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1.来訪

初めての投稿ですが面白かったら幸いです。ぜひ最後まで読んで感想をお聞かせください。

アリスティーラ王国 王城 謁見の間


「よいな、よく学んでくるといい」

「…はい、申し付かりました。直ちにかの領地とへと向かいます」


アリスティーラ王国王城の謁見の間では、2人の人物が向かい合っていた。一人はこの国の国王“シルディラ―ム・フォン・フォルニア・アリスティーラ”、シルディラ―ム四世である。もう一人はこの国の第二王子“リーファニクス・フォン・フォルニア・アリスティーラ”。第二王子は王位継承権第二位の成績優秀な王子である。この豪華な二人がそろいどこかへ向かうとか向かわないとかの話をするのは何か嫌な予感がするのは気のせいだろうか。そして国王の言う学ぶとは、この優秀な第二王子へ向けた言葉だ。果たして学ぶということがこの王子に当てはまるのであろうか。



――同刻 ルーディル領 領都ファンデル


「その情報は本当?」

[は、先ほど“隠密情報収集(スパイ)隊花蝶”が現地へ出向き得たものです。信憑性は高いと思われます]

「そう…」


同刻、ルーディル領領都ファンディルのとある屋敷では、ある女性が何やら報告を聞いていた。その女性の名前は“ルティアーナ・フォン・ヴォルディラント・ルーディル”。そう、ルーディル領領主の愛娘である。







‣  ‣  ‣  ‣  ‣



「もう、お父様ったら…」


どうしようかしらと考えながら私は父から届いた手紙を見る。前々から得ていた情報ではあったけれど、改めて父からの手紙を見るともう投げ出してしまいたくなるのだ。それはこのアリスティーラ王国の第二王子リーファニクス殿下がこの領地に政治の勉強をしに数年間留学(?)をしに来るというものだ。毎年社交シーズンになると王都でパーティーがあったため殿下の顔は知っている。だからどなたかと間違える心配はないからわたしが会うというところまではいいのだ。そう、そこはいいのだ。だが…なぜ留学ということになる?王子の勉強のため私に殿下とあってほしいという希望はわかる。実際今この領地の政務をしているのは私だから問題ない。

 私はルティア―ナ・フォン・ヴォルディラント・ルーディル。アリスティーラ王国ルーディル領領主代理をしています。前世は日本に住んでいた高校生で、名前は“結城 桜”巨大財閥結城グループの一人娘にして次期跡取りという地位を得ていました。ハーフだからということもあり、いじめられて不登校だった私は、久しぶりに学校に行って帰りにコンビニによったところ強盗に襲われ見せしめに殺されたという虚しい人生を歩みました。

転生者ということで、私はこの世界の技術を向上させようと思いました。正直この世界の技術のみの暮らしはとてもいいものとは言えません。お風呂もこの世界ではあまり頻繁に入ることはありません。何よりバスタブなんて貴族の家にしかありません。シャワーもないしタオルで体をこすらなければいけません。何よりシャンプーやリンスがありません。耐えられませんよね?ね?

というわけで私はこの世界に現代技術を広めることにしたのですが…この世界はとても未熟で、現代技術を広めるとパニックが起こる可能性があります。そのため広めるのはこのルーディル領のみにしています。だというのに、だというのに…優秀だという第二王子のリーファニクス殿下を呼ぶとはどういうことですか!それに殿下は優秀ですからご自分でこの領の収入の増加の不自然さに気づかないはずはありません。きっとそれを確かめにこの領へ留学と称してやってくるのでしょう。お父様は私が一番恐れていたことをご自分でやってしまわれたのです。本当に、本当に溜息を吐きたいですわ…




というわけで、殿下がやってくる日になってしまいました。私は殿下を迎えに領境まで来ているのですが、もう泣いて帰りたいです。ええ、ほんとうに。


「大丈夫ですかお嬢様。」

「ハーヴィ…ええ平気よ。少しめまいが…いいえ、頭痛がしただけですもの。」


ルティア―ナと一緒にいるのは護衛のハーヴィスト、“ハーヴィスト・ウェイヴォルト”。夕日にも似た赤い瞳と深紅の髪を持つその騎士は銀色の鎧にルーディル領の紋章をあしらった青のマントを羽織っている。ハーヴィというのは彼の愛称だ。

そんなハーヴィストは溜息を吐きながら目元をおさえているルティア―ナのことを心配そうにみつめて声をかけている。


「来たみたいですね…ってお嬢様、その顔はやめてくださいよ?」


立派な馬車が見えたことでルティア―ナは眉間にしわを寄せている。いかにも不満そうな顔だ。


「ええ、分かっているわ。でもそうね…早く帰って紅茶を飲みたいわ。」

「了解しました、シャーヴィに用意させましょうか。」

「よろしく頼むわ。」


溜息を吐いたルティア―ナはもう一度馬車を見て真剣そうな顔つきになる。シャーヴィはハーヴィストの双子の妹。名は“シャールヴィーノ・ウェイヴォルト”ルティア―ナの忠実な侍女としてルティア―ナの信頼を得ている。愛称はシャーヴィ、シャヴィー、シャヴィ。

ルティア―ナは一度深く呼吸をして馬車のほうを見、作り笑顔を作った。ここ数年は政務で忙しかったため社交界には出ていない。殿下はどんなふうになっているかとルティア―ナは考える。

ガタガタと馬車がこちらに近づいてくる。ルティア―ナの前まで馬車がやってきた。豪華な馬車はすぐにぴたりと止まった。扉のドアは閉まっている。ガチャリとドアが開いたかと思うと殿下の騎士がでてきた。


「ルーディル領のルティア―ナ・フォン・ヴォルディラント・ルーディル様とおつきの騎士の方ですね。お二人ともお乗りください、殿下がお待ちです。」


ルティア―ナはそんな言葉を聞いて淑女の礼をして馬車に乗り込む。続いてハーヴィストも乗り込んだ。中には美しいまんまるとした瞳に美しいサラサラの髪を肩の下でそろえた美しい王子がいた。その瞳は見る角度によって瑠璃色にも碧にも見える。

馬車の反対側の窓の淵に肘を置いて頬杖を突きながらこっちを見ている。にっこり笑うその王子は、まるで絵画から抜け出してきたかのようだ。その姿の周りは神々しく輝いて見える。もちろん幻覚だが。そんな王子を見てルティア―ナは目を見開いて呆けてしまっている。


「座っていいよ。」


にっこり笑ってそういう王子を見てルティア―ナははっとし、ハーヴィストとともに席に着いた。


「第二王子のリーファニクス・フォン・フォルニア・アリスティーラだ、よろしくね。」


先ずはリーファニクスが自己紹介をする。その後ルティア―ナを見て自己紹介をするように促している。


「よろしくお願いします、殿下。」

「殿下はやめてほしいかな。」

「はい…リーファニクス様。」

「それでいい。」


ルティア―ナが返事をして殿下と呼んだが気に入らなかったようだ。ルティア―ナがすかさずリーファニクス様と言うと満足したらしい、にっこりと無邪気にほほ笑んでいる。


「では私も。領主代理をしています、ルティア―ナ・フォン・ヴォルディラント・ルーディルです。リーファニクス様、白銀騎士シューヴァルト様、お久しぶりにございます。」

「お久しぶりですルティア―ナ様。おつきの方は初見ですね、リーファニクス殿下の護衛騎士をしています。【白銀騎士】シューヴァルト・フォン・シルビアート・フォリビアです。」


ルティア―ナに続いてシューヴァルトも自己紹介をした。“シューヴァルト・フォン・シルビアート・フォリビア”は白銀の髪を持つ騎士だ。実家はシルビアート伯爵家。古くから続く由緒正しい家だ。シューヴァルトはその家の次男に生まれた。シューヴァルトは普通なら騎士団など入らなくてもいい人間だ。だがリーファニクスを慕って今やリーファニクスの護衛騎士団の団長にまで上り詰めているという実力者だ。


「初めましてハーヴィスト・ウェイヴォルトです。ルーディル領防衛騎士団第一大隊隊長をしています。貴族ではないんですが、殿下もシューヴァルト様もよろしくお願いします!白銀騎士様と王子殿下に会えるなんて光栄です!」


笑って言うハーヴィストはきれいな白い歯を見せてにかっと笑った。




最後までお読みいただきありがとうございます。

今後も少しずつ連載していく予定です。

よろしくお願いします。


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