サモナー令嬢ユーフォリア 〜この場に居ない田中の存在感がありすぎる件にて〜
真実はいつも一つ!
キャッと可愛らしい声が出ると共に瞬時に拳で反応する。
「うらぁっ!」
鈍い音が響き静寂に包まれる中、凛と佇む姿は勇ましく彼女が女性であるのが惜しいくらいだ。
そして、目の前で白目で倒れている女性を見たら何が起こったかは想像出来るだろう。
「へぃ!ユーが私に触れるなど百万年早いですわ!そのまま地球とキスしてなさい !」
ドレス風の制服を着た女性は中指を立て、気絶させた女性へ言葉を吐き捨てた。
また少しの間静寂が訪れるがその場に居合わせた男性が勇気を出して女性に話しかける。
「……ユーフォリア?これはどう言う事だい?」
ユーフォリアと呼んだ女性になるべく刺激を与えない様に穏やかに尋ねる。
「この女が私にワザと当たって来たので無意識のうちに私も吹っ飛ばしてしまいました」
あららとおっとりと頬に手を当て首を傾げる姿は淑女のお手本みたいだが目の前に意識が飛んで口から涎が溢れている女性をこの様な状況にしたのはユーフォリアだ。
ここ、リリアナ学園は魔法を学ぶ学園でもある。
ユーフォリアは筆記こそ優秀だが魔法が壊滅的に出来ない、所謂出来損ないであるのだが国に貢献する有能な魔法使いを多く生み出した侯爵家の令嬢であるが為にこの学園に入学してきたのだ。
周りも侯爵家との繋がりが欲しかったのでユーフォリアを受け入れていた。しかし、ここ数ヶ月で色々と状況が変わってきたのだ。
今、倒れている女性が転入してきてからと言うと周りの男共が群がり、婚約している男も転校生に熱をあげ、婚約者が目の前で蔑ろにされた女性は冷めてしまい、いつの間にか男女の仲が悪くなっていったのだ。
白目で気絶していた女性はハッと気がつき起き上がり、何が起きたか周りを見渡して、ユーフォリアを見つけると起き上がりユーフォリアを睨む。
ユーフォリアは睨まれると獰猛な笑みを浮かべる。
「このユーフォリア、受けた挑戦は買いますわよ!」
いきなり、頭を隠す様に腕を上げ、ボクシングのポーズに似た構えで女性と対峙しユーフォリアは挑戦する。
「この腐れ外道め!私の蟷螂拳の前で沈めてやりますわ!シュッ!シュッ‼︎」
今からでもキャットファイトが始まりそうな雰囲気に男性は口を挟む。
「……イヤイヤイヤ!少し落ち着こうよ!というよりトウロウケン?なんだその構えは?」
「あら、貴方もこの構えの合理さに惚れましたか?流石、この国のトップの1人ね。ですが、私も蟷螂拳使いのトップは譲りませんわ!」
「心底どうでも良いわ!どこかの武術とは何となく分かったのだがどこで覚えたのやら意味が分かーー」
「ふっ、真逆、貴方があの蟷螂拳を使えるとはね。しかし、蟷螂拳が使えるからと言って私には魔法があるのよ?お分かりかしら?」
「全力で乗ってきたーー!何?蟷螂拳知らないのは俺だけ⁉︎可笑しいのか?知らない俺が可笑しいのか?どこの国の武術だよ!」
ユーフォリアに蟷螂拳について語られても男性は理解出来ずスルーを決めようとしたが吹っ飛ばされた女性はユーフォリアの構えを知っている様で男性は驚愕する。
「そこを教える必要がありまして?知りたいのなら拳で語り合うしかないですわ」
「いやいやユーフォリアよ、数ヶ月前まで暴力を知らない淑女だった君は何処に行ったのだ!しかも何気に俺を戦いに参加させようとしているの⁉︎少し落ち着こう?ユーフォリア、この俺に免じてな?」
ユーフォリアはシリウス様がそう仰るならと引く。コレで血生臭いキャットファイトが見れなくなって周りに居た観客はシリウスを睨み舌打ちして帰っていく。その姿を見て、俺一応王子なのにと呟く彼には威厳は無かった。
「さて、先ずは何故こんな事になったのかを考えよう。それとその蟷螂拳?は解くように。ほら早く、ユーフォリア威嚇しない!全く、君は何時からその様な野蛮な事をする様になったのだ?言葉遣いも汚くなって」
「シリウス様、何を仰るのですか?私が蟷螂拳を覚えなきゃいけなくなったのはそこの泥棒猫が婚約者付きの殿方を次々と誑かして互いに引き下がれない所までの事になったからですわ。だから私は蟷螂拳を覚えたのです。シリウス様もご存知の通り私は魔法がからっきしダメです。ですから、私は体術で泥棒猫を退治するのです。それに蟷螂拳を教えて下さった方が言ってました。魔法に頼れないのなら武術に頼れ!健全な精神は健全な肉体に宿るそうで武術を通して精神を高め肉体を造るべしと教えて頂きました!」
「ふむ、思っていたのより、まともな返答だな」
「はい。蟷螂拳の教えを請うのにメイト服を着て獣人の猫族の真似をしないといけなかったのは理解出来ませんでしたがそのおかげで構えまで教えて頂きましたわ」
「はいアウトー!え?何?君に教えた奴は絶対に不健全極まりないぞ!下心満載だぞ!騙されているぞ!それに構えだけ教えて次は⁉︎型を教えなきゃただ構えているだけだろ⁉︎」
「シリウス様でも彼の事をそう言うのは許しませんよ?確かに獣人の猫族の格好している時に『ユーフォたん、デュフフ。もっと萌を強調して!キタキタキター!』と良く分からない呪文をビデオ?と言う写真機に撮る為に唱えてましたが彼は約束を守り、手取り足取り私に色々とご指導して下さりました!」
「なんだその呪文は!凄く不快感を感じる!……ビデオ?写真機?……写真機⁉︎何だと!その姿を記録に残してるだと⁉︎後で見せ……ではなく婚約者として処分しないといけないので後で迅速に俺に渡しなさい。だが話を聞く限り君が心配だ」
「大丈夫です。初めて会った時、私の事を女性として見ていなかったですし、私には婚約者がいるのを知ってますので安心して下さい。コレでも私も淑女ですわ!」
「そ、そうか。其奴を見てみない事には何とも言えないがユーフォリアは気が付かないだけで本当は女性として接しているのではないのか?」
「初めてお会いした時に言われました。『この劣化品が!小生に触れようなど10年遅いわ!小生程の紳士になると10歳以上に邪な気持ちを持つ心など持ち合わせおらんわ!欲情されたいのなら幼女になって出直してこい!』『劣化品に欲情する事はない。それが紳士の心得』と仰っていましたの。殿方の事はよく分かりませんがある程度育った女性に対して彼は紳士であると誇ってました。ですから彼はちゃんとした紳士ですわ」
「絶対違う!其奴紳士じゃねぇ!安心出来るけど安心できねぇ!そんな奴とは縁を切れ!」
「そう言われましても住むお家も用意したのですよ?」
「養っているだと⁉︎くっ!色々と問いただしたいがこのままだと話が迷走してしまう。この話はまずここまでだ!後で詳しく聞かせて貰おう。君の口が悪くなったのはその彼のせいか?そうなるとやはり付き合いだけでも考え直すべきだ」
「この言葉遣いも理由があるのです。戦う前に勝つですわ!ナメられない為です!それに彼は泥棒猫の正体も今までの現状を教えただけで理解してました」
ユーフォリアは吹っ飛ばした女性に勝ち誇る。吹っ飛ばされた女性は負けじと睨み返す。
「ふ〜ん、私の正体?何の事かしら?」
「惚けても無駄ですわ。『乙女ゲー』という言葉を聞いてもまだシラを切るのかしら?」
「何故その言葉を知っているの⁉︎」
「本当は2人仲良しじゃないの?……もうツッコミきれん。盛り上がっている所申し訳ないのだが話についていけない。乙女ゲーを説明をして貰ってもいいか?」
「いいでしょう。乙女ゲーとの言うのは彼の故郷の言い伝えで攻略者と言う男性達と悪役令嬢と主人公の玉の輿成り上がり系戦略物語です。そして、その泥棒猫の正体はビッチなのです!男なら誰でも良い見境ないグズなのです!」
「惜しい!そこまで来てヒロインって言葉がどうして出てこないの⁉︎恋愛物語を歪んだ感性で捉えているわよソレ!それに私はビッチじゃないわ!ビオランテよ!」
「話を続けますわ。ビッチに対抗する為に私は彼と毎日普段使わない言葉の練習をしたわ。彼は私がどんなに毎日きつい事を言っても悲しまず心無い言葉を真っ向から受けいれ時には厳しく言葉を教えて下さり私が彼に罵ると一言一言の成長を喜んでくれたわ。私は罪悪感を感じたけど彼は簡単に許してくれたわ。あの時の私は彼の心の広さに救われたわ」
「それ、ただ其奴喜んでるだけじゃないの⁉︎私を出しにして言葉攻めを喜んでるよ絶対に!貴方騙されてるわよ!」
シリウスもビッチの言葉に頷く。
「話を聞けば聞く程、其奴の一人勝ち……ではなく、その人物の行いが際立つな。本日から其奴の手ほどきは暫く辞めるんだ」
「え?今日は蟷螂拳の時に猫族の格好したから猫拳と言う武術を教えてもらう予定でしたのに」
「猫族の格好に意味があった⁉︎……しかし、また何かやらされる訳ではないだろうな?」
「本日は、バニーガールと言う格好をすると言ってました」
「バニーとは?」
「良く分かりませんが兎族の真似だと思いますわ。うさ耳のカチューシャを付けまして」
「ふむふむ」
「胸元を強調した服装を用意してましたわ」
「何!」
「それと網タイツを着用します」
「網タイツだと⁉︎侯爵家令嬢にその様な痴態を強要するとは何事だ!しかも獣人の真似をさせ、プライドを傷つけさせるとは!」
「そうですね、私もまた獣人の格好をするかと思うと悔しいですわ。ですが、強くなる為なので逆らえず私は顔を屈辱で赤らめ悔しさに睨みながら耐え凌ぎますわ」
「よし!イイぞ!もっとやれ‼︎」
「へ?シリウス……様?」
「……はっ⁉︎すまない、何か分からぬが降りてきた。気にしないで欲しい」
「男って最低ね……」
一部始終のやり取りを見ていたビッチの呟きにピクリと反応するシリウス。
「……やはり君が心配だ。其奴の名前を教えてもらっても良いかな?さっきからココに居ない彼の存在感が強すぎて気になる。彼は何と言う?」
「田中と言います」
「タナーカ?聞かないネームだな。俺の知らない遠くの国の名かな?」
「まさか、田中ですって⁉︎」
「またしても俺だけ反応できねぇ!俺だけ除け者?何?有名なの?タナカって凄いのか?」
「そうですね、どの学園でも一クラスに3人の田中が居ると思えと言われる位には知られてますね」
「そんなに居るの⁉︎なら納得の存在感だよ!と言うよりビッチよ、君、ちょくちょくユーフォリアと話が合うね?なんで?」
「シリウス様、ビッチは愛称ではありませんので愛称のビオラと呼んでほしいです。私もこの学園に入ってから女性とお話出来てませんのでビックリです」
「そう言えば、私もビッチさんとは話すのは初めてですわ」
「だから、ビッチ言うなって言ってるでしょ⁉︎泣きますわよ!大声でみっともなく泣いても宜しくて⁉︎」
「……え?ちょっとそれは引きますわ」
「話がまた拗れるからストップだ!タナカの話に戻るぞ!どこの国の所属の者か知らないのが居るのだぞ!気をつけるに越したことない」
「彼は私が召喚術で召喚したので異世界の者ですわ」
サラッと爆弾発言に思わずシリウスは驚く。
召喚術とは如何なる世界から様々な生き物を召喚する魔法であり、有名なモノになるとドラゴンやペガサスなどがあげられる。
人を呼び出す術式ではないのだ。人を呼び出す術式は勇者召喚と言われている。
「ふふ、私が召喚出来たのはただの田中じゃないのよ。通信カラテ8年続けている5級の白帯保持者のツワモノよ!」
「え?田中8年やって5級?白帯?ある意味ツワモノだけどなんか違う!ツッコミ所が多くて危うく流す所だったけど異世界人を召喚したの⁉︎アレって確か勇者召喚って奴じゃないのか?」
思わずビッチは叫んでしまう。
「えっ?あの方が……勇者?英雄?多分違うはずです。それは判断に困りかねます」
ユーフォリアが歯切れの悪い言葉に2人は傾げる。
そして、ユーフォリアは当初の事を思い返す。
『小生が英雄?……ふむ、高校時代に32人に告白もしてないのにフラれた事でござるか?それとも隣の席の可愛いクラスメイトの屁を自分がやった事にして、その子の身がわりになった事でござろうか?小生自身、自分の英雄談が多すぎてどの事を指しているか分からないでござる。う〜ん、勇者としてならアレでござろうか?夏コミでトイレに間に合わず糞まみれになってもちゃんと狙っていたサークルの獲物を持ち帰った時でござるかな?あれなら小生も自分の事ながら勇者だと自負出来るでござる。周りの冷たい視線、今でも思い出すでござる。アレから外に出るのが怖いでござる。小生の自伝なら高校卒業後引きこもりになるまでなら語れるが……え?聞かないでござるか?まだ語ってないでござるよ?え、異世界でもこんな扱いをされるでござるか……』
「それに初めて召喚術した時ですが見た目は小型版のオークって所かしら?なんと言いますか上から押し付けて縮んだオーク?臭いはゴブリンに近かったのですが今も多少は臭いますがマシになりましたわ」
「何気にタナカへの評価が厳しいな。それより、まさかだと思うが君が洗ったのか?」
「はい?自分のサモンパートナーですよ?当たり前ではありませんか」
「確かにサモンパートナーは他者に預けないと聞くがう〜ん、まぁ、考えない様にする。……しかし良くそんなのを使おうと思ったのよ?」
あの時はですねとユーフォリアはまた思い出す。ユーフォリアも人が出てくるとは思わなかった。出てきた時に返そうともした。
『アレ?ここはどこ?小生は夢でも見ているのかな?目の前に洋物美少女がいるけど遂に小生の人生がバグったのか世界にも馬鹿にされ始めたのかな?』
『小生を元の世界へ帰すのだ!まだノンビリ日和の二期が7話で次が良い話なのだ!小生今帰らないと後悔するでござる!』
最初は駄々を捏ねてましたが魔法が使える世界だと知りますと。
『何⁉︎ここは魔法が使える世界なのか!なら小生は後一年経てば魔法が使える年頃になるでござる!それまで居てやるでござる。いや、居させてください!それに毎日必ず1度は賢者タイムが訪れる小生に死角はない!キリッ!そうでござる!魔法はまだ使えないでござるが時間限定でござるが賢者でもあるでござるぞ!小生は凄いでござろう?なら小生がお主の魔法を使えるように指導してやるからこの世界に置いて下さい!お願いします!』
『この世界でなら小生ほど、魔法少女を見届けた者はいないでござろうな。小生魔法モノは大好物でござるからな!ならこの世界でお主を魔法使いの世界一にしてやるでござる!ん?お主は魔法が使えない?むーん、小生が魔法を使った事がないから何とも言えぬでござるが小生が魔法を使える適年期が来たら一緒に練習するでござる!それまでは肉体を鍛えるでござる』
「それにしても話を聞いている限りだと日本って国の日本人のオタクでグズを呼び出したのよ!気づきなさい!」
「そう言えば、夜に『ママ……日本に帰りたいよぅ、ピザ食べたいよ、コーラが飲みたいよ』って泣いていたのですが自分の世界の事でしたのね!尋ねても何でもないの一点張りでしたので少し心配していましたの」
「ホームシックにかかってたー!!しかも強がってるし!もう帰れよ!」
「それは清水も言っていました」
しれっとユーフォリアは言う。
「また新しい人物出てきたー!少し自重しろよ日本人!また男なのか?」
「清水は婦女子と言われる人種らしいですわ」
「腐ってた⁉︎」
「清水は男同士の友情、特に抱き合っているシーンが好きらしいの。友情を育み抱きしめ合う姿は素敵じゃないと聞かれましてハイと答えたら清水とは仲が良くなりましたわ」
「仲間扱いされてる⁉︎それ仲が良いの?え?良いのかしら?」
「清水を召喚してから清水が田中を管理して下さる事になりました。確かに最近田中の制御が難しくなってきている気がしてましたので清水が居てくれて助かってますわ。そう言えば制御が難しくなったのはあの出来事からでしたっけ?」
『ユーフォたんは小生に優しい、清水のアホは腐って性悪!ユーフォたんなら劣化品していても良いかも』
「「田中が堕ちたー!」」
「紳士の決意はどうした!」
「清水が最後の砦になってますわ!」
困惑するビッチと異世界人を召喚したと聞いて頭を悩ますシリウスは深くため息を吐く。
「ユーフォリア、君は魔法がダメだから召喚術に手を出したら異世界人を召喚してしまった。もう召喚した人は居ない?」
「えぇ、人は居ないですわ。私の召喚術は最近はゴーレムばかり召喚してますわ。確かPS4、テレビ、デジカメ、パソコンなど良く分かりませんが田中と清水がそう呼んでいましたわ。しかし力の源のソーシャルネットワークたるものは私の力では召喚出来ませんので全てのモノは力を発揮出来ないガラクタですわ。だから召喚出来るのは良く分からないモノばかりなので私にはサモナーは向いてなかったのでしょう」
しょんぼりするユーフォリアにすかさずビッチのツッコミが入る。
「いやいや!ハイテクすぎでしょ!何近代アイテム召喚してるの!どんな魔法より一番凄いよ!」
「そうでしょうか?一番凄いで思い出しましたが田中の言葉でビッチは運命にまで媚びを売って味方につけた劣化品だと、それに群がるグズ共はもう諦めて捨てなさいと、でも私は貴族として無理でした。だから、戦う決意を固めて臨んだのに私ダメですね。いつの間にか戦いが終わってます。シリウス様、私はいつでも婚約破棄をもう受け入れますわ」
「はぁ?いきなりどうしてそうなる?」
「田中から聞きました。乙女ゲーの言い伝えの最後は婚約破棄で終わるそうです」
「……婚約は破棄はしない。そもそも、その様な噂が流れ始めたのはユーフォリアがビッチと争う様になってからだ。ユーフォリアの父上から私との婚約が悪影響で娘が可笑しくなっているのではと俺の父上に相談があったのだ。だが、理由が分かった。解決できる。だから、その田中にまで会わせてもらっても良いか?」
「もうビッチで定着しちゃってる……こうなったら私も是非一緒に良いかしら?もう争う理由はないでしょう?ユーフォリア様となら仲良くできる気がするの?ダメかしら?」
「心で戦い合ったもの同士の最後は夕日に照らされ和解し仲良くなると田中も言ってましたもの。夕日はまだですが仲良くなっても良いですわね!あぁ!なんて素晴らしいのでしょう!やっと問題が解決しましたわ!田中に御礼を私も今から言わなくてはなりませんね」
「あぁ、そうだね、御礼参りに行くとするか」
「えぇ、シリウス様、私もその素敵な御礼参りにご一緒させて下さいませ。ふふふ」
皆、それぞれ笑顔を貼り付けて田中へ会いに行くのであった。
逃げるんだ田中ーーー!
『小生、逃げも隠れもせんでござる。引きこもりである小生に逃げる場所なんて空想だけで現実世界にはないでござる』