59話 結末
最終話です。
それから、ソフィアはレオからロベリアの話について聞いた。
ロベリアが言った、呪いの代償に命をかけているというのは本当だったようで、塔の中でロベリアは死んでいたらしい。
血を吐いて床に倒れており、呪いを破った代償が返ってきたのだろう。
しかしロベリアは毒を飲んで自死したことになった。
ソフィアたちしかロベリアが呪いの反動で死んだことを知らなかったからだ。
ソフィアたちはそのまま呪いのことを国に伝えることはしなかった。
特に深い考えがあったわけではなく、ソフィアがそうした方が良いと考えたからだった。
ロベリアは王都の外れの墓地に埋葬されている。
ミカエルは国王により王太子に選ばれ、アメリアは王太子妃となった。
ミカエルと対立していたデルムの派閥が無くなったためだ。
国民から評判が良く、人格者として知られているミカエルとアメリアは王太子として歓迎されているらしい。
ロベリアがソフィアに渡した解毒薬は本物だったようで、アメリアは解毒薬を飲んだ翌日には完全に回復していた。
朝から商会の運営に戻れるほどだったので、体調には問題は無いようだ。
オーネスト家に毒を盛られた件については、知らせを受けた直後はアメリアとミカエルはかなり衝撃を受けていたようだが、二人とも次第にいつもの調子に戻って行った。
塔に幽閉されたデルムは、生涯をその塔の中で過ごすこととなった。
幽閉されてから一ヶ月はずっと不満を大声で叫び続けていたが、次第にそれは弱まっていき、三ヶ月経つころには塔から出して欲しいと懇願するようになった。
しかし罪に問われ幽閉された王族を解放するのは難しく、デルムが塔の外に出ることはなかった。
ほとんど何もない塔の中でデルムは次第に大人しくなっていった。
そして毎日与えられる食事と、たまに与えられる娯楽の本などを生き甲斐にして過ごした。
ソフィアが呪いを解いた一ヶ月後。
その日は晴天だった。
ソフィアは王都の外れに建てられた墓地にやってきており、とある墓の前に立っていた。
それはロベリアの墓だった。
ロベリアの墓に花を供えたソフィアは顔を上げる。
「ソフィア」
「レオ」
レオに名前を呼ばれたソフィアは振り返る。
風になびく髪を耳にかけた。
ソフィアの手には指輪がきらりと光っていた。
「そろそろ行くか」
「うん」
レオの言葉に頷いて、ソフィアはレオの隣に並んだ。
その指輪は以前レオが贈った婚約指輪とは別の指輪だった。
ソフィアは隣を歩くレオに尋ねた。
「ねえ、結婚式はいつ挙げる?」
「そうだな、準備もあるし、もう少し先になるだろう」
レオは優しい微笑みをソフィアに返す。
二人の表情は幸せに満ち溢れていた。
「レオ、愛してる」
「ああ、俺も愛してる。ソフィア」
二人は手を繋いで歩いていく。
その道は明るく照らされていた。
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