第4話
前回 水見つけました。 ゴブリンはお亡くなりになりました。
「そこにいるの、だれ・・・?」
幼い女性のような声が聞こえる。
・・・まじか。近くに人が居そうな場所無かったんだけどなぁ。
それに、声からして少女のようだ。
ここは薄暗い森の奥。川からは最低1キロは離れており、川遊びで来たとは考えられない。
普通川遊びではぐれた場合、探しに来た大人が見つけやすいよう川の近くにいるはずである。
ゆっくりと振り向く。
そこには、片手に人形を持ったゴスロリ幼女が立っていた。
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あの後、素で固まっていたら、腕を取られて洋館に連れていかれた。
「あの」やばそうな洋館である。
腕を取られて、まるで自分の庭のように進んで行くので嫌な予感はしていた。
洋館が見えるまではされるがままついていったのだが(若干呆然としていた。)、見えた瞬間に思わず腕を振り払おうとした。だが、できなかった。
力を入れようとしたら何故か力が抜けるような感覚がした。立ち止まることもできなかった。どうやらこの子に触られていると、この子に逆らうような能動的な行動がキャンセルされるらしい。
そのまま洋館に連れていかれた。
そして如何にも子供部屋といった部屋に直行し。
「悪い子はめっだよ?」
というセリフとともに、おでこにシール的なものを張られた。
それから何故か喋れるようになった代わりに、彼女の発言に対して逆らえなくなった。
一応やろうと思えばできないこともないが、滅茶苦茶疲れる。寿命削ってる気がする。
そして、ハイライトが消えた瞳を向け、「なんで?悪い子なの?」と聞いてくる。
怖い。辞めよう。
そして、おままごとに付き合わされている。
ちなみに、スケルトンの憑依を解除出来なくなってた。
ヤバイ(確信
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夜になった。
あの後、幼女の喋りが段々と饒舌になっていくという若干奇妙なおままごとに暫く付き合ったのちに夕食をご馳走になった。
台所について行ったら、踏み台があちこちに置いてあり、非常に慣れた手つきで料理を作っており。
色々と考えるのをやめた。お手伝いした。
夕食は鮭っぽい魚のムニエルとパンでした。美味しかったです。
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ずっと喋りかけ続けていたその子は、どうやら会話という行為そのものに飢えていたらしい。
どうやら過去に何かあったらしく、たった一人でこの洋館にて暮らし始めて早3年目。
絶対にこの森に人は入ってこない。
食べ物は定期的に保存がきくものが火と水の魔石と書籍と共にこの洋館に送られてくる。
書籍は高価なものらしく、全て売ってしまえばお金持ちだよと無理に笑顔を作り話した彼女の瞳には薄っすら涙が浮かんでいた。
流石に喋り続けて疲れたのか、夕飯を終えたのち時間を経たず眠りについた。
「夢じゃないよね?」「次目覚めたらいなくなってたりしないよね?」
と、半開きの瞳を必死にこすりながら聞いてきた彼女。
ベットに入ったので頭を撫で続けていたら糸が切れたように眠りについた。
流石に見捨ててダンジョンに帰るには良心が痛む。
取り敢えずコンソールを開いて色々と確認をしよう。帰るか決めるにはまだ早い。
何故なら、夜は長いのだから。