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其の一…『宇宙船に乗る悪夢と星新一の呪いの話』

『怪談を集めていると奇妙なことが身の回りで起こるようになる』などとはよく言うが、その『奇妙なこと』に『悪夢』は入るのだろうか? 



 私は『石川県金沢市黒百合丘学園』にある『昼休み怪談部』なる部活動で『副部長兼会計』を務めている。この部の部員は『5人』だが『幽霊』を入れると『6人』、主な活動内容が『怪談を蒐集すること』なので『部室』にはいつも『部員でない生徒』が出入りしていて『怪談』を持ち込んでくれる。この日は『石田』という一年生から『持ち込み』があった。



「俺は『2組』の『石田』っていうんだ。『あんた』が『部長の高宮』で『そっち』が『副部長の荒巻』だな? ここは『怖い話の持ち込み大歓迎』ってきいたから持ってきたぜ」と石田。



(なんかちょっと苦手なタイプかも………)と私。


「確かに私が『高宮』で彼が『荒巻』よ。じゃあそこの椅子に座って、あ、『お茶』とか一応だせるけどいる? 購買の自販機で買ったペットのお茶だけど」と高宮。


「これから喋るんだから『飲み物』くらいあるのがあたりまえだよなぁ? おっし………(着席)…………つーか二人の名前はなんていうんだ?」と石田。



「『柚葉』よ、『高宮柚葉』。そんでこっちは『八潮』だから『やっくん』ってね。好きに呼んでもらっていいわよ。それで? 持ち込みの話ってどんな感じなの?」


「なら『ユズハ』と『やっくん』だな! ………そんでちょっと一つ気になってんだけどさ、お前らってマジで付き合ってんのか? そんで『恋人同士』でこんな部活作ったのかよ!? 熱いね~! よく『大迫先生』が赦してくれたよな~? 全く羨ましいぜ『ラブラブ』でよ! な、『やっくん』!? お前はどうおもってんだよ~? え~?(ニヤニヤ)」



「はぁ………(いきなり馴れ馴れしすぎだろ)」と私。


「『怪談』話す前に『ピンク色』にしないでくれる?(文句) 確かに私は『やっくんの彼女』だけど今はそんなことどうでもいいのよ、『昼休み』は時間が限られてるんだからさっさと話す! 『持ち込み希望者』は『石田君』だけじゃないんだからさ」と柚葉。


「なんだなんだ『照れ隠し』か~?(ねっとり)………そう睨むなって冗談だよ冗談! おほん! じゃあ『怪談』をはじめっかな~、えーと、ああ、これは『昨晩』みた『夢』の話なんだけどさ………」と石田。







 彼の見た『悪夢』とやらはこうだ。彼はどこかわからない『夜の街』を歩ていた。なぜか周囲には『人影』が全くなく、無人の街を孤独に歩き続けていたらしい。


 すると道の向かい側から『一人の男』が小走りに走ってきた。石田はその『男』に『ここはどこですか?』と声をかけたという。



「マジすんません、道に迷ってしまったんす。ここマジでどこか教えてもらえないすか?」と石田。



 すると『男』は立ち止まったが一言も答えずに『ポケット』に手を突っ込み、中から『手のひらサイズの宇宙船』を取り出してみせた。


 それをおもむろに自分の足元に『ポイ』と放ると、地面に落ちた『宇宙船』はどんどん大きくなって『人が一人余裕で乗り込める大きさの宇宙船』になったという。


「え」と石田。


 その『男』はそのまま『宇宙船』に乗り込むと、そのまま飛び上がって空の彼方へ飛んでいったらしい。もちろんそれを見送った石田はすっかり『パニック』になり走り出した。



「なんだなんだ!? 一体さっきのは何だったんだ!?」



 どらくらい走っただろう、石田は今度はこっちに向かって走ってくる『女』に出会った。石田はまたすぐに声をかける。



「す、すみません! さっき向こうで『宇宙船』に乗って飛び上がっていった奴がいたんすよ! あれ一体何なんすか!? いやあんたに聞いてもわからないかもしれないっすけど………ていうかここどこなんすか!?」と石田。



 するとその『女』も『ハタッ』とその場で『静止』し、またも『ポケット』に手を突っ込んで『手のひらサイズの宇宙船』を取り出したのである。もちろんこれを『足元』に投げ落とすと『巨大化』し、『女』もそれに乗って『空の上』へと飛び立っていったのだ。



 石田はここで『半狂乱』になり、とにかくひたすらに走り続けた。そして今度は『老人』に出会ったのだが彼も今までと同じように『宇宙船』に乗って飛び去り、その次に出会った『女の子』も全く同じ結末を辿ったのである。石田は声がかれても息がきれても逃げるように走り続ける。


 そしてまたも『一人の男』と遭遇した。その男も『真っ青な顔』で全速力で走ってきて、こっちを見るなり金切り声で叫んできたのである。


「もしそこの方! いったいここはどこなんですか!? さっきから出会った人たち全員に聞いてるのですが、なぜかみんな誰も答えずに『宇宙船』に乗って飛び去って行くのです! 一体何が起こってるんですかここで!? あなたは何か知って………」



 と、そこまで聞いて『石田』はふと『自分のポケット』に重さを感じ、手を突っ込んでみると『小さな宇宙船』が入っていた。それを『ポイッ』と足元に投げ出すと『大きな宇宙船』に変化し、それに乗り込んで空へと飛びあがる。


 眼下で『先ほどの男』が『悲鳴』をあげながら走り去るのが見えた。その様をぼんやりと眺めながら石田がつぶやく。


「…………高い所から見下ろしたらここがどこなのかわかるかな………?」





『はい』と彼がそこまで語ったところで『私』が話に割り込む。そのまま隣に座る『高宮柚葉』、こと『ユズハさん』に向かって一言。


「…………うちは『作り話』NGですよね?」



「『作り話』じゃねーよ! まじで昨日見たんだって! なんだよ『やっくん』よ~!? 俺が『初対面』で『異様に馴れ馴れしい』からって『嫌がらせ』してんのか~???」と石田。


「自覚があるのならやめてくださいよ(呆れ)。その話思いっきり『星新一』のパクリじゃないですか。すごい有名で『NHK』で『映像化』もしてますよ」と私。


「というか『ただの悪夢』を『怪談』認定していいのかしらねぇ? 『正夢』とかならまだわかるんだけどさ、ちょっとこれだけってのは………『お茶代』請求していい?」と柚葉さん。



「ひでぇな!(涙目)お前ら『語り部』に対してそんな『ぼろくそ』とか『怪談聞き』としての自覚が足りねーんじぇねーのか? 『二人』とも全然『聞き上手』じゃねぇ! そもそも『世の中の怪談』なんてどいつもこいつも『似たり寄ったりの話』ばっかじゃねーか、大体みんな『どっかで聞いたことあるような話』にちょって『アレンジ』加えてるだけなのに、俺だけ文句いわれるのおかしくね? 第一………」と石田。


「世の中の『怪談語り』に謝ってください(呆れ)」と私。

「いやだって『悪夢』なら皆日常的に見てるでしょ? 全然『非日常』でもなんでもないし………」と柚葉さん。


「…………俺は『話が終わった』なんて一言も言ってねーけど?」と石田。



 彼はそういうなりおもむろに自分の制服の『ポケット』に手を突っ込む。その時点で『ユズハさん』が『ギョッ』として反射的に立ち上がり、石田の手に『手のひらサイズの宇宙船』が握られているのを見て『私』も思わず腰を浮かす。石田はそのまま『投げるポーズ』をして、


「ほら! 投げるぞ! ほら!」


「うわ! わわ!」と柚葉さん。

「ちょちょ! え、マジ!? ちょっと、マジ!?」と私。


「ほら! 『ポイッ』と投げるぞ! 『ポイッ』とな!」と石田。


「「ちょちょちょ! うわわわ! ストップストップ!!」」と二人。



 石田が『投げるふり』をすると思わず『私と柚葉さん』が身構え、石田が『宇宙船』を引っ込めると安堵するが、また『投げるふり』をすると思わず体が固まってしまう。そんな『往復運動』を何回かしたあと石田は『満足した顔』で『宇宙船』を『ポケット』に中にしまい込んでから、


「はははは! どうだ参ったか! ただの『悪夢』だったらわざわざ話になんて来ねーってーの! ちゃんとしっかり『落ち』を用意してんだよこっちはな! でも『俺』はこの後マジでどうなるんだろうな!? この『宇宙船』を投げるとマジで空の彼方に飛んで行っちまうのか!? お前らなんか『霊能者』とか知り合いいない!? まじでこの『宇宙船』をどうにかしたいんだけど、俺は行方不明になりたくなんかねぇぞ!(笑)」



「生憎『こんな部活』を立ち上げたおかげで『知り合い』になれたわよ『霊能者(?)』と。『氷室麗華』さんと『生野魚』さんのどっちがいい?」と柚葉さん。


「石田君のそれって『怪奇現象』って言えるんですか?? 『氷室さん』の方がおすすめだと思いますよ。『魚さん』の方だと『量子力学』がどうたら言ってもっと意味の分からない事態になるので………(良心)」と私。


「誰でもいいから早く『霊能者』紹介してくれ~!(悲鳴)」と石田。



 後で聞いた話だと『石田』はなんとか『霊障(?)』を無事に回避することができたらしい。だが『宇宙人や星新一に呪われる覚えはない』とのこと(そりゃあそうだろうさ)。また『氷室さん』に事情を聴いても『怪異とは『空』だから』とだけだった。柚葉さんと話し合ったが未だに意味は分からない。

 完全リニューアルしました。基本的にどの話から読み始めてもOKな形で行こうと思ってます。更新は不定期になると思われます(悪しからず)。

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