パパ上
新キャラの名前判明!
声を漏らした月道に「父上ではなかろう!」と一喝する銀髪のボブカットの夫!
これに月道が「あっ……えと……」と困っているように声を詰まらせると、貴狼が助け船を出して――月道の耳に小声で何かを吹き込んだ。
すると月道はその夫に「パパ上……!」と呼びかけた!やけくそ気味に……!
結果――その夫は「よろしい……!」と満足そうに笑みを浮かべる……!
「……!」
頬を真っ赤のままにさせたまま、ひたすら押し黙る月道。少女に見える……!
この世界において十七歳といえば――問答無用で大人!たとえ未熟者でも……!
そんな大人が――まさか『パパ』という幼稚な言葉を使うことになるとは……!
「「……!」」
同じく月道と同じように頬を赤らめる月清と月華。押し黙るのみ……!
息子に自信を『パパ』と呼ばせる父を戴く身として恥ずかしい気分……。
しかし当の父は『破(月道の氏名)』氏の当主格であるから――強く言えない……。
「……!」
先程の親子のやり取りに唖然とする真藤。――『パパ』って……!と内心で驚くばかり!
ちなみに彼は今、見習いとして紫狼の傍の席で書記役をこなしている最中。
そんな真藤に向かって、先の夫――月道の父が視線を送る。
「この者……ひょっとして“日本人”か……?それも“平成”の……」
「はっ、はいっ!自分は真藤響と申します!よろしくお願いします!」
月道の父に己の正体を見抜かれ、とっさに自己紹介して頭を下げる真藤!
「先日、京賀国に仕えた始めたばかりの官吏です!
対外用に――氏が『群』、名は『麻』、字に関しては深栄という大陸式の名前を与えております!」と補足する貴狼!
この捕捉がないと――外交に携わることになると支障をきたすのではないか!?と月道の父にいらぬ心配をさせてしまうことになる……。
まだ真藤が外交に携わることはないだろうが、いずれは携わってもらわんと困る……!
そのくらい人材に余裕がない京賀国の――まぁまぁ苦しい事情……。
だってこの世界の外交の場で『真藤響』のような――日汎式と共通する、時代遅れの訓読みの名前を持ってる奴なんていないんだもの……。
ちなみに真藤――この件で泣きそうになる時があるらしい……。
そんなこの世界の文化に慣れていない真藤に、月道の父は――
「そうか……!私は氏が『破』、名は『行』、字が『青月』という者だ!よろしく頼むぞ!」と柔和な笑みを浮かべて自己紹介!
続いて月道の父である青月の隣に控えている妻も――
「申し遅れたわね。私が青月の妻――氏が『葛』、名は『美』、字が『彩艶』という者よ!よろしく!」と柔和な笑みで自己紹介!
彩艶はウェーブがかかった薄紫色の長髪の持主で、顔は可愛く容姿も良い!名の『美』や字の『彩艶』に相応しい女性である!
青月夫婦の自己紹介が済んだところで、真藤が――
「あの、付かぬことを伺うんですけど……御二方は陛下の御爺様と御婆様でもいらっしゃるんですか?」と夫婦に質問してみる。
すると青月が「その通りだ!」と返してくれるものの、彩艶が――
「あなた……陛下に御即位の挨拶がまだよ……!」と青月に呼びかける。
「これは陛下!御即位の挨拶が――」と慌てて畏まって挨拶をしようとする青月!
その途中で陽玄は燥ぎたい気分を押さえて、笑顔で――
「よい!予はこうして御爺様と御婆様に会えるだけで満足だ!」と遮る!
「「はっ!」」
青月と彩艶はそろって陽玄に畏まる。この世界では血縁よりも身分が優先される。
陽玄はそのことを残念に思いつつ、笑顔をいつもの鉄面に戻すと――
「時狼!御爺様と御婆様を席に……!」と傍に控えていた時狼に指示を下す!
「御意!では――御二方!こちらへ……!」と青月夫婦を席に案内する時狼。
それを見計らうかのように、真藤が自身の隣にいる紫狼に小声で――
「御二方……とてもお若いですね!いくつなんでしょうか……?」と訊いてくる。
これに紫狼も小声で「御二人とも今――三十!本当よ!」と答えてくれる!
すると真藤は「えっ……!?」と驚いて声を詰まらせてしまう……!
そんな真藤に、紫狼は止めと言わんばかりに――
「あと青月殿下はこの京賀一のお金持ちだから――重ねて無礼が無いように!」と注意!
結果――真藤は呆然としながら「重ねて気を付けます……!」と応えるのみであった!
一方、時狼に席に案内された青月は一番に――
「案内ご苦労!ところで会議はどこまで進んでいる?」と小声で訊いてくる。
これに時狼が小声で会議の現状を伝えると、青月は「ニッ!」と笑みを浮かべる!
次回予告:グッドアイディア?