アケカミセンパイ。
私に友達が出来て、初めての夏。
夏、夏!夏っ!!!
私の周りにはめちゃめちゃ沢山の友達がいます。
これもみんな、香莉ちゃん、歌楓ちゃん、優衣香ちゃんのおかげ!
あ、あと、扇原君。
4人が、私は怖くないって言うのを、みんなに広めてくれたおかげ。
「おはよー」
「あっ!花夜ちゃん、おはよう!」
「おはよ、どうしたの?騒がしくない?」
夏服の、水色スカートを揺らしながら歌楓ちゃんが近づいてきた。
「何言ってるの!今日は体育祭の競技決めだよ!?ねぇ、花夜ちゃんは何出る?私はね、リレーに出たいなー!」
「えっと、なんだろう…」
体育際なんて、出たことが無い。
毎回保健室から眺めてた。
ホントは出たかったけど……。
「ねぇ!花夜っ!私とコスプレリレー出ない?」
「コスプレリレー?なにそれ。」
突然声をかけてきたのは優衣香ちゃん。
「知らない?結構有名なんだけど。あのね?リレーだけど走らなくて、パレード?みたいな感じかなぁ…。コスプレして、校庭を歩くの!すごい楽しいよ!?」
「謹んでお断りします。」
笑顔で断った。
無理だ。
コスプレなんて似合わないし!
「えぇー!なんでー?」
「あのね、優衣香ちゃん。コスプレは、可愛い子がするから面白いんだよ?」
「うん!」
うぅ……。
なんだこの明るい笑顔……
「じゃあ!今日お昼食べる時、話し合おうよ!いい?」
したから上目遣いで私を見る優衣香ちゃん。
「うん…」
というのが、数時間前の出来事。
私たちは廊下を歩いていた。
「お弁当どこで食べる?」
「どこでもー。花夜ちゃんはどこで食べてたの?」
「屋上。屋上で食べようよ」
「えっ……」
一斉に固まる香莉ちゃん、歌楓ちゃん、優衣香ちゃん、扇原君。
あ、扇原君は無表情だ。
「屋上って…溜まり場だよね?ヤンキーの。」
「そう?意外とそうでもないよ?」
うーそー。
めっちゃ溜まり場だ!
けど、まぁ、大丈夫だろ。
たまに、朱神に絡まれるけど。
それでも私はあの場所が好きだった。
風が気持ちいいし、学校が見渡せるから。
「ね?もし朱神達が来たら追い払うから!」
すると、女子の、目が変わった。
「え!?朱神!?って、あの朱神慶真先輩!?」
「そうだよ?知ってるの?」
私が聞く時には、もう女子パニック状態。
冷静な扇原君が説明してくれた。
朱神先輩は、めっちゃ人気なんだよ。イケメンで。と。
「うっそだー!朱神が!?私あいつ大嫌…いってぇ!」
私の頭が、誰かに掴まれた。
「あっれー?ボールかと思ったら頭だったー!ごっめぇーん」
「離せや。朱神」
あー、もう最悪。
女子3人がパニック状態だし。
「なに?その態度。先輩だよ?俺。」
「先輩だと思ってませー……痛い痛いっ!離せアホっ!」
私の頭はボールではないのだよ。
お前は馬鹿か。
「あ、花夜ちゃん今悪いこと思ってない?」
「お前は馬鹿かって思ってますー」
更に強く頭を掴まれた。痛い。
「アケカミセンパイ、ハナシテクダサイ」
「棒読みだから嫌だ。」
「朱神先輩、離してクダサイ。」
「許す。」
うぁあぁ、痛かった。地味に痛かった。
「頭蓋骨にヒビが入りました。」
「そしたら俺が責任とってお嫁に貰ってやるよ」
「だったら死にます」
また朱神の手が私の頭にくい込んだ。
やめろ。マジでヒビ入る。
「花夜はこれから友達とお昼を食べるんです。辞めてください。」
チラリ、と4人を見ると、扇原君以外酸欠状態だった。
叫びすぎか?顔が真っ赤だぞ。女子3人。
「友達?あれ、1人男じゃん。彼氏?」
「違います。友達です。ってことでサヨナラ」
朱神を振り払って私は4人の元へ向かった。
「やっぱり教室でお弁当食べよう?」
「そうだね……やばい、先輩イケメン過ぎ……!」
その後、朱神に、ついてめっちゃ語られた。
全て流した。
「彼氏じゃないって、即答しなくても良かったのに……」
扇原君が何か言った気がしたけど、よく分からなかったので、忘れることにした。