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第3話 いざ、海へ!初戦闘と魔法



「よし、いざ出航!」


 俺は元気よく声を出し、船の魔導具を起動させる。二つのレバーを前へ倒すと、スクリューが音をたてながら回り始める。それと同時の船は進み出す。


「おお!」


 船は回りに小さな波を発生させながらそこそこの速度で進む。


 しかし、自分の手で船を操る日がくるとは……なんか感動する。現実ではなかなか船を操る経験は出来ないと思う。


 んー、それにしても今は運転室というか唯一屋根のあるところ。……いや、やっぱり運転室でいいか。そこに元からある椅子に座って運転してるのだけど小舟だからかやはり揺れが大きい。

 これは移動中に動くのはキツイかも知れないな。慣れないとな。


 そんなこんなで少し経って周りを見渡す。あー、今日は晴れてるなー……じゃなくて、そろそろいいかな。港の方を向けば港が遠くに見える。と言っても1㎞ぐらいかな。

 まだ始めてだし沖に行き過ぎると強い魔物が出そうだしね。よし、この辺で戦うか。まぁ、戦うというより目的は金稼ぎなのだが。


 アレ。……海って魔物どうしたら出てくるの?


 ヤバイ考えてなかった。普通に出てくるものだと考えていた。しかし、周りは波の音、鳥の鳴き声以外一切音を立てないし、何かが起きそうな予感も前兆もない。


 あー、よし釣りをしよう。確か船の箱に入ってた気がする。


 えーと、蓋開けてっと……これだ。木製だがしっかりとしなるヤツだろう。詳しくは知らん。

 ガサラのおっちゃんがしっかり手入れしてるのか古そうだがまだまだ使えそうだ。そして釣糸もある。

 で、エサはっと……。ないな、あるわけないな。ふむ、どうしようか。このまま垂らしてみるか。現実とは別の世界だし、魔物というのがいるんだからエサが無くてもかかるかもしれん。


 有言実行だ、それい!


 ヒュー、ポチャンっとな。実際は波の音で聞こえないからなぁ。


 少し待つこと……その時!! 何か釣り針を投げたあたりの水面から黒い影が飛び出てきた。キランって反射したんだが……鋭いもの? 危険を無駄に感じるエフェクトですねぇ。


 ……てっ、ヤバイこっちに来るよ!? 横にずれて躱す。その時釣竿は船の淵に引っ掻けるとこが合ったのでそこに引っ掻けてます。


「うわっと!?」


 危うく転けそうになった、船の揺れ危険。思った通りに動けない。


 ヒュン……バシャン!! 瞬間、横を何かが通りすぎた。海に落下したようだ。後ろを振り向くが何もない。海がただ波立ってるだけだ。


「ええぇ……」


 一体何だよ魚って……いや、魔物か、魔物しかいないな。今のが普通の生物の訳がない。多分一瞬見えただけだがカジキを小さくした感じだと思う。刺さったら死ぬと思う。痛いだろうな、このゲームは痛みをリアルに再現してるらしいし。まぁ、実際よりはマシだろうが痛いものは痛い。てか、死ぬ時の痛みってどうやって再現したよ……。


 ん? っまた来る!! えっと案外ゆっくりだからまず避ける。次に攻撃だ! えっと何がいいかな。


 よし、これだ。闇魔術の下級アーツ、下級とは最初から使える位のアーツだ。とは言っても覚えてるのはこれ1つだけだが。

 えっと……詠唱!? 頭の中に文が浮かんでくる。ヤバイぞ、あいつが(せま)ってくる! よし。


 「闇よ、我が敵を撃ち抜け!『闇の弾丸(ダーク・バレット)』」


 うお、厨二病!! なんか恥ずかしいけど仕方がない。そんなの気にしてたらゲームなんか出来ません!!


 急いで言い終わると同時に目の前に黒色の、それもいかにも闇という表現が合った色のそこそこ大きいな、手のひらぐらいの弾丸が出てきた。そしてそれは真っ直ぐと高速で飛んでいきすぐそこまで迫っていた魔物に勢いよく当たった。


「おお! よっしゃ! さぁ、ドロップ品……そして、正体を見せろ!」


 まぁ、初の獲物ですし、そう思ったのですが。


 魔物ははじけ飛び、血をあたりの水面に飛び散らしたのです。

 そして、目の前でボチャンっ!と音をたてながら魔物の残骸は海へと沈んでいった。


「へ?」


 確認してみるが特に何も変化はない。


「アレ、初の獲物は倒せたのに報酬無しですかい?」


 もう一度確認する。メニューを呼び出しログやステータスを確認するが何も変化はない。ちなみにこのゲーム、経験値は表示されない。


 そうかそうか……。


「俺……超悲しいんですけどぉぉ!!??」






 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇





「はい、次でーす」


 さてさて、初戦闘は報酬なし、経験値だけということになったがアレ以降もあの魚、4回目ぐらいでやっとゲット出来て分かったのだけどウォーフィッシュって言うのです。


 そう、それでアレ以降も何回も飛んできてたいへんだったんだよね。しかも、大体同じ場所から飛び出してきた。


 んー、釣り針しかない場所なんだけどなーって考えたんだけど。もしかしたらって思って釣り針を回収したら見事に予想的中で飛んでこなくなったのだ。


 そう、つまりヤツらは釣り針を目印に飛んできてるのだ。いやー、怖いね。釣り人の方向まで分かるとは一体……この小さな魚の頭にはどんな思考回路が入っているのでしょうか。


 そんなこんなでその飛んでくるたびにタイミング合わせて船の上に落ちるように調節して魔法を撃ち込むのだ。もう何回やったことか。まぁ、レベルは上がったけど。


 まぁ、そんなわけで今は船の上でゆっくりしてるわけだが。揺れが心地よい。

 ちなみに船の上でも上手いこと行動出来るようになった。慣れるのが早いね。


「どうしようか……」


 暇というか魔法ではアイツを倒してもゲットは出来ないのである。何でかって? 弾けるからだ。ウォーフィッシュって分かったのも破片が上手いこと船に飛んできたからだ。

 破片さえあれば、自分が倒したものは名前が確認出来るのである。


 まぁ、そんな感じで破片しか手に入らないので金になるわけでもないだろうからやっても意味はない。いや、経験値はゲットできるが。


 あっ! そうだ! こんなときに水魔術!水ならウォーフィッシュが弾けることはないだろ。

 えーと、試しに……詠唱は? んー、こんなか。


 「水よ、我が敵を倒せ『水球(ウォーターボール)』」


 そう言うと目の前に直径30㎝ぐらいの水の球が出て高速で発射……されなかった。


 どういうことだ? こうしてる間にも水の球はまだある。ステータスを確認するとMPが少しずつ減っていた。何!?


 んー、どういうことだ? 詠唱では敵を倒せと言ったが敵がいないからか?

 詠唱って変えられるかな。てか、今からこの水の球を動かせないかな。

 えーと、詠唱はもう終わってるから……動かす意思? イメージかな? をしてみよう。


 こう、動けー! って。とりあえず上へ上へ! ゆっくりな感じでお願いします!


「動けー!上へ!上へ!」


 おっと声が出てしまったようだ。きゃっ、恥ずかし! ってか? まぁ、周りに人はいないからいいが。


 とまぁ、そんなことしてたら水の球が上へゆっくり昇っていきました……マジか。


 これ本当にゲーム?


 ……本当に自由だなおい。名前負けをしてないゲームもあるんですねぇ。それにしても、なんか自分で魔法自体創れそうだな。プログラムも大変そうだね。

 他の人も絶対気付いてるよな。さすがにそういうことするプレイヤーもいるだろう。後で掲示板でも覗いておこう。メニューから行けるし。


 パシャン ザー  

 

 ハッ! 水の球が割れたようだ、雨のように降ってきた。と言っても量が少ないが。んー、集中を切らしたのがいけないのか?まぁいい。


 でもなんでその話が出回ってないんだ? βテスターはとにかく自由度が高いと言った。てことは気付いてるよな。

 βテスターは内容を言ってはならないとはこのゲームでは注意書きに無かった。これはβテスターの応募で誰でも見れる。

 そもそも内容が広がればこんな凄いゲームだ。さらに多くの人が食いつくだろ。うーむ。


「謎ですな~」


 ついつい声に出してしまった。まぁ、そんなささいなことはいいか。このゲームを、世界を楽しめれば問題はない!


 ではでは実験その2。その名も……


 「詠唱を変えて最初から動きを変えられるのか! ……です」


 はい、すいません。そのままです!


 ではでは、


 「水よ、上昇しろ。『水球(ウォーターボール)』」


 ガクンっ。


 うお、力が抜けて膝を着いた……なんでだ? ……まぁいい、すぐに立ち直り水の球に意識を集中する。おっと……。立ちくらみが……。


 そんなことよりも集中集中。


 おや、いつの間にか水の球は随分と上へ行ってる。まだそんなイメージはしてないのだが。

 そう言えば普通に使った時、別に集中なんてしてなかったな。それに最初の内はほっといても崩れなかった。


 つまり、最初の内は勝手に動くが一定時間が過ぎると新たな魔力……MPとイメージ……指示が必要ということだろうか。


 最初は詠唱で指示を出し、最初に込めた魔力で動くがその魔力が切れるとそのまま使用するには補充が必要というわけか。

 

 いや、違う。指示は詠唱と同じ動きのままでいいのならいらない。

 そして、一番最初の敵を倒せという詠唱は敵がいないから発射しなかったと。正確には居るだろうが本人、プレイヤーが認識してないからだな。

 そして発射されないのはそう言ってないからであろう。


 意外とこの仮説、合ってる気がする。


 ザー。


 雨か? いや、水の球だ。崩れたのだろう。

 んー、何故だ。MPは減っていってたしな。只ただ上昇し続けるはず。あっ、範囲か。射程というところかな?

 まぁ、あながち外れてないだろう。


 てなわけで実験3。


 「『魔法アーツを改良する事が出きるのか』です!」


 「水よ、突き進み破裂せよ。『水球(ウォーターボール)』」


 イメージは水が発射された後、破裂する感じ。本当は我が敵へ破裂せよがよかったなー。けどそれだと敵がいないから破裂しない可能性が高い。


 予想どおり水の球は勢いよく前方へ射出された後50m位進んで破裂した。ああ、ぐらってきた。自分でいじくった魔法は消費MPが多い。MPは減ると疲れて来るらしい、な。はっきりと言って精神的にも。

 まぁそこはいいとして、50mか。そこも指定すればいいのかな。簡潔にしてみるか。そして強化もする。


 「水、高速前進100mした後爆裂、破片は水刃となる。『水球(ウォーターボール)』」


 もう水球ではないが気にしない。予想通りごそっとMPが抜ける感じに加え、水の球は高速で発射され、100m位進んで爆裂。その破片は水の刃となり周りに襲いかかる。よし、成功。


 そう思った時。


 ピコン! 


 電子音が鳴り響いた。


 『魔法 水魔術 中級アーツ 『水爆裂球』を獲得しました。』


 『スキル 『データ魔法』を手に入れました。』


 なんだと!?


 アーツは今のがアーツとなったという意味だろうがスキルは?


 「ステータスオープン データ魔法 詳細」


 『データ魔法』


 魔法の情報を簡潔にまとめ、その情報から魔術を行使する方法=魔法。その情報に手を加えて発動することも魔力量によっては出きる。また新たな魔術を創造することも魔力量によっては可能。

 

 消費MP 10+α(魔術改良分または魔術創造分)



 おお!? 素晴らしいな! もう最高だ! 今まで実験してたことがスキルになったってことだろう?

 まぁ、MP消費が増えるのが唯一欠点か。


 作ることも可能らしいし、まぁいいか。まぁ、詠唱の内容もどうにかして欲しい気がするが。


 とりあえず試してみよう。


 「データ魔法! 闇魔術。」


 思い浮かべるのは『闇の弾丸』。するとすぐにそのデータが頭の中に浮かび上がってきた。

 それを弄る。よし。


 「闇 高速回転 前方射出『闇の弾丸(ダークバレット)』」


 そう言うとやはり高速でそして改良した回転しながら発射され、遠くで消えた。


 おお、目眩がこないし、怠くならない。そして魔術が安定してるように見える。いや、なんとなく勘だが。そんな要素あるか知らんがな。

 ゲームっていつの間にかこんなことが出来るようになったんだなとしみじみ思った。


「いい感じだな。ではそろそろ、武器も使いますかねー」


 そう独り言を呟きながら、槍を取り出す。


 「ふむ、最初から槍の方がよかったかもしれない。刺さったらなかなか抜けないと思うし」


 なんで気付かなかったのだろう。


 槍の先端に返しを見ながらそう思ったのだった。




 そうして俺は釣竿をふるい、釣り針を投げ、槍を構えたのだった。


 


 


 

 



 

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