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第10話 ゴブリンと遊ぼう


 「えっとね、僕は『アキ』って言うんだ。んー、一応ベータテスターだね。ほら。」


 そういうと、魔法使い? の男、改めて『アキ』はローブの中から手を突きだし、杖を見せてくる。

 

 見せてきた杖は銀色の金属で出来た柄に先のあたりに赤、青、緑、黄色の4つの宝石がついて、先端は美術的価値のありそうな鳥の細工が付いているとても高そうな杖だ。


 いや、凄そうな、だな、効果が。


 しかし、それとベータテスターとは何の関係が……。その気持ちが伝わったのかアキが珍しいとでも言いたげな顔になった。

 教えてください。

 

 「んー? 知らないのかい? 君はそういうのは気にしない派か。ベータテスターはね、ベータ版で手にいれた好きな装備を2つ、こちらに持ってこれるのさ。この杖はちょっと珍しいから、説明、証拠としてはいいんだよね。

 まぁ、みんなすぐ手にいれるだろうけどね。それでも装備が強力で序盤が有利なのは変わりが無いからベータテスターではないプレイヤー達から見れば不満があるらしくてね。君もベータテスターではないだろう?」


 そういうと話し終わり満足したのかアキはうんうんとひとりうなずいている。なるほどね。


 「あぁ、ベータテスターではない。そんなに違いがあるのか……ふむ、ズルい。」


 そう言うとアキは苦笑いする。


 「ははは……んー。まぁ、許してよ。」


 「ベータテスターズルい。……そう言えばそんな強そうなベータテスターさんが何で来んな所に? 」


 「うっ、それは君が森の奥深くに入っていくからね……何をするつもりなのか、気になってね。君が殺されても気分が悪いし見てしまったのだから、ね。

 こんな町に近い森と言っても装備が整ってない初心者には難易度少し高めだからね。あんまり死ぬ体験はしない方が身のためだよ? あれは辛い。別に暇で君が面白そうだからではないからね? 」


 そう言うとアキはてへっと舌を出す。


 いや、なんと反応すればいいのやら……。


 すると、アキは話しを変えようとしたのか口を開き始めた。


 「そう言えば君、ゴブリンの集落はどうするんだい? あ、そう言えば名前を聴いていないね、良ければ教えてくれるかい?」


 ああ、教えて無かったな。


 「『シノ』だ、アキの言う通りでベータテスターではない。ゴブリンの集落は……破壊かな。」


 そう言うと、アキは一瞬驚いたようだがすぐに顔を元に戻した。まぁ、ずっとニコニコしている。そして、訊ねてくる。


 「ふむ、どうやってするんだい?」


 そうだな……。


 「最初は魔法で潰そうかと思ったけど魔力を使うしな……大砲で潰すか。」


 そう言いながら闇属性の魔法で使える中級アーツ『影縫い』を使い、影に仕舞っておいた大砲を取り出す。『影縫い』は本来影の中を移動するアーツだがそれを収納に使わせてもらった。


 この『影縫い』はアーツ屋で買った。影を使うなんて発想、イメージは自分で思いつきません、はい。


 「なっ!……。それは一体何なのだい、まさかとは思うけど大砲?」


 アキは驚いた表情で聞いてくる。もちろん、みんな大好き大砲です。まぁ、中世の物と大して変わらんけども……。


 「もちろん、大砲さ。まだ、ただの金属の筒状の塊だけどね。いずれはしっかりした現代的な大砲を作りたいと思うのだけれど。」


 「いやいやいやいや、君は一体何を目指してるんだい!? ここは剣と魔法のファンタジーな世界なんだから、そんな目標立てないでよ!?」


 アキは間髪を入れずにツッコミを入れてくる。いや、ツッコミといっても結構真面目な感じである。そんなに世界観ぶっ壊されるのが嫌なのだろうか。


 「いや、なんでそんな不思議そうな顔するの。」


 ふむ、そんなに不思議そうな顔をしていただろうか。自分ではただひたすらアキを見つめてただけなのだが。

 まぁ、いい。


 「いや、そんなに大砲嫌いなのかなと思って。」 


 「いや、別にそんなことないよ? けどね、君さ。世界観ぶっ壊そうとしてるでしょ? さっき、呟いてたよね? 確信犯? 聞こえていたよ。」


 アキは次々と言葉を吐き出してくる。


 いや、別にプレイヤーの自由だと思うのだけど……。にしても、声に出ていたか。もっと気を引き締めないとな。いろいろとワクワクし過ぎて気が緩んでいたようだ。……ん?


 「いやいや、ひとりで世界観壊せる訳ないじゃん? 細々と大砲使うから大丈夫だよ。そもそも、普通に魔法とかも使えるから。『闇の弾丸』」



 そう、弁解しながら『闇の弾丸』を使い、こちらを伺っていたゴブリンを倒す。一匹のようだが……はぐれか? ゴブリンって集団のイメージが在るのに。ていうか、ゴブリンだよね?

アキに聞いてみる。


 「ああ、ゴブリンだよ。」


 あれ? まだ、声に出してない気が……。アキを見ると、杖を俺が闇の弾丸を発射した方とは逆に向けられてる。その先にはゴブリンが燃えている。火の魔法? 『火魔術』怖いな。


 「にしても、なんで?」


「こんな状況なら言わなくても、見なくても分かるよ。」


 そうアキが言うとゴブリン達が森からぞろぞろと俺達を囲むように現れた。ひときわ目立つ立派な鎧とマントを着けたゴブリンを中心に。


 「あれは……ゴブリンコマンダー!! 何故ここに!」


 何故そんなに慌ててるのだろうか、個人的にはドラコン撃退してるからな~。はっ! この距離じゃ大砲が使えない!?

 それに不味いぞこの数は


 「アキ、一体そいつなんなんだ!」


 「ゴブリンコマンダー、ゴブリン達の指揮官だ。とても頭がよく、自身の戦闘能力も普通にある。つまり、大将だな。しかし、こいつだけ倒してもゴブリンナイトとゴブリンメイジの姿がある。そいつらも倒さないとゴブリンどもは永遠に攻撃してくるだろうな。つまり……」


 つまり、あれか。


 


 「「全滅させればいいだけ!!」」


 顔を見合わせて親指をグッとと立て合ってからゴブリン達に突っ込む。


 見るとゴブリン達も動き出した。


 さぁ、やろうぜ!


 

 


 


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