Prologue:The colorless world
夏 蝉の声が頭に響き渡る午後二時
「お兄ちゃん学校楽しい?」
微笑みながら愛はそう聞いてきた
「楽しくねーよ」
そう俺が答えた後、大好きなオレンジジュースを持ち一口飲んだあと
「どうして?」
「だって学校に行ってないからな…」
「そっか…」
愛が目を向けたその先にはテレビがついてありテレビの中の人はギターを片手に歌を歌っている。
「でもさ、学校に行ったら楽しいかもしれないよ?」
「頭がよかったら楽しいのかもな、俺馬鹿だから」
「勉強は楽しくない?」
「楽しい訳ないだろ…。勉強だぞ?」
「友達は?友達と遊ぶのは楽しくない?」
「一人でテレビ見たりゲームしたり本読んだりする方が楽しいな
相手の趣味に振り回されるのも御免だし…疲れるだけだ…」
「そう…」
愛は窓の外を見る
この病室から見える景色は愛には夢の世界のように見えているのだろうか?
「私は楽しみだな…。勉強も、お友達も。」
俺は軽く笑ったあと
「そうだ、これ」
そう言っていつものように漫画雑誌を鞄から取り出し愛に渡した。
俺は生きてる意味がわからない
生きがいをしらない
他人に興味がない
誰とも接しず生きる方が楽だからだ…。
最低限暮らせるだけ金を稼ぐ生活だけで十分だった。
それでも妹の愛にだけは会いに行った。なけなしの金で漫画雑誌を買っていく。
いつも棚に積まれてある本を適当に買っていくので同じ雑誌かどうかさえわからない。
もしかしたら、違う雑誌に変わっていて話が続いてないかもしれない
それでも愛は
「わー。ありがとー、お兄ちゃん!」
愛は決まってそう言った。
結局はなんでも嬉しいようだった。
「おう」
愛は俺とは違う
生きることに希望を持ってるし、生きる意味もきっと見つけられる。
なのに…小学生三年生から今までの三年間ずっと病院で暮らしている
変わらない窓の景色
変わらない日常
変わらない病の状態
可哀想に、変わってやれたら
生きがいのない俺なんかより愛が生きるべきなんだ
そんな思いが俺をここに通わせていた。
「面白いか?」
「うんっ!私ね、大きくなったら漫画家になるの」
「そうか…」
「お兄ちゃんは大きくなったら何になりたいの」
「お、俺は…」
‐‐コンコン‐‐
「は、はい」
扉を開け、看護師が入ってきた
「愛ちゃん。検診の時間ですよ」
「…はい。」
「じゃあ、また明日な」
「うん。またね、お兄ちゃん」
俺は愛の病室を後にした
俺はいつもでこんなことをしているのだろうか
変わらない俺の目に映る景色
変わらない俺の想い
変わらない時間
このままでいいのだろうか
「俺の将来の夢か…」




