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【コミカライズ化!】虐げられの魔術師令嬢は、『氷狼宰相』様に溺愛される  作者: 水垣するめ
二章 『氷狼宰相』様と婚約した私は溺愛されます!

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コミックス2巻発売記念SS レオの言葉

「これで用件は以上だ」


 レオはトントン、と書類を机で整えた。

 宰相の執務室の中には、レオと文官の他に二人の来客がいた。

 アメリアとミカエルだ。


「はぁい。いつも色々とありがとうね。レオ」


「君にはいつも細々とした仕事を押し付けてしまってすまないね」


 今日、二人が執務室にやってきたのは、レオに王族と婚約関係の手続きを進めてもらうためだった。


「気にするな。押し付けるも何も、元より俺の仕事だ」


 さして疲れた様子もなくレオは言う。


「ねえ、話は変わるんだけど。レオ。ソフィアとは最近どうなの?」


「……どうなの、とは?」


「ちゃんと婚約者同士、仲良く出来てるかってこと」


「出来ているはずだが……」


「そう思っているのはレオだけかもしれないでしょ。特に、レオは表情の変化が乏しいんだから」


「そう? 意外としっかり見てればわかりやすいけど」


「ミカエル様、話の腰を折らないでください」


「ああ、ごめんごめん」


 頬を膨らませるアメリア。

 ミカエルは慣れた調子で優しく微笑みながら謝る。


「そっちは、仲睦まじくやっているらしいな」


「ええ、もちろんよ。でも、どうして私たちが上手くいっているか、理由がわかる?」


「相性が良いから?」


「違うわよ。ちゃんと言葉にして伝えてるから。考えていることを言葉と態度で相手に示すから、私たちは仲睦まじいの」


「ふむ……」


 レオは顎に手を当てて考える。


「と、いうわけでね」


 アメリアは手を合わせる。


「レオはもっと言葉にするべきだと思うの。ソフィアに対する気持ちを」


「……その必要はないと思うが」


「ダメよ! あなたは特に表情の変化が乏しいんだから、言葉にしないと相手に伝わらないわ。だから言葉にする練習をしましょう?」


「具体的には、どんな練習を?」


「そうねえ……あっ! ソフィアの好きなところを言葉にするのはどうかしら!」


 アメリアが良いアイデアを思いついたときのように叫ぶ。


「私、聞いてみたいわ。レオがソフィアのどんなところを好きなのか」


 レオは眉根を寄せる。

 ニマニマと笑いを堪えきれないアメリアを見て、レオは悟った。

 絶対に、楽しんでいると。


「いや、俺は──」


 このまま答えるとからかわれることは間違いなかったので、レオは断ろうとしたが、


「ああ、僕も聞いてみたいな。君が彼女のどんなところを好きになったのか」


 思わぬ所から援護射撃が飛んできた。

 レオは視線で抗議を送る。


「……ミカエル」


「でも、言葉にする練習は大切だよ。想いを伝えるためにね」


 ミカエルはふわりと優しく微笑む。

 一見、柔和なミカエルだが、この笑顔を浮かべているときは頑として自分の考えを曲げない。

 幼馴染であるレオはそのことをよく知っていた。

 逃げ場はない。


「……」


 レオは天井を見て、しばし考える。


「……好きなことを語っているときの、目が好きだ」


 ポツ、ポツとレオは語りだす。


「魔術の話をしているときの目はとても純粋で、輝いている。その目を見ていると普段の疲れを忘れる。それに性格も素晴らしい。どこまでも純粋で、真っ直ぐで、あそこまで人を思いやれる人間はそうそういない」


「うんうん、他には? もっと具体的にするといいわね」


 アメリアはとても楽しそうに何度も頷く。

 追加注文に半目になるレオだが、アメリアとミカエルの視線に観念し、ため息をついて語りだす。


「普段はおどおどしているのに、魔術の話になると真剣な顔になったり、子犬みたいな笑顔を浮かべる。そういうところが……かわいいと思う。あとは……」


 レオは視線を外して言うかためらった後、言った。


「俺の夢を笑わなかった。だから、好きだ」


「くぅっ……! いいわね! 久しぶりにキュンキュンしたかも」


 レオの話にご満悦のアメリアは頬を紅潮させ、満足げに何度も頷く。

 一方のレオは気恥ずかしいのか、明後日の方向を向いている。

 ミカエルはそんなレオを見て微笑んだ。


「レオ、ソフィアさんのこと、とても好きなんだね」


「……そうだな」


 そっぽを向いたまま答えるレオ。

 その時、執務室の扉の方からガタン、と音がした。

 レオ、アメリア、ミカエルの三人が一斉に扉の方を見る。

 そしてレオは天を見上げ、アメリアは「あらあら〜」と嬉しそうに笑い、ミカエルは「あちゃあ」とこめかみを押さえた。


「あ、あああ、あの……」


 扉の前に立っていたのはソフィアだった。

 視線を右往左往させているソフィアは顔を真っ赤に染め上げている。

 先程のレオの話を聞いていたのは明らかだ。


「そ、その、私っ、今日は一緒に帰ろうと思って……」


 両手を胸の前で組んだソフィアはあわあわと告げた後、


「す、少しそのへんを散歩してきます……っ!」


 と足早に去っていってしまった。

 風のごとく走り去っていったソフィアを見送る三人。

 くるりと振り返ったアメリアは、


「ごめんね、レオ。まさかソフィアがいるとは思わなくて」


 と悪びれもなく謝り、


「よかったね。散歩ってことは、ひとりで帰るわけじゃないってことだ。一緒に帰れるよ」


 と明後日の方向にフォローを入れた。

 レオは無言で眉間を指で摘みながら、


「もう二度とやらない」


 と固く誓ったのだった。

ただいま、本作のコミックスが2巻まで発売中です!!

くろこだわに先生による超イケメンのレオや、表情がコロコロ変わる可愛いソフィアが見どころですので、ぜひ手にとっていただければ……!!

超超超、おすすめです……!!!


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