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魂魄双伝~祖国統一編~  作者: 希紫狼
序章~塔零記~
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我が王朝

結婚式――の後!!

  世歴八百四年四月十一日 午後六時頃 京賀国尽子 宮殿

 京賀王である陽玄と長王朝の皇女との結婚式が終わり、本来なら和気藹々《わきあいあい》と結婚披露宴に興じたいところだが、切迫している状況はそれを許してくれない!

 既に京賀国は西隣りに筆頭の仮想敵国である“そつ”と、反対の東隣りにはそれに次ぐ仮想敵国である“せき”に挟まれている!

 また北にはいつ不可侵条約を破棄しても不思議ではない潜在的仮想敵国である“えん”!さらに遠南には大国である“わい”に至っては北方を狙っている……!

 この時点で京賀国は四面楚歌状態!四方八方敵だらけ!心休まる暇がない……!

 故に――本日の宴は今後の方針を練る為の会議を兼ねている状態……。

 しかもこの会議を招集したのは――陽玄の祖父である青月である……。


「なんじゃ、パパ上!せっかくの結婚披露宴じゃぞ!なのになんで会議なんじゃ!」

 一杯の水を片手に青月ちちに不満を漏らす月道!そんな月道かれに――

「悪い悪い!ただどうしても皆の前で問いただしたいことがあってな……」と青月ちちは余裕の笑みを浮かべて、軽く謝してみせるだけ……。


「父――パパ上……『問い質す』と言っても何方どなたに……?」

 続く月清の質問に、青月ちちは件の人物に視線を送って答える。

 その視線の先には――陽玄に最も近い側近である貴狼がいる!

 この時の青月――顔こそ笑みを浮かべているままだが、目が笑っていない……。

 そんな青月かれの表情が宴席に不穏な空気を漂わさせている中、貴狼は平然と――

「何でしょう?」と青月に応じる姿勢を見せてくれる。しかも余裕で……。


「先の京賀王陛下の帝位継承の件だが……本当に長王朝の帝位もの“だけ”を継がせる気か?」という青月の質問に、「どういうことじゃ?」と不思議がる月道。

 こんな親子達を尻目に、貴狼は陽玄に近い席にいる鋒陰ほういんに――どうする?と訊きたいばかりに目で合図を送っている。

 すると鋒陰は「いいんじゃない?喋って?」と観念して笑って返す。


 結果、貴狼は「流石は青月殿下……察しが良いですな……」と観念して――

「実は……我が王が長王朝の帝位を御継ぎになられると同時に……。

 大陸の“三大帝”の実の末裔を故に、それらの帝位を御継ぎになります!」と吐いた!

 これに月道は「ほえーっ!そんな大層で恐れ良いこと考えていたのじゃな!」と驚嘆!

 そんな月道かれを含めて、宴の席は驚きで「本当マジか!?」とざわめき始める!

 貴狼にそのことを問い質した当の青月ほんにんも、「まさか……御三方の帝位を全て継がせるとは……」と驚きの声を漏らしてしまう……!


「それだけでは御座いません!我が王は日汎じっぱんの廃太子――“世王子”の末裔として、日汎の帝位をも得られるのです!」と貴狼が続けると、宴席は静寂に包まれた!

 しかしこの世界に来てまだ日の浅い真藤は、静寂な会場をキョロキョロと見渡して――

「紫狼さん!なんで会場がこんなに無口になってるんですか?」と小声で紫狼に尋ねる。


「話せば長くなるが……元々、我が王の一族は “正統な”日汎じっぱん王朝に仕えていた一族でな……。今さっき、摂政あにじゃが申されたのは――その“正統な”日汎王朝を差し置いて、『京賀国こっちが“正統な”日汎の“王”――いやそれを超えて“みかど”を擁立しちゃえ!』ってこと……!」と小声で返す紫狼の解説。

 これに「それって不味まずくないですか!?」と小声のまま動揺してしまう真藤。


「一応、我が王も遠い昔に不当に廃嫡された日汎太子の末裔まつえいだから――ぎりぎり帝に擁立できるけど……!」と真藤から視線を逸らす紫狼。

 真藤が「何か問題でもあるんですか?」と掘り下げて訊くと――

「代々の日汎の君主って――氏とか姓とか名字っていう“ファミリーネーム”がないんだよね……」とどこか畏れ多そうに答えてくれる紫狼。

 こんな紫狼かれと今も沈黙を守る会場の反応から、現在も日汎の“正統”王朝はそれほどまでに日汎人に権威がある王朝らしい……。


「ファミリーネームがあると……日汎ここの君主になっちゃいけないんですか?」

「別にそんな法はなかったけど……慣習――いや伝統なんだよね……。

 なにせ日汎の君主はファミリーネームを与える側だから……」と紫狼がここまで真藤に答えてくれたところで、会場に「それで……大礼(即位式)の日は何時いつになる?」と言う声が響く。その声の主は――青月である!その宛先は貴狼!


「まだ日程に関して――詳細は伏せさせて頂きますが、是非とも今月以内に……」

 この貴狼の答えに、青月は「分かった……」とどこか納得した様に呟くと――

「我が王朝の名前は決まっておるのか?」と楽しげな表情で、貴狼に訊いてみる。

 すると貴狼も楽しげに「そうですな……この尽子みやこちなみ――『じん』というのは?」と提案!待ちに待ったようで思わず貴狼かれの口元が緩んでいる。


「ふむ……まぁ、分かりやすい方がいいか……」と青月は呟くと、会場に――

「次の王朝の名は『尽』であるぞ!! 異論がある者は!?」と大声で訊いてきた!

「……!」

 そして当の会場に異論がある者は……一人も出なかったそうな……!

いよいよ待ちに待った……即位式!!

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