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Wizard

 
 ――さて、どれにしようかな……。


 泥のように空間を塗り潰す漆黒の闇の中で爛々と煌めく紅蓮の双眸は、エサと娯楽の両方を求めて視線を彷徨わせる。


 ――んん?


 ソレが目を止めたのは一人の男。


 小さな子供用ベッドで眠る少年のパジャマを強く掴んで、声など届こうはずもない『ここ』まで聞こえてきそうな――。


 まるで、それは『血の慟哭』。


 ――いい絶望だね。次のオモチャはキミに決定だ。


 紅蓮の双眸が笑う、わらう、嗤う。


 少年か少女か不明確な高くも低い声で放たれた嫌な嘲笑が消え、その漆黒の空間は闇に潰れて消えた。
『プロローグ』
2011/02/20 16:33
『エピローグ』
2011/09/29 00:00
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