前座 2 ~目が、耳が!~
火花が散るとともに斬撃が弾かれる音が響く。
「何!?」
バベル様が驚愕の声を放つ。大剣の重い一撃をイカロスは頭で受け止めた。
「ぎゃははは! イカロス! 頭! 石頭!」
すかさずイカロスは大声量の金切り声をあげる。
離れている私でさえその声を聴くだけで吐き気を催した。
バベル様はそれをゼロ距離で直撃してしまった。
バベル様の態勢がよろめく。
イカロスはその隙を突き、体当たりをかます。
バベル様は吹き飛ばされるが空中で体勢を整え、何とか着地する。
そしてまたイカロスへと突進していく。
イカロスはまたあの金切り声をあげる。
高音と低音が絶妙な不協和音を奏でる金切り声に私は耳をふさぎ、身体を地面にふせて耐える。
すぐ近くで地面に激突する音が聞こる。
そちらのほうを見るとバベル様がまた吹き飛ばされていた。
バベル様は立ち上がり、またフラフラになりながら突進していく。
「ぎゃはははは! お前馬鹿! 馬鹿! つっこむだけ! イノシシ! だって! もう少し! マシ!! ぎゃはははははは!」
イカロスは嘲笑った。
バベル様が破れかぶれになってしまったのかとやきもきする。
イカロスはまたあの金切り声をあげようとしていた。
これで終わりと言わんばかりに目一杯空気を吸い込み、それによってイカロスの身体が何倍にも膨張している。
バベル様は構わず突っ込んでいく。
イカロスが金切り声をあげようとしたその瞬間、バベル様は何かを上空へと放り投げる。
「お前も味わえ」
イカロスは訝し気に放物線を描く物体を見つめる。
私もそれに視線が移る。
瞬間、それが鼓膜を貫く甲高い金属音と目が眩むほどの閃光を解き放つ。
「ぎゃあああぁあー!! 目が! 耳が!」
イカロスは不意を突かれ、叫び声をあげていたような気がした。
視界が奪われ、頭の中にガンガンと響く耳鳴りによって周囲の音が聞こえなくなってしまった。
現在どのような状況なのかわからない。
だんだんと視力と聴力が回復してきた。
見ると戦闘はすでに終わっていた。
バベル様はイカロスの頭を左手に持ち、イカロスの両翼は引き抜かれ地面に無造作に打ち捨てられていた。
その光景に胸のすく思いになった。




