聖戦の理由
カイ様の呟きに私とボムボムプリン様は喰いついた。
「知りたいです!」
「ほう、吾輩も真相に辿り着いているが、他の意見を聞くことは有益だな。よいぞ話せ」
「なんで上から目線だ手前は!? 合っているかどうかわからんぞ。なにせ苦労して集めた資料もほぼ風化が激しくて判読するのが難しいからな…俺の解釈で良ければ」
「出たっ! 考察厨」
「うるせえ! 話さねえぞ」
「わ、私聞きたいです!とっても面白くて独創的な考察なんでしょうね!」
つむじを曲げたカイ様を何とかして機嫌を直して話をしてもらった。
「コホン…まあこういうことだと思う」
第一次聖戦。
すべての始まり。
人が神に反逆したその理由は意外なほど不明であった。
余りの苛烈な支配に我慢できず募りに募った憎悪と憤怒がついに爆発した。
人々の間でよく言われているのが先の理由だ。
「それもある。でもそれだけならとっくの昔に反乱を起こしている。昔の人々はある種諦めていた」
神は災害と同じ。
それが人の姿をしているだけの違いである。
「死ねばその支配から逃れられ、極楽浄土に逝けると信じていた。そう信じていた」
実際は違った。
ハデスが冥界を支配してからは、人は死んでからのほうが最悪となってしまった。
死は解放ではなくむしろ永劫の隷属を結ぶこととなった。
「つまり自棄になったという訳だ」
生きていても死んでいても支配される。
だから人々は立ち上がった。
私はアリアの顔を思い浮かべる。
その話が本当なら彼女は未だに苦悶と恐怖に支配されている。
「それを扇動した奴が居たそうだが…そいつの記載が不自然なほど消されている。ここで面白いのは人々が決起した場所の名前だ」
カイ様はそこで言葉を切りもったいぶった顔で私たちの反応を窺う。
私たちのやきもきした表情をみてカイ様は満足したように頷く。
「『バベル』だそうだ」
どうしようもなく胸騒ぎがしてしまったのはきっと気のせいではない。




