忘却の椅子 ~忘れ去られた宴~
「ザ・ラスボスの宴って感じだな」
パッと見た感じの雰囲気を呟く。
長方形のテーブルの上にはいつからあるのかわからないぐらい腐った料理の数々と蜘蛛の巣があり得ないほどこの部屋の隅々までを張っていた。
一応テーブルの上に燭台と天井にシャンデリアがあり蝋燭が灯っているが十分な光源にはなりえなかったようだ。ぼんやりとした明るさが不気味さをさらに増している。
テーブルが長い割には椅子が一つしかない。
その一つは金色と黒色を基調とした豪華な装飾で飾られているとても大きな椅子であった。
「まあ、ハデスが催した宴だからな」
ユダが僕の独り言に答えてくれた。
「ここが…あれはどこにある?」
「…この先にある扉の向こう側にその答えがある」
なんだろう、ユダは元々含みのある言い方をするのだが今回はさらに触れたくないといった感じがする。
それはバベル君も感じているのだろう。
しかし彼は特に何も言わず颯爽と蜘蛛の巣を払いながら先へと進んでいた。
慌てて僕も彼に続く。
この異様な宴の奥にはこれもまたあり得ない量の蜘蛛の巣が張っている扉があった。
その蜘蛛の巣を払おうとすると意外に固くがっちりとくっついていて二人がかりでやっとこさして外す。
錆び付いていて錆びた歯車のように軋む音をたてながらその扉を開く。
その部屋の光景を見た瞬間、僕はあまりの残酷さに猛烈な吐き気を催した。
確かにユダが話していた『忘却の椅子』には現在も彼が座っているともどういう状態でいるのかも言ってはいないし、僕も今の今まで気にしたことなかった。
どうしたらこんなにも酷い目にあうのか。
僕は萎えしぼんだ心の奥底にある勇気を振り絞り再び顔をあげる。




