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露出賢者と解呪の杖  作者: サーディ
プロローグ
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プロローグ

エロいの書きたくていろいろ設定したものの

シリアス系に寄りそうな気がしています。



赤き旅団と呼ばれる盗賊団があった。


山の奥深くに本拠地を置き、一都市と同等となる200人規模の戦力を持つ集団。


大規模なため、国もうかつに手を出せず、略奪や、殺人などやりたい放題できるため、自然とならず者はそこに集まるのだった。


その赤の旅団での中では現在進行形で事件が起きていた。


事件の内容は・・・・殺人だ。






鮮血が舞い散る。


白いキャンバスに描かれたのは、赤色に染まった世界。


その中で唯一光輝くのは、金色の髪をした華麗な美少女。


「キャハハハハハハハハァアアアアアアアん」


恍惚とした表情から紡ぎだされた言葉は笑い声。少女の域を出ないというのに、(かも)し出される色気。アンバランスな雰囲気があたり一帯を覆いつくしていて現実感が全く感じ取れない。


それを見ている ― 最初の爆発で左足に大きな火傷をした男 ― は、動けないままあたりの惨状を(うれ)える。


「どうしてこうなった。」と。


先ほどまで気ままに楽しんでいた空間だったはず。


仲間たちと笑い、酒を飲み、今日の稼ぎに高笑いしていた時間だった。


その幸せが一瞬で壊された。


たった一人の少女のために。


「お前は何者だ!!・・何をしているんだあああ」


男は少女に向かって大きな声で怒鳴った。


怒号と悲鳴の中、あたりかまわず魔術・・・それも殺傷力の高い高位魔術を連発し、何人もの人間を屍にしていく少女は、その言葉に反応した。


「・・・・え・・・。殺してるんですけど?・・・それが何か?」


少女は手を休めることなく事務的に答えた。だがそれは男の欲しがっていた答えとはまるで違っていた。


「なんでそんなことができるんだ!・・・こんな残虐な・・・人殺し行為を・・」


男は少女を睨みながら、弾劾する。


「貴様は俺たちのことを知らないんだろうが・・・ここまでのことをしてくれたんだ。覚悟はできてるんだろうな。」


その憎悪の視線に臆することもなく、むしろ虫けらでも見るような冷めた眼で少女はこうつぶやいた。


「・・・知ってる?盗賊には人権がないんだって。」


「・・・はぁ?」


何を言ってるんだこいつ。しかもこちらが盗賊、「赤き旅団」だと知って暴れているのか。


「貴様・・・俺たちが「赤き旅団」と知って殴りこんできてるのか。」


少女は男のセリフに一寸きょとんとした表情を見せ、


「違うよ。私が知っているのはあなた達に人権はないこと。つまり殺しちゃってもなーーーーんの問題もない。」


それ以外のことは全く興味がないんだよねぇ。


少女は恐ろしいことをつぶやきながら、なお手を休めずに逃げ惑う部下たちをきっちりと殺していく。


悲鳴を上げながら一人、また一人、血の海に沈んでいった。


「どちくしょうめえええ!」


気概のある部下、戦闘が管轄であった部隊が反撃のため声を上げるが、距離を詰めることすらできていない。


その場が徐々に恐怖に支配されていくのは自明の理であった。


「じゃ、ちょっとおっきいの行こうかな。」


少女は楽しそうにつぶやくと、右手を頭上に掲げる。


指先から少し頭上に寄せた部分で小さな炎・・青い炎が出現する。


「はああぁああああああああ」


少女がこれまでの戦闘で発したことのないような気合を込めた声を出す。


炎は大きく揺れ始め、そして一気に天井へと届きそうなほど大きく膨らむ。


炎は青から紫へと変化し、禍々しさが一気に倍増、見たものを震え上がらせた。


もはや少女に襲い掛かるものはなく、だが後ろを向いて逃げるものもいなくなっていた。


逃げたものは優先的に殺されているからだ。まるで一人も見逃す気がないといった感じだ。


その様子に耐えきれなくなったのか、ここまでかと悟ったのか


「わ・・わかった。俺たちの負けだ。もう抵抗もしない・・・ため込んでいる金品・・お宝を全部渡す。・・」


だから勘弁してくれ・・・

男は最初の勢いはどこへやら、肩をうなだれてへたり込んだ。


勝てる気がしない。抵抗するだけ無駄だろう。


捕まって一生牢獄暮らしか、或いは処刑されるかもしれない。


だが、いまのままでは確実に命がない。


死んでしまってはもう何もできなくなるのだから。


男の精神は完全に折れていた。いや、男達の・・か。


だが少女はそんな男の声など全く聞こえていないかのように、術の詠唱をやめるそぶりはなかった。


「じゅんびかんりょー」


少女は陽気な声 ― 今からデートにでも行くような嬉しそうな表情 ― で魔術を・・・・・解放した。


大炎からいくつもの小さな炎が一斉に四方へ飛び散る。それは、狙いすましたように一人一人丁寧に着弾し、灰すら残さず消滅した。


怒号、悲鳴そういったものは囀るものがいなくなったため一切なくなり、あたりは静寂に包まれた。


その矛先は先ほど降参の弁を述べた男にも着弾していた。


むろんこの世から存在事消滅していた。


あたりは倒壊した建物、焼き焦げた壁、最後の魔術以外で死んでいった死体。


命の鼓動は、少女以外全て摘み取られていた。


「・・・まぁまぁ・・・かなあ」


少女は魔術を放った右手を軽く握りしめつつ、意にそぐわない感想を述べたのだった。


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