仲間ぁ?
「平岡君!どこ行くの?」
「……」
さっき……喧嘩が終わってからずっと、
平岡君は口を閉ざしている。
「平岡くーん」
「……」
「おーいおーいおーい」
「……」
むぅ。
どこに行くか全く検討もつかない。
知らない道だし。
まさか!また絡まれるとか!?
って、それはないだろ。
さすがに……ねぇ?
1人で脳内ノリツッコミをしていると、平岡君が口を開いた。
「彩樹」
なにさ!ずっと無視してたくせに!
許さないもんね!
地味に傷ついたもんね!
「……」
無視してやった。
いやー、我ながら、アホな仕返しだ。
けど、許さないもん!
絶対、振り向いても、返事もしてやらないもん!
彩樹花夜、激おこぷんぷん丸だもんねー!
「さえきー」
「……」
「彩樹さーん」
すると、平岡君はため息を吐いた。
なんだよ、散々人を無視したくせに……
「花夜。」
「へっ……?」
私とした事が。
思わず返事をしてしまった。
けど、今……。
「今、なんて言った?」
「花夜」
「な、なんで花夜の名前……」
「……自分のこと、花夜って呼んでるだろ?」
「……そうだけど」
なんだか、すごく恥ずかしかった。
チラリと、平岡君の顔を見る。
少し、笑っていた。
意外とイケメンだ。
いや、普通にかっこいい。
一気にグッと幼い顔立ちになって、少し可愛いかもしれない。
そんな、呑気なことを考えてしまう。
「落ち着いて聞いて。」
笑顔で言う。
私は思わず頷いた。
「おーけー、落ち着いた。」
「今から、学校に、行く。」
残念ながら、落ち着けない。
「無理無理無理!」
「彩樹、落ち着け」
落ち着けなんて無理だ!
だって学校でしょ!?
Schoolでしょ!?
毎日行ってて、
私の大嫌いな場所だよ!?
せっかくさっき終わったのに!?
やっと、家に帰れるのに!?
「やだやだやだ!むりむりむり!友達だよね!?友達なら嫌だから学校行かせなくていいよね!?
だから、平岡!放せやオラァ!」
「後半の言葉がやばいぞ!落ち着け!」
「絶対やだ!学校には私の敵しかいない!」
「俺も敵か?」
「それは……違…う、けど!」
急に悲しそうな顔をする。
そんなの、ずるい。
「なんで?学校に行くの?」
少し落ち着いて、聞いてみた。
「待ってるからだ。」
平岡は(もう、君付けはやめた)言葉か少し足りない。
「だれがよ」
「お前の仲間がだ。敵は居ない。」
……嘘つき。
けど……
「わかったよ、でも、嫌になったらすぐ帰るからね!」
「わかった、それでもいい」
ちょうど、話がまとまった頃。
私と平岡は、学校の正門前に立っていた。