第22話+閑話
お久しぶりです(о´∀`о)
特に今回は話が動かないですが・・・。
果たして次はいつ投稿できるやら。
side:とあるギルド
「団長ー」
「ん、どうした?」
森の中を突っ切る形である街道をのんびりと、されど整然と歩いていく幾人かの集団があった。
「今日はどこに行くんですか?」
「む、それは知らん。この先をずっとだ!」
その内の一人の盗賊のような格好をした青年が団長と呼ばれた金髪の女性に行く先を訪ねる。答えを聞いた集団の人達は呆れた顔で口々に呟く。
「またですか……」
「今度はレベル上げに適した場所がいいなぁ」
「まぁ、いつも通りですな」
等々、それを団長は笑い飛ばすだけであり、盗賊の青年も苦笑いで仲間達の様子を見ているのだった。
「ふはははっ、気にするでない。ひとつだけ言えるのは最前線ということだ!」
「ちょっ、前回の失敗覚えてないんですかっ!? そのせいでバカみたいにデカイ狼とやりあって負けたじゃないですか!」
そんなことがあってもこの団長は気にしない。この世界はゲーム、とことん楽しむ性格である団長はその為なら死を恐れない。
盗賊の青年以外のメンバーはこの団長の中の人と昔からの付き合いであるため青年のようには言わない。言っても意味がないと理解しているからである。
さて、そんな団長の宣告を告げられた彼、彼女達はあれからも歩き続け、最前線でウロウロし、森の中でウロウロし、開けた場所に出たとき、ヤツと遭遇したのだった。
「デカイですね……」
と盗賊の青年が呆然として呟く。
「これは骨が折れそうですねぇ」
と槍を持った男性が笑顔で呟く。
「あちゃー、回復アイテム足りるかなぁ」
と白衣の少女が困ったような顔で呟く。
「撤退した方がいいんじゃない?」
と剣を持った男性がやれやれと言った感じで呟く。
「ふはははっ、戦うのみである!」
と大剣を構えながら笑うの金髪の女性、団長。
それらに敵対するのは高さ40mはあるかと思われる巨体な土で出来た巨人。
俗に『ゴーレム』と呼ばれるものの一種である。
「いざ、吶喊とっかんせよ‼」
「「「「おう‼(はい‼)」」」」
団長が走り出すと、各々も自分のポジションへと移動する。
ゴーレムも目の前の不届き者を対処しようと動き始める。
そして、その大きな太い腕は先頭の者に切り落とされるのだった。
腕を切り落としてスタッと降り立ち、靡く金髪を背に流す団長。その顔から負ける気等一切感じられなかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
side:シノ
「で、どうしようか……」
俺の絶望的な雰囲気を纏ったその一言に反応したミナトと俺は顔見合せ、口を開く。
「「はぁぁぁあ」」
大きな溜息を吐くために。何故こんな暗い雰囲気になってるかと言うと。
あの後。ごじゃる忍者ミナトに対してこちらも自己紹介したりといろいろ話していたのだが。ミナトのとある一言に空気が凍った。
「では、帰ろうでごじゃる!」
この一言だ。
ミナトはさぁ早くするでごじゃると言いたげな顔でこちらに顔を、目を合わせてくる。
それに対して俺は溜息を吐くような、決して明るくは無い言い方で言葉を放った。
「いや、それは無理なんだ……」
それを聞いたミナトはきょとんとした、何を言ってるでごじゃるか? とでも言いそうな顔でこちらを見つめてくる。
「何の冗談でごじゃるか、そう言うのはやめるでごじゃるよ」
そう言いながら、暗い顔した俺の肩をミナトは明るい顔をしながらポンポンっと叩く。しかし、俺の顔が変化しないのを怪しく思ったのか。ミナトは少し声を震わせながら聞いてくる。
しかし、帰れるならとっくにやっている。
「……もしかしてマジでごじゃるか?」
そして、俺は頷くとミナトは「いつになったら安心出来るでごじゃるか……」と呟いては、へなへなと座り込んでしまった。
遠くの空に見える、自由に飛ぶ海鳥の鳴き声と穏やかな波の音がいつもより大きく聞こえた。それは俺達を嘲笑うかの如く、しかし慰めるかのようなものでもあった。
そして、冒頭に戻る。
「本当にどうするのでごじゃるか……」
「そうだな……どっかの船が通り過ぎるの待つ位だろうな、俺のMPも残り少ないから無駄には動けないし」
ただ、海に漂う船の上。何もせずに無意味な時間を過ごす状態。全く以て不服である。……自分のせいなんだけどね。
こんなファンタジーな世界では、GPS機能付きの地図も無いしなぁ。
あ、そう言えば。
ちょっと木箱を漁る。ええっと、これだ。そして、それを二つ取りだし、内ひとつをミナトに向かって軽く放り投げる。
「これを使おう」
それを「うわっ」と悲鳴を上げながら掴んだミナトは戸惑いを隠し切れない表情だ。そんなに意外だろうか?
「……なんでごじゃるか、これは? オール?」
「そっ」
ミナトの問いに俺は軽く頷く。そして、俺は投げなかった方を片手で掴み、肩に当てて支える格好で見せつけ、言い放つ。
「これで一先ず漕ごう」
「……大丈夫でごじゃるか?」
え? 何が? そんな思いが伝わったのか、ミナトが呆れたような口調で話を始める。
「こんなオールで、二人だけでこの大きさの船が動くと本気で思ってるのでごじゃるか? 魔導具でも無い限り無理だと思うでごじゃる。それともこれは魔導具なのでごじゃるか?」
そして、ミナトは大きな溜息を吐いた。確かによくよく考えれば動く気はしない。というか動かないだろう。波に打ち消されて終わりだ。何故こんな簡単な事実に気が付かなかったんだろうか。
多分、最初からセットだったからだろう。てっきり役立つものかとばかりに。
「その様子は……やっぱり只のオールのようでごじゃるね。多分もっと人が多い事を想定してるのでごじゃるよ、この船は。だからオールももっと多くあるのではごじゃるか?」
確かに、そう思い確認してみると出るわ出るわオールが沢山。
「そのようだね……」
漕ぐことも出来ない、ならばMP回復を待つしかない。まぁ、それも港の方角が分からないとどうしようもない。
現在、少しずつ進んでいるはもののその方向に港があるとは限らないのである。
「あっ! ……でごじゃる」
ミナトが急に声を出し、少し驚いてしまう。が、ミナトの方を向き何事かを目線で訊ねる。
「とあるスキルの存在を思い出したでごじゃる」
そう言うとミナトはドヤッと表情を変えながらこう言い放った。
「『地図作成』でごじゃる! 行きに船で来たのが見れるはずでごじゃる!」
「これが某それがしにはあったでごじゃる」と続けながら言うミナトを突き落としたい衝動に駆られたのは言うまでもないだろう。
何故もっと早くに気付かなかったんだ。こう思わずにはいられない。これからの行動はただひとつ。
拳を握りしめ──
「や、やめるでこじゃるよ。そんなもの何も産まな──アァ!」
──しばらくお待ちください──
こうして俺達二人は無事港に帰れたのであった。
え? MP? なんか高価で良いMP回復アイテムを持ってたから譲って貰ってささっと帰りましたがなにか。
「某の稼ぎがぁ~」
聞こえない聞こえない。
「鬼ぃぃ!」
バァン
決して魔導銃を撃ったわけではない。ないったらない。
「──悪魔ぁぁぁぁあ!」
助けてやったんだからむしろ天使だわ。