第十一話「光の誓い ― 逆先輩と進む道 ―」
第十話で槍術を学んだ浅葱は、次なる冒険に出ることを決意する。
本話では、逆先輩との旅立ちを通して、力と心の成長が描かれる。
目的は明確――冒険を終えたら、鴉羽の元へ帰る。
一 新たな師と旅立ち
朝霧の森が徐々に晴れ、淡い光が木々を照らす。
浅葱は鴉羽と共に、森の出口に立っていた。
彼の心には決意がある――先輩の元を離れ、次の試練へ挑むための覚悟だ。
「浅葱……行くのね」
鴉羽は優しく微笑む。
「ええ、でも心配しないで。終わったら、必ず戻ってきます」
その言葉に、浅葱は胸が熱くなる。
「はい……必ず」
森の奥から、一人の青年が現れた。
黒い鎧と銀色の槍を携えたその人物――逆先輩と呼ばれる、師匠のような存在だ。
「浅葱、お前の槍の腕前は噂通りだ。だが、まだ未知の戦場で使う力を磨かねばならぬ」
彼の声には冷静さと威厳が宿る。
浅葱は槍を握り、力強く頷く。
「わかりました、逆先輩。全力で学びます」
こうして、浅葱の新たな旅が始まった。
目的は一つ――逆先輩の下で冒険を終えたら、再び鴉羽の元へ帰ること。
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二 荒野を行く
森を抜けると、広大な荒野が二人の前に広がる。
風が頬を打ち、槍を構える浅葱の手に緊張が走る。
逆先輩はその横で、静かに目を閉じて呼吸を整える。
「荒野は油断すると命を奪う場所だ。風と地面、そして相手の心を読むんだ」
浅葱は深く頷き、槍を振るう。
風が槍先を撫で、彼の動きを助ける。
二人は言葉少なに進む。
しかし、互いの呼吸が徐々に噛み合い、浅葱の槍の動きは光の如く研ぎ澄まされていった。
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三 影の迷宮
荒野を越えると、古の迷宮が立ちはだかった。
黒く歪んだ石壁の奥から、かすかな呻き声が響く。
迷宮の内部には、影の化け物が潜んでおり、冒険者を試すのだという。
「ここが最初の試練か……」
浅葱は鴉羽との日々を思い出し、決意を新たに槍を握る。
「浅葱、恐れるな。心の光を槍に込めれば、影も恐れぬ」
逆先輩の声が響く。
浅葱は深く息を吸い込み、迷宮へ踏み込んだ。
影が襲いかかる。
槍先が風を裂き、浅葱は逆先輩の指導を受けながら、次々と影を払う。
その動きはもはや舞のように滑らかで、光と影の狭間に輝きを放った。
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四 光の誓い
迷宮の最奥で、二人は休息を取る。
逆先輩は槍を地面に置き、浅葱の肩を叩いた。
「よくやった、浅葱。お前は着実に力をつけている」
浅葱は息を整え、鴉羽を思い浮かべる。
「逆先輩、ありがとうございます。終わったら必ず、鴉羽の元に戻ります」
逆先輩は静かに頷き、微かに笑みを浮かべた。
「そうか……なら、光の誓いはその心に刻まれている。
迷宮が終わる頃、お前は一段と強くなるだろう」
浅葱は槍を握り直し、決意を新たに歩き出す。
彼の背後に広がる風と光が、未来への道標のように揺れる。
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五 帰る場所を胸に
迷宮を抜け、荒野を再び渡る浅葱の胸には、鴉羽への想いと逆先輩から受け継いだ教えが宿っていた。
「終わったら……必ず戻る」
その言葉は、冒険の困難にも負けない心の支えとなる。
二人の影が、光と風に溶けていく。
暁の空を背に、浅葱は新たな戦いと成長の旅を始めた――
そして必ず、鴉天狗の娘の元に帰ることを胸に誓って…
光の誓いとは、単なる冒険の開始ではなく、浅葱の決意の象徴である。
鴉羽への思い、師から学んだ技、そして新たな師・逆先輩との絆――
すべてが、未来の戦いに向けての礎となる。




