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魂魄双伝~祖国統一編~  作者: 希紫狼
西進の章~西方征記~
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元総理閣下

窮地に陥った穀右と、涼しげな口日!

 暗殺団と思われし男達から走って逃げてきた穀右!

「開けてくれーっ!助けてくれーっ!」と昨日まで自らの居城であった、旧南純ここくの門を「ダンダンダンッ!ダンダンダンッ!」と必死に叩いて助けを求める!

 しかし固く閉ざされた門の奥からは何も反応がない……。音の一つもない……・。

「……!?」

 門から発せられる静寂が、穀右に絶望をもたらす……。

 見る見るうちに蒼()めていく穀右かれの顔がそのことを表している。


 ――ま……まさか……このまま私を見捨てる気じゃ……?と不安にも駆られる穀右。

 そんな穀右かれに向かって、「これは“元”大統領閣下……」とかかる声。

 その声の主は数人の部下を引き連れている――口日こうひ。昨日までは旧南純ここの総理(首相)を務めていたが、今では尽に降って――同国の一臣下の身である……。

 ちなみに……口日かれは陽玄から「少佐」に任官されている。


「おお!総理――いや、口日じゃないか!」と口日かれに話しかける穀右。

 先程まで蒼褪めていた顔が見る見るうちに生気を取り戻していく……!

 さらにその顔には――まるで救世主に出あったかのような笑顔が張り付いている。

「そんなところで何をなさっていたのです?」と返してきた口日に、口日かれは――

「丁度いいところに来てくれた、口日!私を助けてくれ!

 武器を持った男達に命を狙われてるんだ!」と全力で助けを求めた!

 これに対し、口日は無表情のまま淡々として「それは無理です!」と返した。

 返された穀右ほうは、堪らず血相を変えて――

「何故だね!? 君は命を狙われている一般市民を見捨てるのかね!?」と噛み付く!

 しかしながら、噛み付かれた口日ほうはいつも以上に無表情に淡々として――

「先の降伏条約をお忘れですか?元――大統領閣下……」と訊き返した。


「……!?」

 ――どういうことだ!? と言いたげな驚愕に顔をゆがめる穀右。

 そんな穀右に、口日は無情とも言える空虚な眼差しのまま――

の条約には――『尽は旧南純議会議員全員あなたがたに一切関知しない』とあったのです!故に尽の官吏となった私は――穀右あなたには関われないのです。

 例え穀右あなたが――災難に遭おうともね……!」と答えるだけ。

 この答えに、穀右は「そっ……そんな……!?」と恐怖に駆られる。さらに穀右かれは――このままでは……私は殺されてしまう!! という現実にもさいなまれる。

 そして……穀右かれの顔も再び蒼褪めていく……。先程よりも……。


「それに、先の条約で旧南純議会議員全員あなたがたは市民権を返上したはずですが!」

 この口日の答え(とどめ)を受け、穀右が「あ……あ……」と声を真面に出せなくなった時、穀右かれの後方から「もう逃げられんぞ、穀右くそやろう!」と声が……!

 後方そこをよく見れば……先程から穀右を追っている男達だ!

「……!」

 再び自信を狙う男達(かれら)からの逃亡を図る穀右に、口日の部下達が立ちはだかる!

 完全に穀右やつをこの世から追放する気である!永久とわに……!


「これは“元”総理閣下……!」と男達のリーダー格と思われし男が口日に気付く。

 気付かれた口日がその男に「何をしているのですか? 貴方あなた達は?」と問えば、

 その男は「ただ我々は……穀右このくずに、南純時代あのころの俺達の苦労を教えたく思いまして……」と口を開く。手にした農具ぶきを掲げて……。

 どうやら……この男達は穀右に報復する気のようだ……。


 何しろ南純時代あのころは、一般市民は政府から重税を課せられていた。

 しかし、男達が穀右こいつに報復する理由はそれではない……。

 納めた重税を、|当時の南純議会議員全員ごみくずどもに無駄使いされたかである!

 南純時代あのころの南純議会は、言葉のみにる内戦状態。

 あらゆる公共事業が無秩序行われ――そのほとんどが無秩序に中止された……。


 そして男達の理由にもう一つ。当時の南純くにの姿勢である……。

「不戦の誓いを永久の国是ものとするために――反省すべし!」という……。

 南純の民達は正直――「南純われわれは“あやまち”を繰り返さない!」と繰り返し声を上げ続ける南純議会議員全員ごみくずどもには――うんざりしていたのだ!

 南純の民達が「反省すべし!」で反省したことと言えば――武力をもつこと!

 ――他国を侵略できる程の武力ちからがなければ、他国からの侵略の意図を挫けない!と南純の民達は結論付けたのだ!その中の少数の平和主義者達さえも……。

 そうすれば――他国も自身の損害を気にして侵略しないだろう!と考えて……。


 どうせ武力ちからを持つにしろ、持たないにしろ――戦は起こるかもしれない……。

 それでも武力ちからを持つ方が――持たないよりもマシかもしれない……。

 少なくとも――この世界の……この時代においては……。

 何しろ武力ちからを持たない国には何をしても報復されないだから……。

 この乱乱乱世に、武力ちからを持たないが故に自国民を――他国の食糧不足解消のために皆殺しにされたり、他国の無償労働力を上げるために皆奴隷にされたり、他国の財源確保のために全て別の他国に売り飛ばされた国がどれ程あったことか……。

次回予告:ダメダメな革命への報復……!

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