3/4
3.涙の根拠
「リオ様。脳波に異常なパターンが観測されました。これは…」
船のAIが警告を発する。だが彼は答えなかった。
彼の目から涙が流れていた。
知らないはずの誰かの想い出に――涙を流していた。
それは、もしかしたら「人間とは何か」という問いへの答えかもしれなかった。
つまり、「わたし」はわたしの経験だけでできているのではなく、
どこかの誰かの記憶や痛みを受け取って、やっと“人間”になるのかもしれない。
レミニスの最後のメッセージが再生された。
「記憶は、失われても消えない。誰かが、感じてくれたなら――わたしは、そこにいる。」