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第15話 シノ本来の目的

遅れてすいません!m(__)m

 アキと森の主、睨み合っている二人・・・森の主って人? とにかく二人はどちらも唸りながら目をお互い離さないで睨み合っている。


 はぁ、仕方がない。


 「えぇっと、森の主さんは争いに来たわけじゃないんですよね? 」

 「えぇ、そう何度もいっていますよ。それなのにこの人間がまったく話しを聞かないんですよ。・・・貴方なら少しは話しが分りそうですね。」


 いえ、アキが分からないだけで普通の人ならその位の話しわかります。


 「シノくん、騙されちゃダメだよ? そうやって安心させた後にとってたかって殺られちゃんだから。」

 「今、アキには聞いていません。少し黙っていてくれませんか?」


 また始まったよ。アキの謎な程の恨みの強さ。それに構っていたらめんどいんで強引に話しを進める。なんでゲームの中でストレス貯めないといけないんだ。黙らす魔法ないかな、こんどスキル屋、アーツ屋でみよう。


 「アキは話しを聞いていてね、静かにね。では、森の主さん、話して下さい。今回のご用件を。」


 俺が森の主に対して丁寧に対応しているところを見て、アキは苦虫を噛み潰したような顔をし、それを見た森の主は満足そうな顔をしながら「えぇ」と言うと話し始めた。

 今までアキによって言えなかったことを。


 「そのことですが、何度も言いましたようにお礼なんですよ。そこのお二人は以前のこともありまして、森を荒らしたということで襲ってくるんじゃないかと非常に私を警戒してるようですが。」


 そこで一旦森の主は話しを区切るとアキとハルの方をチラッみる。アキは無言でまた杖に魔力を集め始め、ハルは小さな悲鳴を漏らしながらアキの後ろへ隠れる。

 やはり、トラウマはしっかりと植え付けられてるようです。それを見てさっきのことで少しザマァと思ってしまう自分がいるのだが、気にしないで。


 森の主が再び話し始める。


 「今回、貴方方はゴブリンの集落を破壊してくれましたよね? そのことでお礼を言いたいのですよ。その際にクレーターが出来たのであれば別に仕方ありませんよ。いやー、あの集落は私も非常に困っていたんでね。とても助かりましたよ。」

 「──『森の主』なのにか? 」


 アキが疑問に思ったのか、森の主に問う。それは俺も思いました。


 「森の主なのに、ですか。森の主と言っても無条件で森に住んでいる者を守るわけ無いじゃないですか。」

 「なんで? 主、上に立つ者なら……。」


 今のは今までほぼ空気だったハルさん。それに対して森の主は当たり前のように答える。


 「上に立つ者? 見返りがあるんですか? ゴブリン達はね、自分のことしか考えられないやつらなんですから。人間の国々だってそうでしょ? 税だったり仕事だったりしてもらってやってるでしょ? ゴブリンは勝手に森に住んでるです。何も他のことはしないで、邪魔なだけです。自分達でやるには大変ですからね。ですから貴方方にお礼を。」


 森の主はそう言うと改まってこっちを見る。そして、頭を下げる。


 「──ゴブリン達を倒してくれてありがとうございました。」


 「「「……」」」


 その声、言葉を聞き終わると森の主はいつの間にか消え去っていた。


 「……なんか、不思議なことだったね。」


 そう俺は呟くとアキとハルは大きく息を吸い、吐いた。


 所謂、深呼吸というやつだ。



 「「はぁぁぁぁーーーぁ……」」


 アキとハルはそのまま座り込んでしまった。そして、口を開く。


 「あー、疲れたね~。魔物に礼を言われるとはね。やっぱりとにかく不思議な気分。後AIが凄いね、中に運営さん入ってるんじゃないの。」

 「それは置いといてさー、んー、疲れたのはほとんどアキのせいだよねー? アキが早くしっかりと森の主さんの話しを聞いておけばこんなに長くなんなかったんじゃないかなー? 」

 「うっ、それは……あの。」


 ハルにとても耳の痛いことを言われて何とも言えない顔をするアキ。そこに俺も便乗しようっと。


 「ホント、アキが話しを聞いておけばなー。こんなに長い時間使わなかったのに。ログインしてから結構時間経っちゃってるじゃん。」

 「いや、だから……うん。ごめんってば。」

 「アキー。分かった? 今度からは人の話しをしっかり聞こうね? 」


 ハルさんと俺でアキを責める、しっかりと言葉でな。決して肉体言語では無いのでご安心を。


 「……はい、今度からしっかりと人の話しを聞きます。……人ならね。」


 人ならね? ほう、お望みならやってやるぞ? アキ、肉体言語での語り合いをなぁ。


 「ちっ、意思の疎通が可能ならだ。分かったアキ? 」


 ハルさんが一瞬黒い顔をしながらさっきのことを訂正した。すると、ゴブリンコマンダーを切ったあの剣を取り出しアキへと切っ先を向ける。


 「このゲームPVPも可能なんだよねー、そういうこと考えないようにね。」

 「イエスマム」


 アキは顔を真っ青にしながらハルさんの問いに答える。即答でだ、即答で。まぁ、そうするしかないよね。ハルさん剣をアキへ向けてるのにめっちゃ笑顔なんだもん。


 まっ、ハルさんのおかげさまで俺の出番は無しと。あーあ、折角人間大砲出来ると思ったのにな~。

 そんなことを思いながら腕を後ろに組み、俺は歩き出す。


 「アキとハルさん。じゃっ、森を出よう? 別のモンスターと出会うと厄介だし。それに夜になりそうだしね。確か夜は強いモンスターが出るんでしょ? 」


 少し歩いた所で立ち止まり後ろへ振り向き、アキとハルさんに確認する。


 するとアキは何を思ったのか小さく笑いだし、ハルさんは「あ、そうだね。」と呟く。


 それを聞いた俺はふむ、では良いか。と考えまた森の出口へと歩き出す。


 「あははは……、確かに夜のモンスターは強いね。今の僕達じゃ、レベルが低すぎるからすぐ殺られちゃうね。」

 「うん、そうね。夜のフィールドモンスターはレベルが高い人を基準にされてるからね。」


 後ろからはアキとハルさんが話しながら駆けて来て俺との数メートルの差を埋めてきた。


 


 俺達は対して深くもない森の出口へと向けて歩いたのだった。



 




 



 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇






 「ねぇ、シノくん。僕達のパーティに入らないかい?」


 中立都市「アメル」、通称「始まりの町」に戻って来て、これからのログアウトまでの時間をどうしようかと考えてたときアキはそう言ってきた。


 もう宿取ってログアウトしちゃおうかなとも思ったのに。


 「アキとハルのPT(パーティ)に?」


 そう、確認をとるとアキとハルは「そうだけど?」と大きく頷いた。


 この提案は非常に嬉しい。思っても見なかったことだ。けど、……な。


 「そう、パーティーに。ギルドと違って特にルールとかも無いし、みんなのログインしたタイミングの合った時の集まりだよ。他に二人メンバーがいるよ? 」


 ギルドとは違ってPT(パーティ)とは3~6人ぐらいからなる活動グループだ。基本、戦闘時のである。ギルドのようにアジトは持たないし、特殊なルールも無い。

 只、PTに入るとそのメンバーのログイン状況の確認やPTチャットの使用、メンバーのHP、MP、状態が確認、特別クエストの受注等が出来るようになるのだ。


 けど、そうなると自由に好き勝手に動けなくなると思うのだもともと俺の目的は船、自分のギルドである。


 だから……。


 「どう? 入らない? 」

 「ギルドと違って気軽だしそんなに考えなくてもね?」


 アキとハルさんはウズウズ、ニコニコとした顔で聞いてくる、が。


 「入りたいです。けど、お断りします。」


 俺はそう答えた。二人ともまさか断るとは思わなかったのかえっ?と声を出す。


 「アキやハルさん達と遊べる、冒険出来るのはとても素敵です。が、他の人がどう思うか分りませんし、それに……」

 「「それに?」」


 失礼だけど言いたいことを言わせてもらう。本来のこと。いやー、今まで忘れてたね。船。森の主が濃い過ぎた。


 「自分のやりたいことがしたいのです。」


 それを聞いてはとても残念そうな顔したハルさん。そう思ってくれるのは嬉しいのだが……。


 「そうだね、自分のやりたい事があるよね。僕達と一緒だったら出来ないこともある。折角ならおもいっきり楽しまないとね。どうせならシノくんと一緒に冒険したかったんだけどな~。」

 「えっ? ちょっ、アキ。諦めんの?」

 


 隣で騒ぐハルさんを無視し、アキはいきなり話し始める。終わると「うん」と頷き、こちらを見つめてきくる。 


 「でもさ、また一緒にどっか行こうね? じゃっ、またね。」


 そう言うとアキは騒ぐハルさんを連れながら人ごみの中へ消えてった。此方へ手を振りながら。


 もちろん、フレンド登録を済ませてからだけど。


 こうして俺はログアウトした。

 


 


 


 


 



 


 


 

森長かったな~。


もっとさっさっと進める予定だったんだけど。

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