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弱き僕と最強の先輩   作者: マーたん


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第十七話「黎明の旅路 ― 約束の果て ―」

長き戦いの末、ギルドマスターとの決戦は終わりを告げた。

 灰に還った師の亡骸を前に、浅葱と先輩は再び歩き出す。

 焼け落ちた王都は混乱に沈み、人々の希望は薄れていた。

 だが、そんな中で彼らは立ち上がる。

 新たなギルド、そして新たな“誓い”を胸に――

夜明けの光が、王都アルディアを照らしていた。

 瓦礫に覆われた街並みにも、柔らかな朝日が差し込んでいる。

 浅葱はその光を眩しそうに見つめ、深く息を吸い込んだ。


 「……やっと、朝が来たんですね」


 「長かった夜だ。けど、ようやく終わった」


 隣で先輩が呟く。

 彼の頬にはまだ血の跡が残っていたが、その瞳は確かに前を見据えていた。


 ギルドマスターとの戦いの後、王都の防衛線は崩壊し、

 人々は避難を余儀なくされた。

 だが――それでも生き残った者たちは、再び街に戻り始めていた。


 「浅葱、あそこを見ろ」


 先輩が指差した先には、倒壊したギルド本部の跡地があった。

 煙はもう上がっていない。代わりに、若い冒険者たちが残骸を片付けていた。


 「……あの子たち、ギルドの後輩ですね」


 「マスターが守ろうとした未来だ」


 浅葱は槍を地面に突き立てた。

 かつての戦いで焦げた槍の穂先が、朝日に反射して微かに輝いた。


 「俺たちのやるべきことは、まだ終わってません」


 「だな。ギルドを……もう一度、立て直すんだ」


 王都復興の中心として、冒険者ギルドの再建が急務だった。

 戦いの中で多くの指導者が命を落とし、

 人々を導く“声”が失われていたからだ。


 その時、避難所の方から声が響いた。


 「浅葱! 先輩!」


 走ってきたのは、情報官の少女・ミナ。

 顔に煤をつけながらも、その目は強く輝いていた。


 「王城から伝令です! 新しいギルドマスターの任命が決まったそうです!」


 「……誰が?」


 ミナは一度だけ息を整え、静かに告げた。


 「――浅葱・アサギ殿。貴方です」


 浅葱は目を見開いた。

 先輩も驚いたように息を呑む。


 「お、俺が……?」


 「貴方の行動と、ギルドを守った功績を王が認めたのです。

  正式に、“第二代ギルドマスター”として……」


 浅葱は言葉を失った。

 自分などが務まるわけがない――そう思った瞬間、

 隣から先輩の手が肩に置かれた。


 「浅葱。お前なら、できる。

  あのマスターも、きっとそう望んでた」


 その言葉が、胸の奥にまっすぐ響いた。


 浅葱は拳を握り、静かに頷いた。


 「……分かりました。

  俺が、やります。マスターの残したものを、次へ繋げます」


 その言葉に、周囲の冒険者たちが顔を上げた。

 瓦礫の中から希望の光が灯る。


 「浅葱マスター、指示をください!」


 「まずは負傷者の手当てを! 避難民には食料と水を!

  そして――明日、ギルドの再建を始めます!」


 その声に応えるように、人々が動き始めた。

 壊れた街が、少しずつ息を吹き返していく。


 先輩は少し離れた場所からその光景を見つめていた。

 浅葱の指示を受ける冒険者たちの姿。

 あの日、マスターが立っていた場所に、今は浅葱が立っている。


 「……成長したな」


 「何か言いました?」


 浅葱が振り返る。

 先輩は少しだけ笑って、手を振った。


 「いや。立派になったって話さ」


 「やめてくださいよ、照れるじゃないですか」


 灰色の空に、風が吹く。

 焼け跡の匂いがようやく消え始め、代わりに花の香りが漂ってきた。

 それはまるで、街が“再生”を祝福しているかのようだった。


 浅葱は空を見上げ、静かに呟いた。


 「マスター……見ていてください。

  俺たちは、もう迷いません」


 その瞳に映るのは、過去ではなく――新しい未来だった。






あとがき


 第十六話「灰の翼 ― 終わらぬ誓い ―」までお読みいただき、ありがとうございました。

 今回の章では、ギルドマスターとの戦いを通じて、リュウたちが「戦う理由」と「守るべきもの」をそれぞれの心に見つめ直す場面を描きました。

 “灰の翼”というタイトルには、燃え尽きてもなお飛ぼうとする意思――つまり、たとえ過去が灰になろうとも未来への誓いを捨てない者たちの姿を重ねています。


 ギルドマスターは単なる敵ではなく、「魔法料理」という文化そのものに宿る“誇り”と“業”を体現する存在でした。彼との戦いの中で、リュウの中にあった迷いと恐れが少しずつ形を変え、「守るために強くなる」という確かな想いに変わっていきます。

 ひびき、エリカ、バン、それぞれの絆もまた、新たな局面へ。


 次章では、“伝説の果実”を巡る物語が大きく動き出します。

 そして、リュウが出会う「失われた創造者の遺産」が、物語の核心に触れる鍵となるでしょう。


 ――この旅はまだ、終わりません。

 焔に焼かれた翼の先に、希望という名の空があることを信じて…

崩壊した王都に、再び朝日が昇る。

 浅葱は新たなギルドマスターとして、人々の希望の象徴となった。

 先輩はその背を支え、共に再建の第一歩を踏み出す。


 灰の翼が散り、風が吹くたびに思い出す。

 “誓い”とは、終わることのない旅路なのだと。


 次章、**第十八話「焔の果て ― 約束の継承者 ―」**では、

 王都復興の裏で動き出す新たな脅威、そして“灰の力”の真の意味が明かされる――

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