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1章 3話

新八は縁側で、透き通った青空を見上げていた。新八は縁側で、透き通った青空を見上げていた。


「なぁ、左之さん 新八つぁんどうしたんだ?」

「男にも色々あるんだよ」

「何だよそれ」


2人は、部屋からこっそり新八の姿を見ていた。


「はぁ…」


あの後…


雪は、新八から逃げるように帰っていった。


島原に行っても雪には、会えなかった。


「雪さん…」

「永倉隊長」


隊士の1人が縁側を走ってきた。


「舞っと言う芸妓が会いたいと言っていますが」

「舞って俺に酌をしてくれた子じゃん!!」

「連れて来てくれ」


隊士は、深刻そうな顔をした舞を連れてきた。


「どうした?舞」

「永倉さん お願いです…雪姉さんに会ってあげて…ください。」

「え…」


すると…


舞の瞳から涙が流れた。


「お、おい舞!!」

「雪姉さんは、あの姿を見られるのを…すごく怖がってたの…」

「あの姿」


新八の脳裏にあの時の雪の姿がよぎった。


「今は、島原の自分の部屋に閉じ籠もってしまってるんです…」

「…」

「ご飯にも手をつけていないんです

このままじゃ…死んでしまいます」

「舞…」


泣いてしまった舞の背中を平助がゆっくりさすった。


「だから…お願いです 雪姉さんを救ってあげてください…」

「新八…」

「…」


その頃雪は、自室で島原の街を見ていた。


「新八さん…」


あの日、自分の姿を観た新八の顔が脳裏をよぎる


本当は、彼に会いたい

でも、また彼を(おび)えさしてしまう

もしかしたら、いつか彼を凍らしてしまうのではないか…


「新八さ…」

「雪さんっ!!」

「え…!!」


声が聞こえた後ろをゆっくり振り返ると…


彼がいた。



走ってきたのか、荒い呼吸を繰り返していた。



「なん…で」

「ゆき…さん?」


涙がさっきよりも多く流れた


「なんで、来たんですか…」

「舞にあんたが…何も食べないで部屋に(こも)ってるて聞いたんだ」

「そう、あの子が」


あの子にまで、心配させてしまった。


「雪さん…」

「…!!」


急に目の前が真っ暗になったが…


すぐに理由が分かった。


そこが、新八の腕の中だったからだ。


「新八さん」

「俺はあんたのことが好きだ」

「!!」


そんなこと言ってくれた男の人はいなかった。


いないものだと思っていたのに…



「あんたが、雪女でも俺は、あんたが好きだ」

「でも、私はいつあなたを凍らすか分からない…」


それが、この世で一番の恐れ


私にとってこの人がいなくなる事が、ほかの事よりも恐ろしかった。


「大丈夫、俺は凍らない げんに今、雪さんに触れていても凍っていないしな」

「新八さん…っ」

「雪さん…手が!!」


新八に握られていた右手が

徐々に凍っていった。


「私は、雪女のなりそこないなんです」

「だから、自分を凍らしちまうのか」

「でも、すぐにもどるから」


苦笑い混じりの笑顔を新八に向けると

握られている手に力が入った。


「……から」

「新八さん…?」

「頼むから…自分を傷つけないでくれ…」


新八は雪を抱きしめ 泣いた。


その涙が、右手の氷を溶かした。


「あ…」

「俺が、絶対お前を守ってやるから」

「…はい」


新八は、雪をそっと抱きしめた



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