成り、それどころか二人で『昼休み怪談部』なる部活動を立ち上げて候というわけだ。なので『部長』を務めるのが『柚葉さん』である。


 まあそんな『事情』ゆえに『私』と『柚葉さん』は『怪談や妖怪』のトークで盛り上がることが多い。



「…………ねぇ知ってる『やっくん』? 『江戸時代』に実際に目撃されてた『妖怪』に『通り悪魔』ってのがいるんだよ」と柚葉さん。


「『通り悪魔』ですか?」と私。


「そうそう、別名『通り魔』ともいうんだけどさ。江戸時代に書かれたいろんな『文献』に登場する『妖怪』でさ、『ある武士──仮に『太郎』って名前にするけど──が自分の家の庭先で昼寝をしていたら、庭の片隅が突然『炎上』して、その『火』の中から『長刀なぎなたを振り回しながら自分に向かって突進してくる侍』が飛びだしてきたそうなの」


「『太郎』って名前が適当すぎる………(汗)…………え、いきなり飛び出してきたんですか?」と私。


「そう『いきなり』なのよ。それで『太郎』が驚いて『腰の刀』を抜いて迎撃しようとしたんだけど、『なんかおかしいぞ!』と思ったらしくて、『これはきっと魔性が見せる幻に違いない』と思って刀をしまい、目を閉じてしばらく深呼吸したそうね」


「ふむふむ…………それでどうなったんですか?」


「それで再度目を開けてみたら『長刀の侍』は煙のように消えていて何事もなかったそうよ。それで『太郎』は安堵して『奥さん』に『お茶』を用意させたそうだけど、その時『隣の家』から悲鳴があがったそうなの。なんでも聞いたところによるとその家の『主人(武士)』が庭を眺めていたら突然『乱心』したらしくて、『刀』を振り回して『家族や使用人』を『皆殺し』にしたんだって………」


「うわぁ………」


「………その話を聞いた『太郎』は思ったそうなの。『きっと先ほど自分を襲ってきた『魔物』が追い返されて『隣の家』に移り、『隣の主人』は惑わされてしまったのだろう』って………実はこの話は当時の『お役所で働いていた武士』が皆『超ハードコアワーク』だったらしくてさ、その『激務のストレス』で『過労自殺』や『無理心中』をする武士が結構多かったらしいの(一方で仕事がなくて職人やってる浪人もいっぱいいたんだって)。その『社会問題』を『妖怪化』した話じゃないかってことらしいわね」


「まさに『通り魔』、かなり『ヤバ度の高い妖怪』じゃないですか? ………つまりもし『長刀の侍』に向かって『刀』を抜いて迎撃してたら『太郎』さんも危なかったと………現代人は『刀』とか持ち歩いてないので遭遇しても大丈夫そうですね(笑)」


「甘いわね『やっくん』、『日本刀』でなくても『刃物』を持ち歩いてる人は結構いるわよ」



 この『通り魔(通り悪魔)』は『江戸時代の複数の著作家の文献』に登場するらしく、『ちょっと違うバージョン』も複数存在するらしい。そしてかの『水木しげる御大』も『全集』の中で『妖怪の一つ』として取り上げているとか………『水木先生の妖怪全集』で『妖怪好き』になった人は多いだろう、『柚葉さん』もその一人であるそうだ。


 ああ、ちなみに今回の紹介する『怪談』は『これ』ではない(紛らわしくて申し訳ない)。『柚葉さん』も私をはるかに上回る『怪奇オタク』なのでこういう話をどこからともなく集めてくるのだ。だが彼女の『江戸古典怪談』や『中国志怪小説』の知識にはただただ敬服するばかり………私は全然詳しくないので………こんなに『滅茶苦茶可愛い女の子』なのに人は見かけによらないものだといつも思う。





 ………と、これはただの『彼女自慢』であって今回紹介する話とは何の関係もない(あと本人には言わないでほしい///)。さて、では今回紹介する『怪談』はその『柚葉さん』の『友達』である『ノナさん』とう女子生徒が語ってくれたことだ。



「私って結構『霊感』が強いんだよね~(ドヤ)。いや、別に自慢とかそういうわけじゃないけど? むしろこの『霊感』のせいで『苦労』することの方が多いけど? まあ『霊感強め女子』ってやつだから『怪談』は結構話せること多いんだよね~。『どのレベル』がいい? 『やばい系』? 『自己責任系』? それとも『ほのぼの系』? どんなタイプの奴でも話せるよ~」と『ノナ』


「はぁ…………」と私。



『自分は霊感が強い』と主張する奴は『痛い』…………などというが、一応『ユズハさんの友達』なので『私はそんなこと微塵も思ってはいない』と申し上げておこう(明後日に目逸らし)。しかし今までこの『昼休み怪談部』を尋ねてきた有象無象の『自称霊感強め』の中でも『ノナ』さんはとくに『癖』が強い………その記録は今のところ破られてはいない。


 だがこの時彼女が持ち込んできた話は『豊富な実体験』ではなく『お祖母ちゃんから昔聞いた話』だそうだ。


「…………これは『小学生』の時に亡くなった『お祖母ちゃん』から聞いた話なんだけどさ。確か『昭和』の頃だったかな? 『金沢』で『すっごい変な事件』が起こったらしいんだって。題して『怪奇! 無差別連続墓磨き事件!』だそうだよ」とノナ。


「「…………『墓磨き事件』??」」と私&柚葉さん。





 これは『昭和』の時代──といっても『昭和』の具体的にいつ頃なのか『ノナ』さんは聞いてないそうだが──『金沢』の『俱利伽羅峠』のあたり、つまり『富山』との『県境』に近い土地にある『墓地』で奇妙な事件が起こったそうだ。



「…………それは『一晩にして墓地にあるすべてのお墓が『ぴかぴか』に『掃除』されてた』って『怪事件』なの。しかもそれは『その墓地』だけにとどまらず、次の日には『森本(俱利伽羅峠に近い金沢の一部)』の複数の『墓地や霊園』の墓が全て『掃除』されてたのよね! どう? すっごい『奇妙』でしょ!?」とノナ。



「…………確かに『怪事件』ではあるんですけど………」と私。

「なぜ『墓掃除』?? まあでも一応『墓場で起こった怪奇現象』ではあるわけね………」と柚葉さん。



「そうそう! 当時の『警察』も『新聞』も『なんでこんなことをするんだ??』ってすごい戸惑ってたらしいよ。しかもこの『妖怪?』は『金沢』をどんどん『東』から『西』へと移動していってて、『金沢』の全部の『墓地』を『掃除』すると今度は『野々市や白山市(どちらも金沢の西側の市町村)』の墓も掃除し始めたんだって! あ、どうやら『能登』の方にはいかなかったそうだよ」とノナ。


「はぁ……(テンション高いなぁ)……でもどこのだれか知りませんが『お墓掃除』してくれるなんて『いい人(?)たち』ですね。正直何が目的かわからないですけど………」と私。


「いやそれが『ただ墓掃除してくれる』ってわけでもなくてさ。この『妖怪墓磨き』は『墓石』を磨いて綺麗にした後、表面に『刻まれている文字』の中に必ず『朱を指す』らしくてね、それで………」


「『しゅをさす』?? なんですかそれは?」と私。


「『朱』は『赤色』ってこと。それが『インク』なのか『顔料』なのかは知らないけど、『墓石に刻まれてる文字』の『溝』に『赤色』を塗っていたわけね?」と柚葉さん。



「そゆーこと! ただ『お墓掃除』するだけじゃなくて『文字に赤色を塗って『化粧』』までしてくれてたらしいんだけど、この『朱色』が厄介でね。『雨』が降ると『朱色』が全部『流れ出し』ちゃってさ、遠くから見ると『墓石が血だらけ』になってるように見えて『掃除前』より汚くなってたそうだよ」とノナ。


「「それ『墓磨き』っていわない、『妖怪墓汚し』だから(ツッコミ)」」と柚葉さん&私。





 つまりは『夜な夜な墓地に現れて他人の墓を汚していく罰当たりな愉快犯』だったわけだ。だが当時の『警察』を一番困惑させたのは『その規模の大きさ』である。複数個所の、しかも『互いに遠く離れた位置にある墓地』が『一晩』のうちに被害に遭い、『たくさんの墓』を短時間で磨くので明らかに『多人数の組織的犯行』であり、さらには『目撃者』がいなかった。


 この『目撃者不在』の事実から『綿密な計画の上犯行に及んでいる』ことが知れたわけだが、なぜそこまでして『墓磨き(墓汚し)』をしているのかが全く分からなかった。なぜなら『墓磨き』は何も盗まず、『お供え物の饅頭』すら手を付けずに全部墓地の『ゴミ箱』に捨てられていたそうだ(墓を汚す原因になるということだろう)。本当に『犯人』は『墓を磨いて朱を差す』ためだけにこんなことを行っていたのである。



「…………しかも『警察』は使われていた『赤色』の『購入元』を探したそうなんだけど、なんか普通に『お店』に売ってるやつでさ、でも『大量に購入された履歴』とか『大量に盗難された』とかそいうことも『一切皆無』だったんだって。だから『赤色』から犯人を辿ることもできなくて、仕方ないから『警察』は『次現れると予想される墓地』に『張り込み』することにしたそうだよ」とノナさん。



 この時『警察』は『出現が予想される複数の墓地』の付近で『張り込み』を行ったそうだが、すでに『墓磨き』が『地方新聞』や『テレビ』をにぎわせていたため『夜』でも『野次馬』がたくさん訪れていたらしい。



『野次馬に来るな! 帰れ帰れ! 遊びじゃないんだぞ! こんな『キ〇ガイ』なことをする連中が『危なくない』わけないだろ! さっさと帰らんか!』と警察官。


『噂の『墓磨き』をみてみたいんすよ~! ちょっとくらいいいじゃないですか~!』と野次馬達。




 だがそんな『警察の張り込み』も全く効果がなかった。なぜなら『警察』が『墓地の前』で監視していたはずなのに、全く気付かれずに『墓磨き』が行われたからである。



『えぇ!? そんな! 出入りした人影は全くなかったのに!? いったいいつの間に………』と警察官たち。


『なんでお前らはどいつもこいつも『墓地の中に入って見張り』をしなかったんだ!? 『入り口の前』じゃなくて『中』で見張れ! こんどこそ現場を押さえるんだ、このままだと『警察』の『沽券』にかかわるだろうが馬鹿もんどもが!!』と上司。



 というわけで『警察官』たちは『鶴来(白山市の一部)』やその周辺の複数の『墓地』の中に入って『深夜』の間ずっと『パトロール』することになったらしい。『懐中電灯』をつけて『墓石』の中を巡回していたそうだが、そこで『ある警察官』が『墓地』の片隅で『二人組』をみつけたそうだ。


『………おい! そこに居るのは誰だ!? 警察官ではないな!?』と警察官。



 その『二人組』は『大胆不敵』なことに『20個くらいの灯り』をつけていて、その下で熱心に一つの『墓石』を磨き続けていたらしい。なので『警察官』が『肩を怒らせて』近づいていくと、いきなり『フッ』と『灯り』が全部消えた。


『うわ!? くそ逃げたか!? いったいどこ行った!?』と警察官。


 一瞬『暗闇』になって目が見えなくなったが、それでも『懐中電灯』を使って素早くあたりを照らしまわる。しかし『人影』は見当たらず、それでも『逃がすまい』と例の『墓石』のそばまで駆け寄った。だが『二人組』はすでに逃げ去った後であり、見るとすでに目の前の『墓石』にはちゃっかり『朱』が差してあったそうだ。


『くそ、逃がしたか! すぐに連絡を………ん?』と警察官。


 彼が慌てて『無線』で連絡を取ろうとすると、そこで『墓地』のあっちこっちを飛び跳ねる『光』にきづいた。それはどうやら先ほどの『墓磨き』の手元を照らしていた『灯り』のようだったが、しばらく手前勝手に動き回った後、全部の『光』が徐々に弱まっていって最後には『暗闇』の中に溶けるように消えてしまったそうである。


『………???』と警察官。





 ここまで語って『ノナ』さんが『渾身の『ええ感じじゃろ?』フェイス』で得意げに、


「………結局この『連続墓磨き事件』の『犯人』は捕まらなかったそうでさ。被害も『加賀市(石川県最南端)』の墓地をいくつか『掃除』した後自然と消えていったそうだよ。つまり『福井』には到達しなかったってこと! どうよこの『意味不明な怪事件』は! 『柚葉さん』の『お眼鏡』に適うんじゃない!? さぁ『100点満点中』何点!?」


「うーん、『40点』かなぁ、『鯖江おめがね』に到達しなかったから、なーんて(笑)」と柚葉さん。

「ひっく!? なんで!? だってこれ実際にあった事件だよ!?」とノナ。


「まあ確かに『意味不明』ではあるけどね………まあでもそこまで嫌いじゃないけどね。この話『百物語』に加えてもいい? 『文化祭』で部の出し物ださなきゃいけないんだよね~」と柚葉さん。

「かまへんかまへん(どやぁ)。『やっくん』はどう!?」とノナ。


「僕も結構好きですよ。一応放課後『図書館』で『新聞』探してみますよ。それで見つかったら『80点』あげます」と私。

「お、じゃあ私ら三人でいこうよ! 絶対見つかるってノナちゃんが保障してあげるから!」とノナ。

「え~『図書館デート』についてくんのは『野暮』じゃな~い?(ニヤニヤ)」と柚葉さん。



 その後『図書館』で探すと本当に『連続墓磨き事件』の新聞記事を見つけることができた。やはり『怪談』は『実際に遭ったこと』と言うことになると一気に『それらしさ』が増すなぁと思う。




 ちなみに一応この『怪談』について『知り合い』の『二人の霊能者(?)』に尋ねると、


「『怪事』の正体を探ることに意味はないわ。『狐狸』であろうと『霊鬼』であろうと『付喪神』であろうと。問題は『結果』、それもあなたのその話だけじゃあ何も判断はできない、だって『前兆』かもしれないもの」と氷室麗華。


「『アインシュタインの相対論』では『誰かの過去』は『誰かの未来』である可能性があるんだよ『やっくん』くん、そしてすべての『世界線』は『交差』することは『絶対に』なくても『近似』の値をとるものだ。『覚えておく』といいよ」と魚さん。



『霊能者』は『半分向こうの世界の住民』だということを──決して失礼な意味ではなく──日々実感させられる私である(汗)。

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