前座でも景品を
「すまない。事前に教えていたら勘づかれてしまうから」
バベル様は一言謝った。
私は何に対してだろうと間抜けにも考えていたがあの上空に放ったものについてだと気付いた。
「あ、あれは何なのでしょうか?」
「あれは閃光弾。見た通り、強烈な音と光でしばらく敵の行動を制限させる。あの鳥にも同じ目にあってもらいたかったからな」
バベル様は無邪気な笑みを見せる。
その表情とイカロスの頭を無造作に投げる捨てる姿があまりにもアンマッチしているように感じた。
突然、イカロスの死体が宙に浮き、メリメリと何重にも小さく折りたたまれていき、遂には一対の黒翼へと変化した。
「な、何が、起こったのでしょうか?」
「英雄級アイテムか」
バベル様はこの現象を分かっているのかたいして驚いてはいなかった。
やはり咎人は人間とは違うのだろう。
バベル様はその翼を躊躇なく手に取った瞬間、その翼が彼の背中から生える。
しかしその翼はすぐに消失した。
バベル様はその衝撃でよろめいていた。
あまりに衝撃的な光景ですぐには自分の目を信じることが出来なかった。
彼も何が起こったのかわからないといった表情をしていた。
「バベル様! 翼が背中に生えてどこかへ消えました!」
間抜けにも見たままを伝えた。バベル様は困惑した表情をした。
「なんだって? 少し確認してみるか」
バベル様はぶつぶつと何かを唱え、何もない空中でパッパッと指を素早く動かしていた。
何をしているのだろかと見つめていると、バベル様と目が合った。
バベル様はバツが悪そうな顔をする。
「確認したら、あれは『イカロスの翼』(イカれちまった翼)っていう英雄級のアイテムだった。ただ効果はここでは確認できない。セーフティーエリアで確認するしかないかな」
「えいゆうきゅう? せーふてぃーえりあ?」
耳慣れない言葉に、子供のように繰り返してしまう。
私はすぐに耳まで真っ赤にしてしまう。
「ああ、ごめん。また今度説明するよ」
バベル様は穏やかに言い、大剣を構える。そうだ、まだ終わってはいない。
「さあ、前座は倒したぞ。降りてこい!」
「どいつもこいつも。ほんと、使えない」
アフロディーテは怒りで肩を震わせ、こぶしを握り締めていた。
それでもアフロディーテは優雅に立ち上がり、跳び、ふわっと静かに着地する。
すべての動作があまりに魅惑的で、いちいち視線が奪われる。
「ウジ虫如きが。光栄に思いなさい」
アフロディーテは心底不快な顔をしていた。




