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咎人たちの聖戦  作者: 白騎士58
第二章 冥界に手向ける鎮魂歌
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ケロべロス 3 ~タコ殴り~

 オマールたちやマリアへの意識はなくなっている。


「そっちばっか気にしてんじゃねえよ! 『居合斬り』!」


 カイが吠え、ケロべロスの後ろ脚を斬りつけた。


 傷こそつけることはできなかったがケロべロスの態勢が崩れしりもちをつく。


 しかしケロべロスは僕を視界に捉えたままであった。

 僕に向かって残った頭が口を開き、炎と氷が混ざったブレスを吐く。


 それらを躱しながらケロべロスへと距離を詰めていく。


 左の頭が上を向き、空へと氷のブレスを吐く。それは空中で一塊となり氷のあられのように降り注ぐ。


 頭を守るように全身を小さくして耐える。

 絶え間のないあられの攻撃は確実に僕の身体をえぐっていったが『鎧』の再生速度はそれを楽々上回っているため実質無傷でやり過ごすことが出来た。


 その間に真ん中の頭が炎をためており、かなり大きな火球になっていた。

 それが放たれる瞬間爆発が起こり、溜めていた火球は霧散した。


 ケロべロスはダメージを受けたのかプスプスと黒煙を煙らせ、横向きに倒れこんだ。


「やったでござる!」

「バベル様、やりました!」


 吹き飛ばされていたボムボムプリンが瓶ビールのような形をした手投げ爆弾を両手いっぱいに持っており、マリアがその手投げ爆弾を投げたのだろう。


 いいコントロールをしている。


 僕は彼らに軽く頷き、ケロべロスへと突撃した。


 ケロべロスは立ち上がる暇がなかったが、闘志は折れず咆哮とともに迎え撃とうとする。


 僕とケロべロスが正面からぶつかる瞬間


「『居合三連斬り』!」

「『鎧砕き』!」


 カイとオマールは僕を跳び越えケロべロスの胴体に必殺技を叩き込む。


 大したダメージになっていないが、僕に全集中を向けていたケロべロスは不意を突かれ集めていた魔力が霧散する。


 その隙に僕は真ん中の頭を剣で殴り飛ばす。

 左の頭がその隙間を縫って僕にかみつく。


「が!」


 僕の胴体に凍てつく牙が突き刺さる。

 痛覚と冷覚が絶妙なハーモニーを奏でる。


 左の頭はそのまま僕を咥えながら地面にたたきつける。

 凄まじい衝撃が全身を駆け巡る。ケロべロスは繰り返すように首を振り上げる。


「このっ! 野郎! これでもくらえ!」


 僕は地面にたたきつけられながら剣をケロべロスの口の中へ突き刺す。

 

 ケロべロスは叫び声をあげ僕を振り落とす。


 何とか受け身をとるが、真ん中の頭が続けざまに火球を連続で放つ。


「お前も喰らってみろ!」


 そのいくつかを弾き返し、ケロべロスに火球を直撃させる。


 大したダメージになっていないが弾き返されたショックは大きいのだろう狼狽えているのが分かる。


 その時手投げ爆弾がいくつかケロべロスの頭に向かって投げ込まれ爆発が起こる。

 ケロべロスはたまらず後退する。


「はい! ようこそ、いらっしゃい!」

「手助け致す!」


 カイとオマールは息を合わせケロべロスの後ろ脚を同時に攻撃する。


 ケロべロスは後退していたのもありバランスを崩し、なぎ倒される。


 僕は真ん中の頭へと向かいその口を両手で上下の顎を掴み、渾身の力を込める。

 

 真ん中の頭は抵抗するがそれ以上の力で僕は上下に引き裂く。

 顎が、骨が砕かれる鈍い音が両手に響く。


 真ん中の頭は枯れた花のように力なく潮垂れた。


 ケロべロスは倒れたまま起き上がることが出来ず、左の頭は氷を放とうとするが身体が言うことを聞かず邪魔をし氷を放つと自分に当たる。


 左の頭がもがいて抜け出そうとするが上手くかない。


 カイとオマール、ボムボムプリンはそのケロべロスを見てにやりと意地悪そうに笑った。


「まあ…あとは俺たちに任せてくれ」


 カイが悪い笑顔を浮かべながら言った。


 仇討ちもかねて最後は彼らに任せようと譲る。

 彼ら三人は身動きの取れないケロべロスを容赦なく袋叩きにした。

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