其の百三…『令和福井恐竜怪談『其の一・後編』』
今回は『其の百』の『続き』である。『恐竜の悪霊』という『胡乱な怪奇談』を語る『篠塚さん』の目は限界まで見開かれ、その瞳には何の『光』も存在などしていなかった。
時刻は『昼休み』であるはずなのに、『外』からは『放課後』かと疑うほど『人の声』が聞こえてこない。そんな中『篠塚さん』はは話の途中で突然言葉を切って、
「…………『再度の怪』ってなんですか??」
かたや場違いなほど『ユズハさん』が目を輝かせて早速話し始める。
「『小泉八雲』の『怪談』にある『むじな』はしってるよね!? 『一度遭遇したお化け(『むじな』の場合は『のっぺらぼう』)』に『繰り返し何度でも遭遇する』ってパターンの『怪談』だよ! 本当に古いタイプの『怪談』で、すでに『捜神記』にも同じパターンの怪談が収録されてるんだよ!(『のっペら坊』ではなく『兎の怪物』) ……あ、ごめんごめん! えーと、『捜神記』ってのは中国の……」と『ユズハさん』
だが『ユズハさん』は『温度差』を理解していなかった。
「…………つまり『ゆずっちさん』は私の話を『作り話』だと思ってるってことですか??」と『篠塚さん』
「! いやいや! そうじゃなくて! 『怪奇現象』としてはものすごく『古くて伝統がある』ってことだよ! 『篠塚さん』は知らなかったみたいだけど、それでも知らないで『伝統』に則ってるなら、それは『本当にあったこと』ってことじゃんね!(汗)」
「そんな『フォロー』が入るってことはやっぱり『作り話っぽい』……いえ、単に『怖くない』ってことですよね? そうですよね……体験した私自身も笑っちゃいますもん……なんだよ『恐竜の悪霊』なんて……ふふふ……」
『篠塚さん』はそう言ってから『少しは雰囲気を出しましょう』と言って『部室』の『黒カーテン』を閉め切り室内を『薄暗く』した。それから『スマホのライト』を『天井』に向けてみせる。
すると必然的に『篠塚さんの影』が背後の壁に伸びて映るわけだが……確かに『私』と『ユズハさん』は目撃した。『篠塚さんの影』が明らかに『恐竜』の形をしていたのを。
((…………どうやって怖がれと???))と『私達』
「…………まだ『怪談』は終わってませんよ。続きを聞いてください(微笑)」と『篠塚さん』
今回『篠塚さん』が目を覚ましたのは『病院』だった。『自分のベッド』を囲む『カーテンレール』と独特のにおい、そして自分の腕につながっている『点滴』を眺めてすぐに『状況』を把握する。
『…………あてて、頭痛い……なんで私『病院』なんかに……?』と『篠塚さん』
『お目覚めですかお嬢さん。これでやっとお話ができますね』と『恐竜博士』
『…………はい??』
『篠塚さん』の『ベッド』のわきには『恐竜博士』が座っていた。そう、『恐竜博士』である。え? 説明になってないって? あ、もしかして今時『福井駅』に行ったことない人?? 『ベンチ』に座って白衣を纏い『恐竜の骨』を掲げているあの『恐怖博士』だって。
「『恐竜博士』は知ってるけど『ドクターサウルス』とは発音しないから(ツッコミ)」と『ユズハさん』
「そうですよね……あれ? 今『語り部』って『僕』ですよね??」と『私』
「いや私ですけど……あれ? 違う??」と『篠塚さん』
『恐怖博士』はいつも通り『ブラキオサウルスの骨』をしげしげと観察しながら、
『…………あなたの言いたいことはわかりますよ『篠塚さん』。あなたは今『自分の頭がおかしくなっている』のかそれとも『自分は正気で世界が間違っているのか』が分からない状態だ。そうじゃないですか? 貴女は今頭を抱えて泣きたいのではないですか?』
そういわれると『篠塚さん』は視線を自分の手元に落とし、もう一回『恐怖博士』を見て、目をこすり、また『恐怖博士』を観察してから……溜息を吐いて頭を抱えた。
『…………もうマジでいったい何なんですかね本当に……私はもしかして本当に『恐竜の悪霊』に『祟られて』るの?? それともこれは全部『妄想』?? でもなんで『祟られる』のかマジで意味わかんない……だって『恐竜の化石』を持ってる人なんて腐るほどいるし、かといってなんで『頭がおかしくなる』わけ?? 別に『ストレス』が溜まってたとかも全然ないし……もうマジでなんでこんなことになってるのよ……なんで私だけこんな目に……』
『ふふふ、なぜあなたがこんな『目』に遭っているのか? それは簡単です、あなたが『福井県民』だからですよ』と『恐怖博士』
『はぁ????? なにそれ?? 福井の人は全員呪われてるとか言う気?? 地域差別???』と『篠塚さん』
『『福井県民』が『恐竜で町おこしをしよう!』と決意した時から『県民』が背負うことになった『宿命』なんですよ。『福井』はこれから『観光客』がふえるだけでなく将来『金沢は都会だなぁ』とか言うことも無くなります。なぜなら『福井県民』も自分たちを『都会民』だと誇れるようになるからです……その『代償』が『これ』なんですよ。『はるか古代に滅び去った怪獣の力』を借りたことがすべての原因なんです』
『なにそれ……『触ってはいけない封印を解いてしまった』的なやつ?? そんな馬鹿な話が………』
『あなたが今の状況を『バカ』と割り切れてしまうのなら大したもの、あなたは『退魔師』の才能が有りますよ。そしてもし『退魔師』となるのであればぜひとも『世の人々』に伝えるべきでしょう、これは『福井県民だけの宿命』ではないのです。『福井』と『手を取り合って共に発展しよう!』と決めた『石川県』と『富山県』も『同じ宿命』を背負うことになったのです。ですから『北陸民』に伝えてください。『恐竜の悪霊』を舐めてはいけない、『恐竜の悪霊』は『地上のすべての悪霊』が束になってもかないません、なぜなら『人間』が『恐竜の軍団』に等勝てるはずがないからです……』と『恐竜博士』
次第に『篠塚さん』の『ベッド』の上には『ミニ恐竜』が湧き出してきてあっちこっち『走り回り』はじめたそうだ。それを『目』で追い始めるとあたかも『ぐるぐる』と視界が回るような錯覚を得る。また『恐怖博士』はどこからともなく『トリケラトプスの頭蓋骨』を取り出して眺めながら、
『……あなたは『どっち』の方がいいですか?』
『はい?? 今度はどういう意味???』と『篠塚さん』
『『自分の頭がおかしくなっている』のか、それとも『本当に恐竜の悪霊に祟られているのか』の『どっち』がいいかと聞いているのです。あなたの『認識している世界』は『あなただけのもの』ですから、『あなた』が『どう思うか』で全て決められてしまうのです。これ以上の『説明』は必要でしょうか? さぁ『あなたの世界』を『決めて』ください。それだけが『あなたの疑問』に対する『唯一の答』ですよ』と『恐怖博士』
言われて『篠塚さん』は考えた。もはや『考える』ことしか出来なさそうだったからだ。なので彼女は壁に掛かっていた『デジタル時計』に気づき、その『時刻』が『過去』に向かって遡っているのをぼんやりと眺めながら、
『…………ここで『目が覚める前』に『弟』が言ってたことが気になってるんですよね。『姉貴は恐竜の化石を持って帰って来たら『意味不明なこと』を叫びながらいろんなものに『噛みついてた』』て……あの『弟とサカナちゃん』が『妄想』だったのか、それとも『偽物』だったのか、あるいは『本物』だったのかも何もわからないけど……私はあえて『本物だった』がいいかなぁって思う……』
『ほう、つまりあなたは今『妄想』の中にいるのではなく、『恐竜の悪霊』に本当に祟られていると? ではここはもしかして『現世』ではなく『彼岸』ということになると? なぜそう考えたいのですか??』と『恐怖博士』
『だって、もし私が『妄想の中』にいるってなったら、多分今この瞬間も『家族とか友達とか』に『噛みついたり』してるかもしれないわけでしょ?? なんかそういうのすごい『嫌』じゃんね。でももし私が『祟られて』て、ここが『異世界』とか『あの世』とかだったら、少なくとも誰かを『傷つけたり』はしてないことは確定じゃん? まあ『行方不明』になってるから『心配』はさせてるだろうけど……なんていうか、『行方不明』だと『かわいそう』ってなるけど、『妄想に憑かれて暴れてる』だと『煙たがられる』わけじゃん! だから『行方不明』の方がいいかなって思っただけ(あっけらかん)』と『篠塚さん』
『さっき私は『恐竜の悪霊』の恐ろしさを教えましたが、その話を聞いても?』
『いや、『恐竜』が束になったって『人間様』にかてるわけないじゃんw 『科学技術』で普通に勝てるからww だからやっぱり私は『行方不明』でいいよ』
『恐怖博士』はそこで初めて『同胞(?)の骸骨』ではなく『篠塚さん』を見て、
『………………面白い考え方をしますねぇ! いいでしょう! では『私』もあなたの『世界観』を壊さないために『ティラノサウルスの悪霊』とでも名乗っておきましょう! そしてここからが一番『重要』になるのですが…………あなたはどうすれば『元の世界』に戻れると思いますか?』
D I N O S A U R…………!
唐突な『ウィスパーボイス』と共に『扉』が開き始める…………『昼休み怪談部の部室』の『扉』が。
「「…………は??」」と『私たち』
ゆっくりと『篠塚さん』が立ち上がる。彼女は『薄暗い部屋』の中でもわかるくらい『泣いてるようにも笑っているようにも見える顔』で、
「…………『ここから先』はなんていうか、『言葉』で説明できる自信がないんです…………ですから『怪談語り』は『ここまで』ですけど、この『怪談』はまだ『終わってない』ので勘違いしないでください…………私は『石川』と『富山』に『福井の宿命』を解説しなければいけないので…………」
そう『ぶつぶつ』と語る彼女の『スカート』から伸びた『足』にははっきりと『ワニ肌』が浮かんでいた。『ワニの肌』が彼女の足の表面に現れてるってことだ。いや『ワニ』じゃなくて『トカゲ』か?? いやたぶん『流れ』的にあれは『恐竜』なんだろう…………でも最近の研究では『恐竜』は『羽毛』があったって話もあったよね??
そして『ゆっくりと開く扉』から何かの『猛獣の唸り声』のような低い音と、さらには『巨大な鉤爪がついた恐竜の手』、そして『サカナちゃん』が顔を出した。
「…………GURRRRRR………! 『ダイナソー』だよ~………『恐竜』は『動物』だから『人間』を食べても『法的責任』はないんだよ………!(よだれ)』と『サカナちゃん(?)』
これも『怪談』なのか? 『私』と『ユズハさん』も思わず立ち上がり、『ユズハさん』が『にやり』と不敵に笑いながら、
「…………『やっくん』、どうやら私たちは『油断』してたみたいだね………てっきり私たちは『安全圏から過去の話』を聞く『聞き手』だと思ってたけど、そうじゃなくて実は『怪談の登場人物』にされたってわけね……………だからさ………『まさか』と思ったけど………」
そう言いつつ、『ダイナソー』を睨みながら『自分のポケット』に手を突っ込み………、
「…………『まさか』だったよ。『本当』に『出てくる』とは思わなかったね………(引きつり笑い)」と『ユズハさん』
彼女の手には絶対に見間違えるはずのない、『其の一』で語られた、あの『手の平サイズの宇宙船』が確かに存在していたのだ。
『私』も『ごくり』とつばを飲み込んで、
「『堰守衆』が言うところの『異界』ですね………まさか『異界』の方から『部室』に入って来るなんて………『世界を自分で決めることができる』……なるほどですね………」
『令和福井恐竜怪談の『其の一』』は『ここまで』、『ここから』は『昼休み怪談部事始め』である。




