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咎人たちの聖戦  作者: 白騎士58
第二章 冥界に手向ける鎮魂歌
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渡し守カロン 10 ~赤き瞳~

 バベル様の頭部だと目されるところまで近づくことが出来た。

 そもそもどこが頭部かは定かではないが、天辺付近で無数の真っ赤な瞳がそこにあったからそう思うことにした。


 赤い瞳は頭部を覆うように乱雑にあり、それぞれの瞳に昆虫の複眼のようなものがある。

 雄叫びをあげるたびに顔の半分以上に裂ける真っ赤な口が見える。


 頭部には耳はなく、鼻もなかった。


 耳がないなら自分の声が聞こえてなかったのはしょうがないかもしれない。

 むしろ余計なものが聞きたくなかったから耳を失くしたのかもしれない。


 無我夢中にバベル様の身体にしがみつく。

 話しかけても無駄なら直接目に見えるところに行けばいい。


 大いに無謀な行動をとっている私に驚いている。

 昔の私ならこんなことはできなかった。

 アリアの陰に隠れ、オドオドしているしかなかった。


 バベル様のために、そう思うと不思議といろいろなことを出来るような気がしてしまう。


 なんて馬鹿なことを考えているのだろうかと苦笑してしまう。


 その拍子に振り落とされそうになり慌てて強くしがみつき何とかやり過ごす。

 馬鹿なことを考えていたせいで落ちて死んだなんて笑えない。


 気を引き締め直しゆっくりと確実にバベル様の頭部に向かってよじ登っていく。


 それは鎧特有の硬さはなく、毛皮のように柔らかさはあるがしっかりとした安定感がありよじ登るのは苦労なくできた。


 順調に見えたこの歩みも唐突に困難が巻き起こる。


「きゃあ!」


 ドンっと凄まじい衝撃がバベル様を襲う。


 それがバベル様越しでも私に伝わってきて危うく落ちそうになった。

 その正体の予想は簡単にできた。


 カロンたちであった。


 カロンたちはオールを振り上げまた衝撃波を発生させようとしていた。


 バベル様はカロンたちと対峙する。


 バベル様の数多ある触腕がカロンたちへと襲い掛かる。


 カロンたちは衝撃波を放ち触腕を退けようとするが数が多すぎて捌ききれず、触腕がカロンたちへと迫り、一部のカロンたちの身体を掴んだ。


 そのまま無慈悲に握りしめる。


 掴まれたカロンたちは抵抗できずシュークリームのように膨らみはじけ飛んだ。


 あの苦戦していたカロンたちをいとも簡単に撃破してしまった。


 呆気に取られているとすぐに船の甲板からカロンたちが生えてくる。

 カロンたちは何事もなかったかのようにオールを振りあげ衝撃波を放つ。


 バベル様は衝撃波を受けながら、触腕で拳を作る。


 その拳を一気にカロンたちへ向かって放つ。


 流星群のように降り注ぐ拳の数々をくらいカロンたちの肉体は粉々になった。

 しかしカロンたちはあっという間にまた生えてくる。


 やはりあのカロンたちを操っている本体をなんとかしない限り何度も再生してしまう。


 亡霊たちもカロンたちの加勢をするようにバベル様へと襲い掛かる。


 しがみついて登っているため無防備そのものの私に向かって一部の亡霊が迫ってきた。

 ポーチからアイテムを取り出そうとするが中々上手く取り出すことが出来ない。


 もたついている間に亡霊たちが近づいてくる。


 その時バベル様の触腕がその亡霊たちを振り払った。


 偶然かと思ったが、再び私に向かって迫ってきた亡霊たちをバベル様は振り払った。


 手薄になってしまったバベル様の他の場所を亡霊たちは攻撃しているそれなのに私を守るように触腕が周りを漂っている。


 もしかしてまだバベル様の意識が残っているのかもしれない。


 早く、早くバベル様のところに向かわなければと改めて決意しペースを上げる。


 ようやく頭部のところへと到着したがここからが難しかった。


 頭部は見晴らしが非常によく、また敵からの攻撃も激しかった。


 このまま進めば私はあっという間に死んでしまうだろう。


 私は何とか態勢を整えるところを探し、そこにしがみつく。


 片手はバベル様の首と思われるところをしっかり持ち、もう片方の手でポーチからいくつかの煙幕弾を取り出す。


「バベル様! 聞こえていますか!? バベル様これ以上は危険です!」


 バベル様に向かって大声で叫ぶが、反応は全くなかった。


 私はそれを確認して当初の予定通り進めることを決め、煙幕弾を投げつけた。


 ボン、ボンっと煙幕弾は炸裂し辺り一面煙幕に包まれる。


 突然起こった煙幕にバベル様は驚き、やたら滅多らに触腕を振りまわす。


 それによって敵の頭部への攻撃は緩み、ほかの場所への攻撃が激しくなった。


 その間に私は落ちないようにしがみつきながら無数の瞳がある場所まで進む。

 なんとか瞳のある場所まで到着することが出来た。


「バベル様! 私です! わかりますか?」


 赤い瞳を覗き込むように前のめりの姿勢をとる。


 私が覗き込んでいる瞳は単眼ではなく瞳の中に複数の瞳が乱雑に入っていた。

 何も反応がないのかと一瞬落胆したが、無数にある赤い瞳が一斉にこちらを向く。

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