眠り姫
ねえ君は、きっとずっと孤独だったんだね。
僕にはわかるよ。
君はそう言って私の前から消えた。同じようなことがデジャヴみたいに起こって、悲しいとか、苦しいなんて考えることもないまま、記憶からたくさんのものが消えていった。
日々の変遷を追いかけながら、私はスクランブル交差点のど真ん中に立って、目まぐるしい日々の変化を取りこぼさないように、まっすぐ前だけを見つめて、瞬間だけを積み重ねて生きている。
あ、ハル、起きたんだ。
そう問いかけた、彼女はクスリと笑ってまた窓の外に瞳を投げた。
彼女はまるで何かいいことがあったかのように、くくっと笑って、もう金曜日だね、なんて時報みたいな言葉を放つ。
帰ろっか。なんて私が言うとまたくくっと笑って、そうだねと言わんばりに長い髪をなびかせてカバンを掬い上げる。
今日は長い時間待った気がするな。なんてね。
そう言って歩き出す。これもまた繰り返し何度も聞いた気がする。