再会1
コンビニを出る。店員の顔は記憶にあるもので、覚えていた自分に失笑する。
「ちょっと、離してよ!!」
「いいじゃん。遊ぼうぜ」
穏やかではない声に、タクマは足を進めた。コンビニの影になった場所には、三人の男たちに囲まれた小柄な少女がいた。少女は臆した様子もなく、男たちを睨み付けている。
「行こうぜ」
「離してっていったでしょ!!」
少女は己の肩をつかむ男の腕を捻り上げた。そして、その股間を蹴り上げる。気の強い少女だ。
「くそ!!下手に出てりゃあ、このアマが!!」
他の男が手を挙げる。その手を、タクマが取った。
「女を殴るのはどうかと思うけど」
「くそ!!」
大柄なタクマに男たちは怯えたようだ。捨て台詞もなく逃げていく。
「助けてって言った覚えはないけど」
少女はタクマに噛みついた。
「たまたま通りかかっただけだ」
タクマは苦笑する。まるで、懐かない子猫のようだ。
「気をつけて帰れよ」
少女は過去の人間。深入りしない方がいい。タクマは少女に背を向けた。
尋都は扉の前に来ても、中に入ることを渋った。
「梨子姉ちゃん、待って。まだ、心の準備が……」
「何言ってんの。今までだって、一度も来たことないじゃない。マサちゃん、ずっと待ってたんだよ。心の準備ができてないって言わず、さっさと受け入れなさい」
尋都の抵抗も虚しく、梨子は扉を開けた。