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4.天国と地獄

今回はすごく短いです。

すみません。

(王都組の騎士 ディーヴァ視点)


俺はディーヴァ・フォン・ディヴォス・コーデイラ。アリスティーラ王国の伯爵子息として生まれた。

伯爵子息というと聞こえはいいが、所詮は三男。次男までが必要な貴族にはおまけのそうなものだ。

それに伯爵といっても辺境伯。戦ってばかりで見目がそれほどいいわけではないので、社交もまじまじ。脳筋ばかりだ。

父親は傷だらけで「こんな傷だらけの男に、嫁いでもご令嬢がかわいそうなだけだ」と言って戦場に出会った女将軍…つまり母と結婚してしまった。

俺はそんな脳筋ばかりの家に生まれたために幼い頃からきつい訓練をさせられ、騎士になることを強制的に決められた。


15で騎士団に入り早数年、コツコツと頑張って今や第2王子であるリーファニクス殿下の側近にまでなれた。そして殿下と一緒にルーディル領へ行くことになったのだが…そこには地獄と天国を足して割ったような場所が広がっていた。

鉄…と思われる物体の塊が馬より早く走り抜けた。車というらしい。他にも色々あったが、俺はもう死にそうだった。あの白銀騎士のシューヴァルト様でさえ死にそうな目をしていた。

案内をしてくださったヴォルディラント公爵令嬢のルティアーナ様も申し訳なさそうにしながら遠くを見つめていた。遠い目をしていたの方が正しいのだろうか。

ルーディル領はとても過ごしやすいところだった。外は暑いというのに部屋の中は涼しく、とても快適だった。

ネジみたいなのをひねると水やお湯が出た。暗いところでも電気なるものをつけて昼間のように明るくできた。

全てルーディル領にしかない秘術だと教えてもらったが、王都とは比べ物にならないほど快適だった。さらに驚いたのは平民の暮らしだ。下手な下級貴族よりもいい暮らしをしていた。家は綺麗で快適。この領に来れてよかったなと素直に思った。

だがそう思ったのもつかの間。今は地獄の特訓をされられている。この特訓を組んだのは殿下とシューヴァルト様だという。お二人の恐ろしさが改めてわかった。


「ダールドデルド!腰が引けてるぞ!」


もう訓練場は同僚の騎士達とルーディル領の騎士達の屍が積み重なっていた。今は同僚のダールドデルドが犠牲者になっている。


この特訓はまず訓練場を100周することから始まった。

その後休憩して素振り1000回、腹筋100回、また訓練場を50周してやっと休憩。

昼ごはんがとてもうまかった。今まで一番美味しく感じた。

次は弓を練習してしばらく自主練をされられた。休もうとしたり、ペースが遅くなるとシューヴァルト様に喝を入れられた。その後各自10回手合わせして、シューヴァルト様との手合わせだ。まさに死屍累々。みんな死んだ魚のような目をして「イエス…サー…」などとよくわからないことをぶつぶつと気味悪くつぶやいている。



その日はとてもよく眠れた。次の日起きたら筋肉痛で体がとても痛かったが、同じ訓練をしていたシューヴァルト様はピンピンしていた。俺もまだまだだと思いながら食堂に行くと他の騎士達は俺より辛そうにしていたのでシューヴァルト殿が化け物のようなものなんだなという結論に至った。

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