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咎人たちの聖戦  作者: 白騎士58
第二章 冥界に手向ける鎮魂歌
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レクイエムは別の機会にて

『魔を退く閃光』について

回数制限が文章に書いてあったと思いますが、一日3~4回とざっくりとした設定でわかり辛いと思います。1章ごとに3~4回という認識で私自身話を進めます。よろしくお願いします。

 地の底から天まで貫かんとする巨大な螺旋階段。

 縦横無尽に宙を舞う無数の亡霊たち。

 その中心で『冥府の鎖』(縛りつけられたこの感情)によって自身を空中に縛りつけている冥界の神・ハデス。


「兄弟…このままじゃあ、ジリ貧だ」

「わかっている!」


 ユダの嫌味に、ぶっきらぼうに返す。

 宙を舞っている無数の亡霊が怨嗟の叫び声とともに流れ落ちてくる。


 亡霊たちは槍や剣、こん棒など様々な武器を無造作に突き出す。


「しゃらくせえぇー!!」


 『退魔の剣』と一体化した左腕で亡霊たちを薙ぎ払う。

 左腕は自分の意思で自由自在に大きさや形状を変化できるようになった。


「ハハハ。兄弟、もうお前も化け物だな」


 ユダは愉快そうに笑う。

 それには答えず、亡霊たちを薙ぎ払うことに集中する。


 しかし数こそ力なりと一部はすり抜けて攻撃を加えてくる。


 槍が、剣が、こん棒が身体を突き刺す、引き裂く、叩き割る。


 そのたびに『憎悪は呪い』は損傷部位を速やかに修復し、勝手に人間離れした身体へと変貌させる。


 いや、“勝手“には間違っている。


 僕が望んでいるのだ、神をも打ち殺す力を。

 『憎悪の鎧』は的確に僕の意思を見抜き、望む力を与えてくれる。


 しかしその力をもってしてもこの状況を打開できない。


 亡霊は打ち払っても次から次へとゴキブリのようにハデスにより召喚されていく。

 終わりが、見えない。


「何をもたついているんだ…! あいつら…!」

「ふん、トロい連中め。最後の希望があんな連中か…」


 ユダは不機嫌さを隠さない。

 珍しいことにユダも余裕がなくなっている。


「無駄に頑張るな…人間、諦めろ。ここがお前の墓場だ」


 ハデスの無機質な声が響く。


「おいおい。束縛プレイがお好きな変態が上から物を言っているぞ」


 ユダの口の悪さがひどくなっている。

 苛立ちを当てられるものに適当に当てている。


 けれど先ほどの発言には同意せざるを得ない。


 亡霊たちの攻撃はさらに激しくなる。


 手が足りないと思った瞬間背中から2~3本漆黒の巨大な腕が生えてきた。

 いったいどういう理屈で出現しているのかわからないが今は有難い。


 巨大な腕は意思とは勝手に亡霊たちを打ち払う。

 幾分楽にはなったが、焼け石に水である。


 滝のように上から無数の亡霊が降ってくる。


 圧し潰される、その瞬間巨大な腕は僕を包み込む。


 凄まじい衝撃が上からやってくる。


 無数の突撃が終わった時、巨大な腕はすべて引き千切られ、即死を免れるため頭部と心臓部分を死守したが他の部分は燦燦たる状況で左足、右腕は引き裂かれ、身体は穴だらけであった。


 激痛が全身をハチャメチャに陸に上がった魚のように暴れまわる。


 その痛みを外へ吐き出すように雄叫びをあげる。

 雄叫びとともに全身から真っ黒で粘着質な流動体が溢れ出す。


 その流動体は引き裂かれた四肢のところへと向かい元あった場所へとくっつける。


 さらに液体は僕の全身を包み込んでいく。


 それとともにありとあらゆる負の感情が溢れ出してくる。


 怒り、憎悪、悲しみ、嫉妬、そういう負の感情が溢れては消え、溢れては消えを繰り返し、僕の意識は真っ黒に、真っ黒に染まりそして流されていく。


「おお! これほどまでに共鳴するとは…」


 ユダの驚嘆する声はどこか遠くから聞こえてくる感じがする。


 まあ、もうどうでもいいか。


 獣のような唸り声をあげる。

 人ではなくなりつつあるのが分かる。


「…無駄な抵抗を」


 ハデスが鬱陶しそうに言い放つ。


「すぐにその癪に障る口を引き裂いてやる」


 今まで聞いたことのないほどの冷たく低い声が出る。

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