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咎人たちの聖戦  作者: 白騎士58
第一章 女神の讃美歌
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アドルメア 3 ~恋人のように~

 全身に走る鈍い痛みによって目を覚ます。


 あれ、私何していたんだっけ。

 朧気な意識のまま辺りを見渡す。


 喧騒と熱さ、倒れ込む人々。


 私はその人々が見ている先を視線で追った。


 巨大なモンスターとバベル様が戦っている。


 ああ、そうだった私たちは大聖堂で『憎悪は呪い』を手に入れようとしていたんだっけ。


 バベル様はアドルメアと超至近距離で戦っていた。


 岩のような巨大な拳がバベル様を襲っている。


 一撃当たれば必死の状況でバベル様は冷静に拳を捌きあまつさえ斬撃を与えていた。


 しかしあまりダメージがないのかアドルメアの動きに変化がなかった。


 その時、両者が立っている地面が異様に膨れ上がる。


 地面から無数の土で構成された杭が繰り出される。


 バベル様は自分に襲いかかる土の杭を斬り裂く。


 アドルメアの背後に巨大な青い魔方陣が浮かび上がる。

 全方位に無差別な氷の塊が降りかかる。


「きゃあああ!」


 それは私や倒れているシスターたちにも襲いかかる。


 私は『ウォール』を唱え防ごうとするが、巨大な氷の塊の前には二、三発耐えることしかできず呆気なく破壊された。

 なるべく身体を小さくなるように地面に伏せる。


 無数の氷の塊が収まったあたりで地面から顔を上げる。


 氷の塊に当たった不幸なシスターたちは頭や身体がはじけ飛んでいた。

 必ずしも幸運とは言いきれないけれど生き残ってしまった彼女たちも致命傷になっていないだけで所々、足や手を欠損していた。

 全くの無傷の彼女たちもおり、私もその中の一人に入ることが運よくできた。


 バベル様は当然のように無傷で、氷の塊なんてなかったようにアドルメアに斬撃を浴びせていた。


 アドルメアは苛立っているのか時々咆哮をあげて大振りな攻撃をしているが空振り、逆に懐深くにバベル様が斬りこんでいる。


 アドルメアが後退し始める。


 ようやくダメージが通り始めているのかバベル様の攻撃を嫌がっている。


 バベル様の攻撃速度がさらに速まる。


 今更だがバベル様の剣の腕前に舌を巻く。


 コロシアムでは適当にぶん回していたわけではなく、足を絶えず動かし優位な場所を素早くとり、相手の呼吸を読みわずかな隙で攻撃を繰り出している。


 アドルメアが左手に赤い魔方陣を作る。


 出現した『ファイアーボール』は最初の時と比べてかなり小柄であった。


 それを大量にバベル様へと浴びせる。


 バベル様は易々と避けるが、それはそのままこちらへと向かってくる。


 私は慌てて地面に伏せる。

 私のすぐ後方で、『ファイアーボール』が弾ける。


 不幸なシスターが『ファイアーボール』を浴び、断末魔を上げている。


 私たちの状況をバベル様は把握出来ていないようだ。

 バベル様もこちらを気にする余裕がないということだ。


 バベル様の攻撃が徐々に効き始めているが、有効打になっていない。


 彼らの攻撃に巻き込まれないよう逃げ隠れしながら戦いの行く末を見守っていると、バベル様は雄叫びをあげ先ほどよりも、もっとがむしゃらにアドルメアを攻め立てる。

 アドルメアはたまらず後退する。


 もう少しで壁際まで迫ろうとしていたときアドルメアの背中に赤い魔方陣が浮かび上がる。


 大量の『ファイアーボール』が全方位に、無差別に襲い掛かってきた。


 私は咄嗟に『ウォール』を唱え、地面に伏せる。

 恐らく『ウォール』を唱えていなかったら、丸焦げになっていただろう。


 目線を送ると辺り一面黒煙が立ち込め見辛いが、バベル様の姿が見えない。


 まさか避けることができなかったのか。


 しかしアドルメアもバベル様を探しているようで、『ファイアーボール』の餌食になっているわけではないようだ。


 アドルメアから離れたところに視線を送るとそこにバベル様が剣を構えていた。


 バベル様が立っている地面には先ほどの『ロックボルト』による巨大な土の杭があった。

 アドルメアも気付き、振り向く。


「遅い」


 バベル様はそう言うと同時に剣が青く光り輝く。


 そのまま杭に向かって腰を入れて振りかぶる。

 それはすさまじい速度でアドルメアへと向かう。


 アドルメアは大きく両手をあげ、まるで久しぶりに恋人を迎えるようポーズをとる。


 それはアドルメアの腹を突き破りそのまま突き抜けた。


 アドルメアの腹にぽっかりと大きな穴が開く。


 しかしアドルメアはそれでも一撃喰らわせんとバベル様に一歩、一歩近づいていく。

 バベル様はその場から動こうとしない。


 アドルメアは大きく右手を振りかぶり殴ろうとする。


「バベル様!お逃げになってください!」


 私はたまらず叫ぶ。


 それでもバベル様は動かない。


 アドルメアの拳が迫るその瞬間、アドルメアは糸が切れたように地面へと倒れ、腹に響く音をたてた。

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