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青と赤

 そうだったのか!!!夢幻の工房から目を覚ました俺は、すべてを理解した・・・


 夢幻の工房から目覚めた俺は石碑の前で血まみれで、うつぶせに倒れていた。そして、俺の頭には大きなこぶができ、額がキレて出血していた。


 『夢幻の工房』

 それは、夢の中で自在に魔法やスキルを、作り上げる事が出来る素敵スキルだ・・・


 そう!夢の中で!


 当然、発動すれば夢の中に直行!その場で夢の世界にダイブするわけだ。そのとき現実世界での体は?・・・当然!絶賛!爆睡中になる。


 ゆ・え・に


 石碑の前で立ったまま発動すれば、その場で強制的に眠らされた体は、見事なまでに綺麗に意識を失い・・・完全な脱力を体現し・・・力を失って受け身など全くすることもなく、崩れるように重力に身を任せる事になる。


 結果・・・先程『夢幻の工房』発動した俺は、石碑と石碑の台座に、全体重をかけて何の躊躇もなく意識のある時では、とても出来ない勢いで全力頭突きしたのであろう。


 『夢幻の工房』発動時のあの痛み・・・俺、工房内でなんて思ってたっけ?大な力を得た者が払わなければならない代償の痛みだっけ?・・・駄目だ・・・あー駄目だぁ、とことん間抜けすぎる。あの痛みを、なんとなく俺かっけーと、夢の中で受け入れていた俺に、エビぞりハイジャンプで全力パンチを見舞いたい!


 中2病の処方箋が今こそ必要ですぜ旦那!!!

 あーーーーもう、あーーーーーもう、お薬プリーーーーズ!


 ふぅぅぅぅぅぅ・・・


 ・・・死蔵する秘密その18の誕生だ。


 ◆◇◆◇


 石碑の前で自分の強烈頭突きを認識して恥ずかしさで悶絶しつくした後


 忘れていた事を思い出した。それは、この世界の言葉の習得を夢幻の工房で試してみる事だ・・・魔法を作るのに夢中になって、すっかりまるっと忘れていた。


 ・・・


 でもいいか・・・とりあえず話し言葉は、サラさんの言葉がわかったんだから問題ないはずだしな。石碑の文字だってサラさんが言ってたことと、同じようなこと書いてあるッぽかったし・・・。


 とりあえず、人里探しをやってみよう。


 ここですぐに夢幻の工房に入るのは、何かにすごく負けた気がしそうだったのでやめたのだった。


 「星天測位網!!」


 そして・・・えーっと広域表示させて


 「生体探査!」


 さーって出てくるかな?


 おっ、出てきた・・・あれ?夢幻の工房内で見たのとは位置が違うな、やっぱり現実と完全にリンクしてはいないのかもしれないな。


 うん?光に色がついてる。青と赤?そうか、危険なのは赤とかにして見分けがつくようにしたいって俺考えてたんだっけ、それじゃ赤が危険な奴で、青がそうでない奴って事だよなきっと・・・そして・・・これって、見た感じ青の後ろに明るい赤が居るのか?


 ・・・もう一回やってみよう「生体探査」


 移動してるな、青が赤に追いかけられてる?


 もう一回・・「生体探査」やっぱり追いかけられてるよな、これ


 場所は川の向こう側を川に沿って移動してる・・・向こうの移動速度と同じくらいで俺が移動できるなら。地図の、この辺で合流できるわけか・・・。


 行ってみるか。


 正直いって行くかどうかは、かなり迷った。赤=危険というのは、おそらく100%間違いなく・・・その上、光が強いということは、デカイとか強いってことになるだろう。


 でも、襲われてるだろう青がもしも人間だったなら、気がついて居ながら見殺し♪とかになってしまうのは精神衛生上あまりよろしくない。とりあえず助けられるかはわからないが、駆けつけて見る事にした。遠目に見て、敵が強すぎで助けるのむり!って時は仕方ないよな。


 行くとなったら急ごう。


 星天測位網で表示した地図を出しっぱなしにしながら時々、生体探査をかけながら駆けて行く、こうやって使うことを考えると、この生体探査は、常時発動モードにした方が断然便利だな・・・


 でも、消費魔力が大きくなっちゃうかね?


 等と考えながら斜面を駆け下りてゆくと森の中とはいえ、斜面を駆け下りてる分こっちの方が移動スピードが速いようなので、少し方向調整しながら青と赤の光を目指す。


 木々を懸命に避けながら、木の根や苔に足を取られないよう気をつけながら、出来るだけ早く最短距離を駆け抜けていく。我ながらかなりのスピードだ、なんだか思った以上に体が軽くスピードが出る。木を鮮やかにかわしながら時には、木を足場にしてアクロバティックな動きをしながら斜面を駆け下りていると、だんだんと気分がハイになって来た。


 ・・・この先少し崖状になってるな。


 でも、この距離なら飛べるか?よっしゃーーー!ファイトーイッパーッツ!!


 ってやべぇ!地形しか分らないっていうのに飛んじゃいかんかった!木があるじゃーん!!


 「ドベシ」


 うぅぅ、いてえ調子に乗りすぎた・・・くそ鼻血とかコレで出してたら助けに行っても間抜けすぎになるとこだった。


*******


(証言者1)


 あの時私たちは死を覚悟していました、でも絶対絶命のその危機に・・・どこからともなく現れたあの男性が私たちを助けてくれたんです!!男性の特徴ですか?


 ・・・鼻血垂らしてました・・・それしか覚えてません。


*******


(証言者2)


 私たちの命を救ってくれたあの恩人は、なんの報酬を受け取ることもなく笑顔で去って行きました。

 鼻血を垂らしながら微笑んだ彼の顔を、私は一生忘れません。


 ぶっ、ぶはは・・・だ、だって鼻血垂らしながら、いい顔されてもねぇ?


*******


 だめだ・・・間違いなくすべて台無しになる。破壊力高いわー鼻血・・・気をつけながら進もう。そんなおバカな事を考えつつ走ってゆくと、いきなり森を抜けた!


 森から抜けた先に広がる野原の先は、大きな岩や、石がごろごろと転がる河原になっていて、その向こうに川幅5m程の川が流れていた。


 目標の青い光は?


 いた!!!・・・って!なんだありゃぁ!


 いや青い光だった方は普通に人に見えるんだが、その後ろを追いかけているアレ・・・あいつらは一体なんなんだ?蛇というか人というか・・・なんていやいいんだ?アレを言い表す言葉を、俺は知らない。


 よくゲームに出てくるラミアとかみたいな下半身蛇で、上半身人というのではなく・・・いや、確かに下半身は蛇なんだが上半身は、蛇と人とのミックス?という感じで、かなり不気味で生理的な嫌悪感を感じるというか・・・とにかくゾッとさせられる姿をしている。

 そのうえサイズもでかい!地面をはいずる蛇身部分をいれず。地面から頭までだけで、2.5m以上あるんじゃないか?


 その見るのも嫌な謎生命体が、その体に見合ったサイズの武器・・・一匹は剣の様なものを、もう一匹は、杖の様な物を手に持っていやがる。あれは、さすがにやばくねーか???


 確か青い光は4つあったはずだが今地図上に見える点は3つしかなく、立っている人間2人はどうも少女のようだ。あとの二人は地面に倒れ伏しているように見える。こりゃ、まさに危機一髪の状況ってやつじゃないか?


 俺が行ってどうにかなるのか?あのファイヤーアローとかで打ち抜けば、いけるだろうか・・・くっそー!助けりゃヒーローかもしれないが最初の異世界人とのコンタクトぐらい。和やかに出会ってお話して・・・でもよくねーか?


 あの蛇ども相手にして、かなわなきゃ・・・俺死ぬぞ?


 でも、追いかけられてるのは女の子だ、ゲームでも俺は女の子は、ただの一度だって見捨てた事無い!!それが俺の唯一のポリシーなんだ!


 あぁもう・・・くそったれ!いったらー!


 すーはぁぁぁぁぁと大きく深呼吸すると、少しでも身軽に動けるようにとその場に荷袋を置いて川めがけて走り始めた。

ありがとうございます。

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