ある少年の勿忘草 2 ~ある日の昼下がり~
間接的ですが胸糞悪い話が混じっています。ご注意ください。
僕の意識はいつかの昼下がりへと沈んでいった。
どうしてかはわからないけど学校がいつもよりずいぶん早く終わり僕はいつも通りまっすぐあのマンションに帰った。
部屋に入るとすぐに嗅いだことのない気持ちの悪い臭いが部屋に立ち込めていた。
不穏な雰囲気にどうしようもなく不安になり、僕はあの人の名を呼んだ。
あの人からの返事はなかった。
その代わり奥の部屋のふすまが少しだけ開いた。
その隙間から2,3人の影とそれらに囲まれ目を真っ赤に服が乱れているあの人が見えたが、すぐにぬっとすり抜けるように白い帽子を被ったおじさんに隠れて見えなくなった。
そのおじさんは僕に近づき、こう言った。
「今、ママは取り込み中だから…これ、お小遣い。何かおいしいものでも食べておいで」
おじさんは懐から1万円札を無造作に取り出し僕に渡した。
「ナナちゃんは?」
今にも泣き出しそうで言った。
おじさんはそんな僕の頭を撫で、こういった。
「何も知らなくていい。ほら行っておいで、大丈夫だから」
おじさんは半ば力づくで、僕を部屋から追い出した。
外に放り出され彷徨っていた僕は気持ちが悪くなって道端に吐き出した。
その時も世界はぐちゃぐちゃに混ざり合っていた。
階段は曲がりくねり、地面はありえないほど凸凹に隆起し、太陽はどこまでも横に広がっていく。
気持ち悪い、気持ち悪い、僕は吐いた、吐いた。




