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露出賢者と解呪の杖  作者: サーディ
勇者と賢者と森の塔
8/55

勇者を狙う者たち

タイトル回収は、2部の終わりの予定です。

そのころにはダークな感じから明るくなる予定・・・きっと

だが今の話・・・頭で描いてた部分よりだいぶ長くなりそうです。

もうしばらくお付き合いを。

トギワ国


観光地として名をはせていた、北に位置する小国家であったが、いまは亡国となっている



力を合わせて魔王討伐を行った人類であったが、共通の敵がなくなると互いに利権のため動き出し、ほんの些細なことから戦争となった。


その際自我がコントロールできない勇者を利用し、敵国を滅ぼす戦力としたため、被害が甚大化した。



戦争に勇者を利用した国は他の国より非難され、再び勇者を使うことを恐れたものの手により、国の重鎮たち事暗殺されたといわれている。


その戦争に巻き込まれた国の中一つが、「トギワ国」であった。



「戦争・・・理解した。じゃあ恨みってことでいいのかな。」


ティルは無表情で男に問う。


「国を滅ぼされた無念。家族を焼き尽くされた恨み。なにより守るものを失った俺の怒りの為、お前の命をもらい受ける。」


「じゃあ、貴方は盗賊じゃないってこと?」


ティルの言葉に男は一寸思考を停止する。が、


「盗賊だ。お前の命を奪うために今俺はここにいるからな。」


「そう・・・それならば、人権はないね。」


ティルは腕を一閃する。


その所作だけで、男の胴体は腰から真っ二つに引き裂かれた。


「・・・ば・・・か・・な・・・・・・・」


何が起きたか分かった時には勝負はついていた。いや勝負にすらなっていなかった。


その場に崩れ落ちた男を見下ろしながら、


「そういうので生きているとしんどいでしょ。もうゆっくりとした方がいいよ。」


「・・・・そ・・う・・・・・・か・」


男はそう言うと静かに息を引き取った。





「くっくっく・・俺一人でやらせろとか意気込んだ割には、背後からの不意打ちだけで終わるとか・・・・ないっしョ。」


声がした方を見ると長身細長の男が腕を組みながらにやにやとしていた。


また気が付けなかった。魔力感知が妨害されているのか?


ティルは不意打ちに備え、警戒レベルを上げる。


「あなたは?」


「ん?俺?雇われた暗殺者ってやつっしョ。ターゲットはもちろん き・み・だ・ヨ」


そういうと懐からナイフを取り出す。


「知ってる知ってる?ここには君を殺したい奴がいっぱい集まってるんだヨ。怨念だったり、一攫千金だったりネ。」


もちろん僕はお金だけどねっと軽く踊りながら答える。


「さっきのはトギワ国の「キラクニ」っていう結構名の知れた将軍だったんだヨ。だから我儘も聞いてあげたし、どんな攻撃をするのかと思えば・・・・ぷぷぷっ まさか背後から強襲なんてね。」


「で、あなたは来ないの?そこでさえずっているだけ?」


ティルは挑発するように細く目をつむりにやけた笑い方をする。


少し感情が揺らいでいるのがわかる。いつものように隠せていない。


そんなティルを面白おかしく見るように


「あれれぇえ。気に障っちゃったんだネ。ごめんよぉ。・・・もしかして自我あるんだ。なあるほどネ。」


と答える。


にやけた笑いを浮かべて。


その瞬間両腹部に衝撃が走る。


ふと見ると、両脇に人が抱き着いてきており、腹部に刃物が突き立てられていた。


ティルは両の手で払いのけると両脇にいた人らしきものは吹っ飛ばされ壁に激突、肉塊となっていた。


「そして魔力感知以外の回避方法もないと・・・・」


ふと前を見ると先ほどのナイフを持った暗殺者が首を切りつけていた。


ティルの首から血しぶきが飛ぶ。


しかし瞬時に傷は消えた。


「無駄よ。」


きられた後も全く動じず、そのまま距離をとろうとする暗殺者に向かって拳戟をふるう。


直撃の距離ではなかった、だが、その拳から出た風圧で暗殺者は弾き飛ばされた。


「あ。。ぐぅ・・・・」


先ほどの余裕はどこやら。届いていないはずの攻撃で、ほぼ即死に近い状態となる。


嗚咽が出ているところから、かろうじて意識があるようだ。


無言で一歩一歩暗殺者に近づいていくティル。


あと2,3歩のところで歩みを止める。


「あなたは盗賊なの?」


無表情で問いかける。


暗殺者は声も絶え絶えながら力を振り絞って、声を紡ぐ。


「・・・へ・・へへ・・盗賊っしょ・・・こ・・の地下にも、まだ・・・・盗賊・・・いっるっしょ・・・」


「そう」


彼女はそれだけ聞くと、ぱちんと指を鳴らす。


暗殺者だった男は、炎に包まれ、消し炭となった。


焦げ臭い匂いの中、ティルは洞窟の奥へと目をやる。


「まだ、盗賊がいっぱいいるんだね。」


明らかに罠、勇者を殺しに来ている。


だが、ティルにとってそんなものは問題にすら思わない。


むしろ、盗賊だろうと、勇者を殺しに来ている奴だろうと


「私が殺していい奴」


には違いないわけだから。


勇者はそのまま洞窟の奥へと足を運ぶのだった。

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