憎悪は呪い ~たずねよ~
アドルメア撃破後、先へと進んだ。
生き残っているシスターたちが僕たちを追いかける気力は残っていないだろう。
多くのシスターたちは座り込み、視線は宙に浮いている。
突然アドルメアに出会い、多数の仲間たちを一瞬で亡くしたのだ
気持ちはわからないでもない。
マリアも気の毒そうにシスターたちを見ていた。彼女も元同僚たちの不運に同情しているのだろう。
「マリアは魔法が使えるの?」
「え?」
「はい。神聖魔法の『ウォール』と『ヒール』のみですが…」
「へー、さすがシスターだけあって神聖魔法が使えるのか、すごいな」
職業が傭兵であるため、僕は魔法が一切使えない。
正直神聖魔法が使える仲間がパーティにいるのは心強い。
しかし、マリアは微妙な表情をしていた。
「あまり練度がよくなくて。『ウォール』は強度が低く、『ヒール』も簡単な怪我なら治せる程度ですのであまりお役に立たないかと…」
マリアは肩を落としながらため息をつく。
「いやいや、そんなことはないよ。神聖魔法が使える仲間ってかなり重宝するんだよ。役に立たないことは絶対にない」
暗い顔でしょんぼりしているマリアにアタフタしながらフォローすると
「それでは、バベル様を信じてみますね」
笑みを見せるマリアを見てホッと胸をなでおろした。
? どうして胸をなでおろしたのだろうか
ふとして湧いた疑問が胸に引っかかるが、そのとき不穏な雰囲気を感じ取る。
「…『憎悪は呪い』はこの先?」
「はい。すぐそこです」
一本道を進むにつれ、道を照らす松明の明かりに変化がないのにどんどん暗くなっていく、気がする。
「気のせいかな。少し暗い気がする」
「バベル様、それは気のせいではありません…ここはいつもそうなるのです」
『憎悪は呪い』が及ぼす影響の一つだろうか。
封印されているのに周りの環境に少なからず影響を与えている。
期待を寄せてさらに進むと少し開けた場所に出る。
そこには丁度反対側に禍々しく変形した扉があり、中央には人一人座れそうな円座がある。
円座の左右には刺刺しい柱が一本ずつあり、錆びた鎖が巻き付けられている。
「なんだが、息苦しいな」
「ここは『憎悪の間』と言われています」
マリアの顔色が先ほどから青白い。
マリアにとってここはトラウマで、この場に来るのも嫌だっただろう。
「しんどいのにありがとう」
素っ気なく小声でマリアに感謝を伝える。
聞き取れたのか聞き取れなかったのか、マリアは微笑した。
先ほどから気になっている禍々しい扉に近づく。
大小さまざまな目玉のようなデザインがあり、人の手に似た何かは扉から逃げ出すようであった。
ドアノブのようなものはなく、しかたなく手に似た何かを掴み、思いっきり押したり引いたりするがビクともしない。
「くそ! ビクともしない。何とか開けられないのか?」
「…それじゃあ無理だ、兄弟」




